ロバート・レッドフォード監督、ブラッド・ピット主演の「リバー・ランズ・スルー・イット」をみました。
1992年の映画で、1920年代のモンタナが舞台です。
「厳格な牧師の父と愛情豊かな母のもとで育った兄弟。兄ノーマンはまじめな優等生、弟ポールは天真爛漫な自然児。性格も生き方も対照的なふたりだったが、父から教わるフライフィッシングを通してともに成長し絆を育んでいく。」
兄ノーマン・マクリーンの小説「マクリーンの川」を映画化したものですから、兄からの視点でしか書かれていません。
「1912年モンタナ州の田舎町、ノーマンとポールの兄弟は、父マクリーン牧師(トム・スケリット))からフライフィッシングと勉強を学んでいた。兄の夢は牧師かプロボクサー、弟の夢はフライフィッシャー、やがてノーマン(クレイグ・シェイファー)は東部の大学に進学、ポール(ブラッド・ピット)は地元の大学を卒業後 地方新聞の記者をしていた。
ある日帰郷した兄は弟が酒と賭けポーカーにのめりこんでいることを知る。」とあらすじにありました。
私は釣りをしたことはありませんが、この映画で描かれている大自然の中の木々の緑、青い空、流れる川(聞こえるのは鳥の声と水の音だけ)を見ていると心が洗われます。フライフィッシングの釣り糸はとても高いところまで飛んでいくのです。
4拍子のリズムで釣り糸を振るのだと父が息子たちに教えていました。この父と息子たちは釣った獲物のマスの大きさを競っていました。父が最後に出したマスが一番大きかったのはさすがでした。
兄弟はボートで滝を下るという無謀な冒険をしたら、借りたボートが壊れたので 働いて弁償するように父に言われました。
ノーマンがシカゴ大学に就職が決まったそのお祝いに 兄弟は父と一緒に 釣りに出かけるのです。
その時ポールはとても大きなマスを釣って川の中に流されそうになっていました。
その大きなマスを持って記念撮影をしていたブラッド・ピットの笑顔は素敵でした。
ノーマンは「その瞬間、はっきりと感じた。完成されたものの美を」「弟はブラックフットの川辺でなく、この世を超えた空間に立っていた」「同時に僕は感じていた。人の世は 芸術ではなく、永遠の命を持たぬことを」と感じていたのです。兄が弟をどんなに愛していたか、どんなに心配していたかが伝わってきます。兄が「あの子は釣りはすごかった」というと父は「それだけではない、あの子は美しかった」というのです。
兄は弟が金に困っているのではないかと思って助けてやろうとしますが弟は断るのです。そして・・・
牧師の父親が亡くなる前の最後の説教で、「愛する者が苦しんでいるのをみて神に問います。助けたい相手が身近にいて手を差し伸べても相手は拒否してしまうのです。身近にいながら腕の間をすり抜けてしまうのです。それでも神は理屈を離れて出来るだけ相手を愛することですと教えています」といっていました。父親もポールを愛していたのです。