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栗太郎のブログ

一人気ままな見聞記と、
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「竜の柩」全4巻  高橋克彦

2007-09-26 18:13:13 | レヴュー 読書感想文
UFOの存在を信じますか?
この広い宇宙に、地球人以外の生命体がいたって不思議じゃないでしょう?
それがたまたま地球にやってきても。僕はそう思っている。

じゃあ、
古代史の神々は宇宙人だったって言って、信じますか?
そこまでいくと正直笑っちゃいますね。僕もはじめはそうでした。

この本の作者、高橋克彦。
「火怨」の作者でもあります。
だから僕はちょっと間まで、てっきりこの人は歴史作家だとばかり思ってた。
だけど、この「竜の柩」の存在を先に知ってたら、この本はもちろん、「火怨」でさえ読まなかったと思う。
だって、大国主命と宇宙人が絡むんですよ?
しかも、古事記の話が、メソポタミアに飛んじゃうんですよ?
そりゃ笑っちゃいますよね、ふつうは。


さて、そんな周りの反応を知りたくて、読んでる途中でちょっとリサーチしていた。
その相手は、僕と似た歴史観を共有する物知りオジサン。
以前書いた、日露戦争の生き残りの話や、新潟の米搗き労働者の話はこの人。
「天皇家はシャーマン(呪術者)だ!」と言ってみたり、
「俺は平将門の生まれ変わりかも。」と言ってみたり、とにかくユニーク。
古代史だって、出雲や諏訪の話や神武の東征についても一家言持っている。

早速、『因幡の白兎、実は宇宙人なんですよ。』と僕。
「あぁ?なんだって?」
『だからね、宇宙人。UFOに乗ってやってきたエイリアン。だってほら、スベスベした白い肌、ギョロッとした赤い目、延びた耳。この表現ってNASAのエイリアンの写真にそっくりでしょ?』
「なんだそりゃ~!?」
『おまけに、青森や広島にはピラミッドがあって、昔UFOが降りてきたの。極めつけ、諏訪大社の御柱はロケット。』


(^m^)ぷぷぷ 

(_≧Д≦)ノ彡☆ばんばん    


「おいおい。そりゃ何でも弾けすぎだろ~?」
さすがのSオジサンも、飛躍しすぎた話に笑い出した。

『そうですかねえ。出雲大社ってのは大国主を奉ってるんじゃなくて、幽閉してるんですって。僕は個人的に「出雲プリズン」って名付けました。』
「あ~そ。で、なんて本読んでんだい?」
『「竜の柩」ての。』
「ふーん。ま、読み終わったら感想聞くわ。」

あまり気乗りがしないらしい。反応も鈍い。UFOじゃ仕方がないね。


とにかく。
この本じゃまず、”龍”という未知なるものを追い求めることからストーリーが展開しだす。最初に「UFO」「エイリアン」という種明かしをしてから読者を口説くんだから、相当な自信だ。
犯人が罪を犯すところから始まる『古畑任三郎』のよう。

しかしまあ、作者の仮説はとっても独創的。
小説仕立てで、断言せずに逃げ道を作るところは「ダビンチ・コード」にも負けない。
個人的には古事記に興味がある訳で、そこまでしなくてもいいんだけど...。

まず、そのひとつ。
ヤマタノオロチは、実は製鉄技術を持った8つの部族で、彼らを平定した証に草薙の剣を奪った(つまりその技術を含めて)という。川が赤くなったのは砂鉄のせいだとも。
だからこそ、燃料(=山の木)と原料(=砂鉄)と技術がつながるわけで、草薙の剣こそ、当時最新テクノロジーの鉄なのだと。

まあ、この辺はうまく推理してると思う。


出雲大社のいきさつを、神話では大国主命が国譲りの代償として勝ち取ったことになっている。
しかし、作者はこの建物に幽閉されたのだという。スサノオに制圧されたというのだ。
(だから僕は、出雲大社をさしずめ「出雲プリズン」と名付けた。)
その後の菅原道真や平将門と同様に、鎮霊の廟所というわけ。

まあ、この辺まではよしとしよう。


出雲神話とインド神話には類似点が多く、そのため古代出雲とカルカッタの運命は同じなのだと。
まあ、世界各地の神話が似てるのはよくある話で、イザナキが、黄泉の国にいるイザナミを連れ戻しに行く話しなどはギリシャ神話のオルフェウスの話とそっくりだし。

この辺もあってもおかしくはあるまいね。


因幡の白兎がエイリアンだということも、UFOが降り立ったのが、出雲の鳥髪山だということも、実証不可能なことなので、まあ読み流しておいた。


しかし。
作家の妄想はその後、エスカレートの一途。


例えば、諏訪大社の御柱をパプアニューギニア辺りのカーゴ・カルトと同列にしている。
カーゴ・カルトとは、「先祖の霊が汽船(あるいは飛行機)に乗り、様々な文明の品々を携えて到来する」と信じる宗教運動のことだ。
つまり、御柱はロケットで、遠い宇宙からやってくるエイリアンのいわば灯台代わりの役目なのだと。
 
←これが御柱ね。

う~ん、どうかなぁ・・・・・・。



モヘンジョ・ダロにあるプールのような史跡は、水がない場所では生きられない龍(=エイリアン)の居住域なのだと。
生きてる龍の存在自体が「神」なので、ここには神殿がないとも。

 ←これが龍のプール?

う~ん、それもどうかなぁ・・・・・・。



それから、敵対するエイリアン同士が核戦争をおこして、敗れた側が逃れたのがカッパドキア。
だからそのカッパドキアは、核シェルターなんだと。
 
←え?この下が核シェルター?

う~ん、無理クリくさい・・・・・・。



「旧約聖書」でノアの方舟が漂着したといわれるアララト山。
ノアの方舟は、実はエイリアンが乗ってきた500mもの巨体のUFOなんだと。
そこに、神がエイリアンでは都合が悪いヴァチカンの茶々が入る。ついには、山頂で銃撃戦までおっぱじめてしまうのだ。

 ←この山頂付近でね。

う~ん、そこまでやっちゃうかぁ・・・・・・。


そしてそして。

な、な、な、なんと!
こっちは歴史ミステリーだと思って読んでいたのだけど、最後には「スターウォーズ」ばりのSFファンタジーになっちゃったのだ!!
さあて、この後どんな展開になるんだろ...。
は~ぁ。僕の中で、高橋克彦のランキングが2,3ポジションDOWN。
この本読んでみて、クドイのと妄想癖がどれだけ人をシラケさせるかを知りました。


10点満点中オススメ、前半8★★★★★★★★、後半4★★★★
(続編も出てて5巻、6巻と続きますが、ひとまず4巻までで話は一区切り。)


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