
作者は、記憶力良かったんだろうな、と思いつつ、原稿の締め切りに追われてたと言う話もあって、もしかして一部で話を作って語っている所もあったりして――と思えるくらいに沢山の事を覚えている人なんだな、と思う。作者の父親が転勤の多い仕事についていた事も起因して、過去の事を覚えているのだろうか?小学校時代の記憶が部分的に鮮明でそれが結構あると言うのは凄い上に、記憶に残るくらいの事が沢山あるのは羨ましい限り。
平易でやわらかみのある文章で構成されてはいても、これを私が10代の頃に読んでも、ピンと来ないだろうな――と読んでみて思う。作者が生きた時代の背景をはじめとする何らかの予備知識がないと、想像出来ないものがあったりしたように思えた。
黒柳徹子氏に森光子氏と親交があった事が書かれているが、意外な人と付き合いがあったんだなあと思う。テレビ・ラジオ関係の台本制作をしていた作者なので、繋がりがあっても不思議ではないが、驚いた。
それにしても、何と人間らしい可愛らしさがある作家さんだったんだなあと思えるくらいのものがこの作品を読んでみて思えた上に、それこそ、徹子の部屋に出演して、黒柳徹子氏と対談したら、絶対に笑える話を幾つもしてくれそうな感じした。絶対にこの人は面白いに違いない、と思える感じがするのは何故だろうか。この作品、読んでいて、1、2回は小さく笑ってしまえる物があったのは、その様に仕向けて書いたのだろうか?
生前、乳癌を患っていた作者の様で、そんな事が――と作者あとがきにそんなビックリな話があった。そんな昔からあるものとは露知らずであった。