kuronekojijiのねじまき鳥閑話「 日々平安是好日」

愛犬ロッタ、猫jiji、趣味 等をモチーフにショート.ショートを書きます。世界のねじを「ぎーぎー」とまきながら・・

楽しみに取っておいた本の読み方。

2007-02-27 16:13:58 | 「日々平安是好日」
 僕は好きな本を読まずに取っておく癖がある。
 高原の原っぱで寝転びながら。
 谷川の水に足を浸しながら。
 夏の陽射しの中、海辺で強烈に冷えたビールを飲みながら。
などと考え、読まずにその時が来るまで取っておく。
そんな場面が来るのをじっと待っている。
好きな一冊を読まずに待っている。
 また、本と同じくCDも聴かずに取っておく事がある。
特にジャケットが気に入って手にしたものは、暫らくは聴かずに眺めていたりする。

 実際、本、CDを家に戻り、読み始めたり聴き始めて、
「あーこの本(CD)は後で読もう(聴こう)。」
今、これを読まずに後であの場所で、こんな場面で読んだり(聴いたり)しよう!」
そんなふうに思うと一旦中断して愉しみに取っておくのだ。

 ある日、頭の中に突然場面が現れる。そうすると、その場面作りが始まる。
 今度の休みの日には庭で午後の陽射しを浴びながらこの本を読むんだ。
飲み物は?食べ物は?それと、ロッタは足元に置いて、・・・・・。
ロッタが大人しくしてくれるかどうか心配だが。

そうして暫らく、取っておいた僕の好きな本は期待を裏切らない面白さがある。
特に米国作家「デレク・ハートフィールド」の本は。



LATE FOR THE SKY

2007-02-15 17:49:48 | 「日々平安是好日」
 僕は何時も夕日を見ると、ジャクソン・ブラウンの「レイト・フォー・ザ・スカイ」が何処からか聞こえてくるような気がする。
 思わず、立ち止まり耳を澄ますのだけれど、もちろん、何処からも聞こえてこない。
そして、また、歩みはじめるとあのメロディーが僕のからだ中いっぱいになる。
 それは決して終らないのだ。繰り返し繰り返し、
<レイト・フォー・ザ・スカイ>が流れ、
<悲しみの泉
<もっと先に
<ザ・レイト・ショウ
<道と空
<ダンサーに
<ウォーキング・スロウ
<ビ・フォー・ザ・デリュージ
 が終ると、またはじめに戻る。
 
  高い壁に囲まれた世界。その世界で、一角獣たちの頭骨から古い夢を読みながら暮らす。「僕」になった。そんな気がする。

 夕闇が街並を青く染めはじめ、やがてそれが群青色に変わりはじめる頃
僕はいつも目を閉じてジャクソン・ブラウンの「レイト・フォー・ザ・スカイ」が何処からか聞こえてくるのを待っている。

黒猫ジジ

2007-02-13 19:48:34 | 「日々平安是好日」
私の名前は ジジ です。

私のお祖父さんの名前は 「いわし」 といいます。
 お母さんから教えてもらいました。
お母さんの名前はたしか・・・あっ名前はありませんでした。猫と呼ばれていました。
 私がお世話になっている家にくる前は生まれて3ヶ月くらいだけどお友達がいました。
       
その、 お友達の名前は「えーと、オオツカさん、でしょ。オオカワさん、カワムラさん、シャム猫<我が名はミミ>さん、そして、コイズミのゴマちゃん、でした。」でも、
みんなジョニ-ウォーカーさんに捕まってしまいました。
今は、どうしているのか分かりません。

今、私のお友達はハスキー犬のロッタさんとねじまき鳥さんだけです。
 「さびしくないよー。」

世界の終わりとー3

2007-02-05 18:17:08 | 「日々平安是好日」
 この穴は、光の届かない、暗黒の世界。
しかし、暗闇に目が慣れてくるにしたがって周りが見え始めてきた。  
 外の世界からの光が届かなくても、穴の壁から発するわずかな光があるようだ。
それは、何が光っているのかわらないが、次第に暗闇にロッタのアーモンドの形をした両目と胸の白い毛がおぼろげに判るようになった。
 「ロッタ。」と声をかけ、頭を撫でた。
 ロッタは僕の指を舐めた。
 僕は目を凝らしながら、しばらく、じーとしていた。
耳を澄ませていても何も聞こえない。
聞こえるのは僕とロッタの息遣いと自分の鼓動だけだ。
 僕はロッタの尖った鼻をなでながら底の中の気配を探っていた。
 ロッタは何時と違う状況を感じているらしく神妙にしている。
 底に落ちてからどのくらいの、時間が至ったのか、僕は分からない。
このまま待っていても、助けが来る可能性はたぶん無いだろう。
この深さでは、大声で助けを呼んでも誰も聞こえやしない筈だ。
 「何をするべきか」とロッタに声を出さずに聞いてみた。
 「何が出来るのだろうか」と一人声に出してみた。
 
 僕は「よし。」と立ち上った。
 両足首が少し痛かったが、たいした痛みではない。
 
  その時。突然感じた。
   
 立ち上った僕の顔位置には今までと違う空気だ。
 底の澱んだ気配から明らかに違う空気の流れだ。
 最初それは何かのガスのように感じられたが明らかに流れている空気、僕は、風とは呼べない弱い流れを感じた。
 何処から流れてくるのだ。
 僕はそれでも注意深く壁に手を這わせて様子をうかがう。
  横穴がある。「ここから出られるかもしれないぞ、ロッタ。」