胸に突き刺さる純粋さ(朝日新聞劇評)

2005-01-29 00:45:13 | tatsuya
~胸に突き刺さる純粋さ~朝日新聞1/27夕刊記事
(九鬼葉子・大阪芸大短期大学部助教授)

 「ロミオとジュリエット」は、非現実的な恋愛話だと思っていた。
だが、蜷川幸雄演出、藤原竜也と鈴木杏主演による舞台(17日大阪シアタードラマシティ)は、
人物の気持ちが突き刺さる身近な世界だった。
 反目するモンタギューとキャピュレット。その息子と娘が一目で恋に落ちて結婚、
非業の死を遂げるまでの5日間を描いた、シェークスピアの悲劇だ。

 各国の若者たちの顔写真が舞台を囲み、頂点に立つジュリエットめがけて、
ロミオが一気に駆け上がる。全細胞が恋に満たされた瞬間。
喜びを汗だくになって全身で表現する二人。
その姿は滑稽なほどだが、次第に、こんな瞬間が確かに自分にもあったと、
古い記憶が蘇る。何をきっかけに純粋さを失い、諦めることを覚えたのか。
思いがけず人生回顧を促された。

 結婚式直後、両家の争いに巻き込まれたロミオ。ジュリエットには、別の男との結婚が迫る。
運命のいたずらと二人の自殺。死体を前に手を取り合う父親たちには、
急激に老いの影が走り、悲しみの深さが際立つ。
 二人の死の瞬間、若者たちの写真が遺影に見えた。
幸せになるはずだった若者を「遺影」に追いやるのは、青春の悩みや喜びを
忘れた大人であり、過去に築いた戦いの歴史なのだ。

 若者の一途さと、世代間あるいは親子関係の相克が色濃く浮かび上がった本作。
ジュリエットの父(壤晴彦)は、娘を愛しながらも、不幸の底に追いやるのだが、
無理解な行為に至る心理がリアルに表現され、わが身を振り返るきっかけにもなる。
 全存在をかけて他者とぶつかり、自己を発見する若者たち。
それを可能にする環境を整える大人たち。両者が揃えば、世界は美しくなるのだろう。
大人への警鐘と映る一方で、今、激しくコミュニケーションをとる若者が
どれくらいいるのだろうかと、不安も呼び起こされた。


最近、劇評を載せるのが楽しみです。
自分もこのくらい書けたら素晴らしいのにと思うんですよ。
でも私が書いたらついつい竜也くんの褒め評になってしまうでしょうね。
だって殆ど竜也くんばっかり観てるんだもん。

しかし、私らと違って欲目も贔屓も関係ナシでもこんなに書いてくれるんだし、
やっぱ藤原竜也ってスゴイぞ!

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
感謝! (ひとみ)
2005-01-29 12:44:07
るなさんが書いて下さる劇評は、私が読めないものばかりなので有り難いです。

>何をきっかけに純粋さを失い、諦めることを覚えたのか。

おー、耳に痛いな。(笑)

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いえいえ、悪だくんでおりますゆえ(笑) (るなち)
2005-01-29 20:53:02
ここで書くのもどうかと思いながら書いてしまってるんですよ。

ここなら、興味を持ってもらえば不特定多数の方が読んでくれるでしょ

なので、ちょっとでも「新選組!」の沖田総司が実はもっと

凄いんだぞ~って世間に理解してもらえるかも?!なんて

邪な考えを持って載せています。



まぁ、興味を持ってファンが増えたらその分、

チケ取りの競争率が上がるのは否めませんが・・・

複雑だよね~
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藤原竜也 (藤原竜也って気になる)
2005-02-03 14:58:00
藤原竜也情報を集めて簡単な辞典を作ってます。

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