kuronekojijiのねじまき鳥閑話「 日々平安是好日」

愛犬ロッタ、猫jiji、趣味 等をモチーフにショート.ショートを書きます。世界のねじを「ぎーぎー」とまきながら・・

羊のメイから手紙-3

2007-04-07 18:31:54 | 「日々平安是好日」
こんにちは、ねじまき鳥さん。元気ですか?毎日なんとなくお過ごしですか?。
変ね、なんとなくなんて、でも、
 ねじまき鳥さんは本当になんとなく毎日を過ごしているんでしょ?
あの時にお別れしてからねじまき鳥さん、何をされていますか?待ち人はどうされましたか?お会いできたのかしら?
 あなたの様に物事を深く考える人が、毎日が刺激的に、過ごしていたら。疲れ果てて、死んでしまいますものね。
だから、あなたにとって、なんとなく過ごせる事はとてもよいことだと思いますよ。
 お会いしていた時には「何か水の中」に浮かんでいるようなフワフワ感がありましたね。 
身体の中に重りのような塊を抱きながら、しかも、それを大事にしながら、生きている。
不思議なあなた。お元気ですか?
 
ところで私は・・・・・。

 私は今、イタリアにいます。突然でしょう、この前のお手紙を書いたのは沖縄からでしたね、
あれから、南フランス、スペイン、ギリシャ、そして、今イタリア、ローマにいます。
 私の行動力もたいしたもんでしょう。 
なぜ、南ヨーロッパに来たかというと、実はある人と知り合いその方と旅に出たのです。
 その女性は、とても、美しい方です。日本の人なら一度は聞いたことのある。有名な写真家ですよ。名前は今は言えませんがやさしくて思いやりのある方です。
 ねじまき鳥さん、驚かないでください。私は今、その方のアシスタントをしています。
 だから、いろんなところへ出掛けて、いろいろな事を知り、物事を体験し、感じようとしています。
 でも、
 今、私は旅に出てから何か心がすっきりしないのです。
実感しているはずのことが、自分の体からするりと通りすぎてしまう感じがするのです。
それは自分が体験したのに、自分のものでは無く、向こう側のもう一人の私。いや、私らしき、人に行ってしまうのです。
よく解らないのです。
私が何かを経験した瞬間にそれは過去の事となってしまい、過ぎてしまったことのむなしさが残ります。でも、
心配しないでください。そんな事も何時かは時が解決してくれるように思います.

  飛べない鳥。
  水の無い井戸。
  出口の無い路地。
  針の無い時計。
  
お手紙を待っています.といっても、こちらには届かないでしょうから、・・・・・・
又お手紙を書きます。
さようなら。

メイより。

人工衛星の消滅

2007-04-04 16:01:33 | 「日々平安是好日」
 僕の友達が火星に行った話を聞かせてくれた。
その友達の名は「スプート・ニック」彼は、ライカ犬だ。
ニックの話では
 火星は地球からとても遠いところで、結構時間がかかったと僕に教えてくれた。
それでも、自分が寝ている間に着いてしまったそうだ。
 火星は思ったより、とても、寒くて、ジットシテイルト凍えてしまい動けなくなって死んでしまうらしい。

     だから、ニックは・・・・・。
 
 一生懸命走ったり、ジャンプをしたりして、体を動かしていた。
ジットシテイルト、直に、体の血液が凍ってしまい、もちろん、体の筋肉も凍ってしまい動けなくなる。
けれども、意識というか、頭は凍えそうでも、はっきりしていて、考えることが出来る。
そして火星に吹き荒れる風がニックに話しかけてくる。
「君は何処からきたのかな?」
ニックは答えた。「地球。」
「そうか違う星から来たのかそれじゃ、ここは初めてかい?何か分からない事があれば相談にのるよ。」と風が言った。
風は「地表にいても、水が無いから井戸を探さなくては行けない。」
「ここに、いるとご覧の通り寒くて凍えてしまう。」
「だから早く井戸の中になるべく、深い井戸に潜り込まなければ本当に死んでしまうぜ。」そして、
「井戸の中で過ごしている間は暗いけれど何とか生きていける。」
「そこは、地表より暖かいし、水が飲めるんだ。」
火星の風はそれこそ冬の北風のように、一時も休む事無く。
ニックに喋り続けている。
「井戸の中は暗くても、馴れれば、周りも見えるようになる。」
「それに、丸くなって眠る事だって出来るんだ。」
「だから君は早く、なるべく早く井戸を探さなければならないぜ。」
風は竜巻のように話しを聞かせた。
ニックは風の話に無理やり口を挟んで
「どうやって井戸を探せばいいの?」と早口で聞いた。
風は驚いてニックの顔を見た。そして、
「そんなことも知らないでここに来たのか?」
風は火星の空高く舞い上がり、そして勢いをつけて吹き降りてきた。
「異星人の若造。わしについて来い。」黄色い土埃を巻き上げながら言った。
ニックは薄暗い太陽の光の下で空を見上げながら、立っていた。しかし、もう考えている余裕は無かった。
今、ぼくに出来るのは火星の井戸に逃げこむことだった。ぼくは思いっきり息を吸い込み風の後を追った。