百物語改め「九一三・六物語」

夢日記・百合・数学・怪談・神社その他

少女には向かない職業(桜庭一樹著)

2012-02-05 | 百合
あのね、葵。あたし、あの本の中の原始人の話が好きなんだ。それで、クラスの誰かにもあの本を読んでほしかったの。葵に貸すことができて、それで葵はあれを読んで、読書の時間にこっそり泣いてたでしょ?あのときから葵は、あたしの中では大事な子なの。へんかなぁ?

■ ■ ■ ■ ■ ■

「う、うそじゃない」
静香は震え声で、でもきっぱりと言った。
「うそじゃないもん。ただ、あたしは……」
「ただ、なによ!」
「あたしは、葵の気を引きたかったの」
力が抜けて、あたしは肩をがっくり落としてしまう。静香は続ける。
「だって、あたしにとっては葵は特別な女の子だったから。同じ本で泣いてくれたし。夏休み、楽しかった。葵がほんとにお義父さんを殺したから、尊敬した。すごいって。やっぱりって。だけど夏休みが終わったらあたしのこと相手にしてくれないし、ほかの女の子とばかりつるんでるし。楽しそうで、悔しくて。葵をこっちに振り向かせたかったの」
「……」
「友達になってほしかったの」

■ ■ ■ ■ ■ ■

上の文章なに?

「少女には向かない職業(桜庭一樹著)」の一部。

ふうん。

同じ本を読んだ女の子と友達になりたいって気持ちは分かるなー。

そう?

友達になるために気を引きたいって気持ちはなんだか純粋で、可愛い。

可愛い…気持ち?

うん。あなたと私は今は友達だけど、友達になる前、
あなたと友達になりたいって思ってた時の私の気持ちは、自分のことながらちょっと可愛い。



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