黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

子どもの自殺を防ぐために

2016-05-27 08:49:12 | 健康・病気
最近、子どもの自殺がしばしば報道されています。報道されていないものもあると思います。
なぜ自殺するのでしょうか。それは、いろいろなことから「うつ病」または「うつ状態」になるからです。それ以外にもありますが、いずれにせよこころが病んでいるからです。

だから、子どものうつ病を早く見つけましょう。

子どもの自殺の予防のために
 子どもの生まれつきの病気以外での死亡は、事故、自殺、他殺で、病気で死ぬのはその次です。
これは、多少順位が変わろうとも、私が小児科医になってからずっと続いていることです。
 しかも、病気の第一は、悪性腫瘍で、その半分以上が白血病です。しかし、現在は15歳以下の白血病の死亡率は減少し、延命率が高くなりました。白血病の種類にもよりますが、8年生存率が80%以上のものもあります。8年以上生存したらほぼ治癒したと言ってもいい状態です。
 ということは、子どもの死亡を減らす第一は事故の予防です。しかし、約10年前に比べて、現在は以前に多かった5~15歳までの事故死が約10分の1に減少していました。これは、事故対策が進んだことと、子どもが外で遊ばなくなったからだと思います。この点は検証が必要です。
 しかし、5歳までの事故はほとんど減らず、欧米諸国の10倍です。
 それで子ども特に乳幼児の事故対策を乳幼児健診の時に話をして、減らそうと努めてきました。しかし、もうこれ以上は立法化が必要です。子どもの家庭内での事故対策は個々人の善意に任せてはおけません。法律で子どもを保護する必要があります。
欧米ではその点で10~20年以上前から実施しています。私の最近書いた本に、それが出ています。しかし、資料が古く、今はもっと進んでいるかもしれませんが、日本は20年以上遅れていますから、まだそれで十分だと思います。子どもの事故対策は、私の本をお読み下さい。
交通事故は、政府、警察が事故対策の必要性に気がついて対策を取ったら、どんどん減少傾向になりました。次は、自殺です。日本は大人の自殺は世界でも有数で多く、しかも自殺対策が遅れています。

第二は、子どもの自殺対策です。
自殺対策は、特に中高年の自殺対策が、北欧で実施され、大幅な減少となり、対策の効果があきらかになっています。残念ながら、私はまだ入手できていません。
自殺の多くはうつ病です。
自殺は、精神的な異常状態にならないとできませんから、普通はリストカットで終わります。統合失調症でも自殺しますが、一番多いのはうつ病で、軽いうつ反応や軽症のうつ病がよくあります。しかも、うつ病でも治りかけなどの軽い状態になった時や、一時的なうつ反応の状態の時に自殺します。うつ病は、体のエネルギーと心のエネルギーが低下した状態になりますから、ひどい時は自殺できません。
自殺の特徴は、「死にたい」とか「死のうかな」などと、ほとんどの場合誰かにほのめかします。これをまともに受け止めずにいると、自殺してしまいます。冗談と思ってはいけません。本当に考えているのです。多くの場合、まともに受け止めず、そんなことをする訳がないとか、するはずがないとか、できるはずがないと周り特に親や兄弟たちや友だちが考えて放置しておき、自殺してしまうのです。
ですから、早く子どものうつ病に気がついて下さい。
私の知っている最少年齢のうつ病は7歳でした。その子も、死にたいと言っていました。
幸い、教会に通っていたので、牧師さんが気がついてくれて、親に知らせ小児科に来て、精神科と小児科とで併診し、牧師さんの計らいもあって、また学区が境界線上であったことも幸いして、転校し治りました。原因は担任の教師にあったのですが、その教師はそれを自覚せず、認めませんでした。
 このように、学校に相談しても無駄です。学校側は一切認めません。親が気がついて適切な治療を受けさせることです。よく、いじめから自殺したと言いますが、自殺の前にうつ病またはうつ状態になっているはずです。それを早く見つけて、対処しなければいけません。
 いじめ対策は、早く気がつくことです。そして父親が取り組むことです。母子家庭なら、母親の兄弟、親戚、友人、知人などの男性の協力を得ることです。学校は、男社会ですから、男性が行かないときちんとした対応をしてくれないことが多いです。父親ないし、協力者の男性が乗り込むと学校側の対応が変わります。
子どもはいじめを告白しないことが多いです。周りが早く気がつくことです。前述のように教師が原因のこともあります。体罰やネグレクト(無視)です。言葉の暴力もあります。

子どものうつ病 と うつ状態 の話
◎ 警告する兆候や症状を見逃さないこと。
最も重要な二つの危険な兆候
① 抑うつ気分―
  悲しみ、ゆううつ、絶望、みじめさ、意気消沈、心配、いら立ちを感じる、など。
② 快感消失(喜びのなさ)―
  スポーツ、趣味、あるいは友人や家族とのかかわりあいなどの、いつもの活動の大部分に関心がなかったり、喜びを感じないこと。

