NHK第2で月曜日から土曜日までの午後8時半から「カルチャーラジオ」があります。
月曜日は「ラジオアーカイブズ 声でつづる昭和人物史」で5月からは黒澤明監督の肉声が聞けます。
火曜日は「歴史再発見」で4月からは「渋沢栄一に学ぶ生き方と知恵」です。
水曜日は「芸術その魅力」で4月からは「モーツアルトと18世紀」です。
木曜日は「文学の世界」で4月から「荒川洋治の新しい読書の世界」です。
金曜日は、「科学と人間」で4月から「老化を防ぐ最新医学」です。
土曜日は「漢詩」です。
今回木曜日の「文学の世界」を聞いてとてもためになりました。
①「序論・詩と散文」②「明治・大正の詩」③「現代の詩」④ 「短歌・俳句」⑤「明治・大正の小説」
まで聞いていますが、この中で①と③が特に印象に残りました。
①では、詩と散文の違いを述べ、散文には物語や小説があり、小説の始まりはジャン・ジャック・ルソーの「告白」だそうです。自分のことを書くのが小説でルソーは自分の生涯を振り返り、等身大の自分の姿を文章で表現したそうです。
ルソーは「ツルニチニチソウ」の文で山を友人と歩いていたら、青い花をつけるツルニチニチソウが目に留まって、
ヴァラン夫人のことを思い出したそうです。
ヴァラン夫人は母を早く亡くしたルソーをかわいがって育ててくれた女性で
彼女がその花の名前を教えてくれたのだそうです。
一緒に歩いていた友人はこのことをひとつも知らないのでルソーが何に感激しているのかわからなかったそうです。
このように人間は記憶で成り立っていて 記憶の集積が人生なのだそうです。
それでルソーは近代小説の母と言われるそうです。
確かに同じ物を見ても(花でも動物でもなんでも)人の記憶はそれぞれ違うので感じ方が全然違います。
でも、家族として一緒に暮らせば、できれば同じ経験をして同じ記憶を共有したいと思います。
ツルニチニチソウで、思いだしましたが、以前は我が家でも咲いていました。
白い縁取りのある緑の葉に青の花が咲いてかわいかったです。今はなくなってしまったのですが。
③では草野心平の「青い花」の紹介がありました。これは心平氏のよく知られているカエルの詩の一つですが、カエルの子供が蛇に飲み込まれて、「オカアサン、ボク、カエリマセン」というのだそうです。
死んでいる子供が母親に呼び掛けているのです。亡くなった人の立場から書いていて、残された人に対する思いが表れているそうです。「こちらの世界は青い花が咲いていてきれいだから、ぼくは帰りません。悲しまないでください。心配しないでください」と。