ジョニーウォ－カーさん

　冬の寒気に包まれ月の光が輝きを増すころ僕は間違い無く家路を急いでいた。

　どこからかジャクソン・ブラウン のーLate For The Skyーが北風の冷たさと共に流れていた。それを聞きながら足を早めたとき、

　「しばらくぶりです。」と声をかけられた。「えっ」と振り返った。
誰、、、.,,,いません。後ろから声をかけられたのに,誰もそこには居ないのです。
　声をかけられたのは僕では無いのかしらと思い、先に歩き出しました。
　するとこんどははっきり、声が聞こえました。
「わたしをお忘れですか」僕はもう一度振り返った。
　足許の影が喋ったのです。その影は僕の影では無く、背の高い足の長い山高帽子をかぶりステッキとブーツを履いたジョニーウォ－カーさんでした。
「今日はまっすぐ帰るつもりでいたのに・・・しばらくぶりって先週末お会いしたではないですか」と思わず口から出そうになり、おもわず周りを見渡し言いよどんでいると・・・・・・
　彼が言うのです。影が揺れながら、「お疲れ様、ちょっと寄っていきませんか」

　ボブ・ディランの-Like A Rolling stone-が中から聞こえてくる　
　僕は転がる石のように樫の木のドア-を押したのでした。

　ロッタごめんな、、、今日も寄り道してしまいます。