その他の兆候には、
 1)食欲不振と体重減少、あるいは、その反対に過食。
 2)不眠(寝つけない)、悪夢、睡眠持続の不良(寝付いても、ちょくちょく目が覚める)、早朝の覚醒(目が覚めて眠れず、覚醒した状態になる)などの睡眠障害。または逆に、眠っても眠っても眠り足りないという過剰睡眠。もちろん、睡眠不足のあとのそれを取り返すためのいつまでも寝ている状態とは異なり、起きてもまたすぐ眠ることができる状態です。
 3)家で横になっていたり、疲れていたり、やる気がなく、疲労を感じたり、などで示されるエネルギーの欠如。それをなまけているとか、頑張れとは言わないで下さい。
 うつ病の人には、頑張れは禁句です。頑張るほど悪くなります。
 4)落ち着きがなかったり、そわそわしたり、静かに座っていられない、などで明らかになる精神身体的な興奮。これもいつもと違う場合には、見過ごさないで下さい。
 5)自責の念または、過度のあるいは不適当な罪悪感。子どもは自分の周りでうまくいかないすべてのことについて、自分自身を責める傾向があります。例えば両親のけんかについてもそうです。自分のために両親の仲が悪くなったのではないかと思うのです。いじめられたのは、自分に何か悪い所があったのではないかと思います。また、いじめられているとは、恥ずかしくて言えない子も多いです。
 6)思考し集中する能力の減退。一つのことに集中したり、一つのことを考え続けたりできなくなります。それは、日常の話の中でのことや、学校の成績の低下などに表れます。
 7)繰り返し、死や自殺を考えること、または自殺企図。その考えは子ども自身によって話されることが多いが、話しているうちにしだいにはっきりすることもあります。
 特に一度だけそっと言ってみたが、まわりから相手にされないと言わなくなることもあります。
◎ なにをしたらよいか。
① まず小児科専門医(内科小児科ではなく、小児科だけか、小児科内科という所)に相
談すること。最近は小児精神科の教育を受けた小児科医も多くなりましたからまず小児科専門医に相談して下さい。しかし、多くの医師はそういう教育を受けていないので、子どものうつ病の存在を認めなかったり、取り合ってくれない医師も少なくありません。その場合は、ほかの小児科専門医に相談すること。そこから、小児精神科専門医(多くは小児医療センターか県立こども病院か一部の大学病院小児科にしかなく、開業しているのはごく一部の医師だけです)へ紹介してもらって下さい。多くは、予約制ですから、紹介状が必要です。思春期外来、心療小児科などもよいです。
一般の精神科や心療内科(多くは精神科で真の意味の心療内科ではありません)の医師は、大人が専門なので、すぐ薬を出して済ませてしまうこともあります。これも小児科医と同じく医師個人の「何を知っているか」によります。多くの精神科医は、今増えている大人のうつ病に悩まされて忙しく、すぐ薬を出すことを考えます。相談する場合は、小児を診てくれる精神科医を探してもらうことです。話を聞いてくれたり、相談にのってくれる医師は少数です。最初に相談するには適切ではありません。また精神科の初診の予約をとるのも一か月以上かかるのが普通です。そこで無駄に時間を使わないことです。
小児精神科医に予約を取る時に、自殺をほのめかしていると言えば、診察を急いでくれます。
② 抑うつ的な子どもを、何かよい所を見つけてほめたり、共感したり、共鳴したりして
あげましょう。親との愛情をもったかかわりが必要であり、親や兄弟とより多くの時間を
過ごすことを必要としているのです。
 子どもの話をよく聞き、そして話をすること。しかし、すぐに「こうしなさい」とか、親の考える回答をしてはいけません。まず「大変だったね」とか、子どもの感情を認めて共有・共感することです。そしてよく話を聞き出すことです。子どもは、いじめられたとかいじめれていることを、言いたがりません。場合によっては、子どもの仲の良い友だちの親に連絡して、子どもの学校や部活での状態を聞きだすことです。
③ 「頑張れ」は禁句です。気楽に、好きなようにさせることです。悲しい時には泣けば
よいし、怒りがあれば、発散させましょう。しかし、なかなか怒りを表現しないのです。
感情を心のうちに閉じ込めてしまうから、病気になるのです。できるだけ、感情をそのまま表現するようにさせ、それに共感してあげることです。もし、自分に同じような経験があれば、その時のことを話してあげましょう。
 うつ病を感情障害とも言うことがあります。
④ 気がついてから、診察を受けるまでの間、子どもから目を離してはいけません。絶望
的になってしまうことが心配です。子どもは、口に出して言いません。言わないからと安心していてはいけません。子どもの心の中では進行していきます。

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精神疾患と子供の自殺 (香菜子)
2016-08-18 16:12:39
香菜子と言います。わたし自身もそうでしたが、子供が精神的に不安定だったり精神疾患を持っていたりする場合、その家族も精神的に不安定で精神疾患を持っているケースも少なくないように感じます。精神的に不安定な家庭や機能不全家庭だと、社会や周りの人との関係も希薄で孤立している場合も多いので、なかなか異常な状態に気付かなかったりするのではと感じます。明るい未来が待っているはずの子供たちの自殺が少ない社会になればと願っています。香菜子

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