栗太郎のブログ

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チベット巡礼の旅(8) 成都、朝の散策

2019-05-09 05:14:06 | 見聞記 箱根以西

旅行6日目、最終日。

もう今日はお金もないので、ホテル周りの散歩と決め込んだ。
朝の8:00前に行き先も決めずにぶらりと出て、川沿いの遊歩道をのんびりと。





一環路という大きい通りにでれば、出勤ラッシュ。



青羊宮。
道教の始祖、老子が青い羊を連れて通ったという伝説が残る道教寺院。外から見るだけです。



その脇にある門から入ると、緑豊かな文化公園。中では太極拳で体を動かしている老人たち。



また通りに出て、大きな交差点で車や人の流れをただ眺める。(人混みで立ち止まるのが怖いので、遠くから)
当然、昔よくTVで見た、自転車の波ではない。



ちょうどこの辺りは、幾筋もの川がうねりながら合流していて、畔にでれば、ちょっとした造形物が並んでいたりする。



スロープも小粋な意匠の細工がしてあって、疲れを癒してくれる。



道路沿いの塀にも、何かを模した個性が至るところで見受けられ、緑の多さと相まってとても清々しい。



こちらは四川博物館の塀。竈だろうか?簡略化された意匠なのに、素材といい、その質感といい、立ち止まってしばし見惚れる。



その向かいに、なにやらどなたかの頭像が乗った大仰な門を発見。地図で確認すると、草堂小学校と。ああ草堂といえば、晩年の杜甫が4年間過ごした場所か。(←少し前に仕入れた知識)
そこに、校舎から聞こえてくる子供たちの音読の声。なんて気持ちがいいのだろう。



門に近づいてみると、なにやら詩が書かれている。
そうなれば、間違いなく杜甫の詩であろう。何とか読める字から推測してググってみる。



やはり杜甫、七言律詩「賓至」であった。

幽棲地僻經過少 老病人扶再拜難
豈有文章驚海內 謾勞車馬駐江幹
竟日淹留佳客坐 百年粗糲腐儒餐
不嫌野外無供給 乘興還來看藥欄

概訳すると、、、こんな田舎の我が家に詩文を習いに来たってしょうがないのに。お構いもできないし、それでもよかったらお好きに覗いて行ってね、的な内容。
詩才を鼻にかけずへりくだっている態度は謙虚ともとれるが、争乱の長安を捨ててこんな遠くまでやって来てきてしまった自嘲も感じなくもない。小学校の門に書くくらいなのだから、施工主の意図は前者であろう。

塀伝いに歩く。
「草堂小学」の文字がまた決まっているなあ。篆刻好きにはたまらない。
隣の敷地は幼稚園らしく、高級車で子供を送迎するお母さんが何人もいる。なに、中国人はいつからこんなハイソな民族になったんだ、って思わせるブルジョア感。まあ中国は、世界で最も億万長者が住む国なんだからしょうがないか。



お!このバイクとオレンジ色の作業員をよく見かけるぞ。と気付いてよく行動を観察していると、街のゴミを集めている。ああ、だから成都の街中は清潔感があったのか。



周辺散歩街のいたるところに心惹かれるデザインが、川沿い、遊歩道、塀、いたるところで。さすが漢字の国だ、と感嘆のため息を漏らしてばかり。川端は清々しいし、緑も気持ちいいし、およそ1時間の散歩からホテルに戻った。



ホテルの中庭も、なかないい。たぶん、歩いてきて気分がいいから目に入ってきたのかも知れないな。




約束の10:00にSさんは迎えに来た。もうあとは、飛行機に乗って日本に飛んで行くだけだ。
街中を抜けて環状線を目指す。成都は都会だが、交通ルールはラサに負けずでなんでもありだ。追い越し、割り込み、OK。そういうものなのか、クラクションも鳴らさない。右折は信号の有無関係なく常時OK。バイクや自転車は、ラサ同様逆走お構いなく、信号も無意味。警官だって目の前のそんなバイクを止めやしないんだからこれが当たり前なのだ。環状線なども相当な交通量なのに、全然カリカリした運転をしない。むしろ、まるでスキー場のように、早い車はスラロームで隙間を縫っていき、抜かれたほうも気にもしていない、そんな感じに近いか。だから車線は時に意味がなく、道幅の単位くらいに思っていればいい。ここでは、そういうルールなんだろう。それがどこか成都3000年の街の風格なのかも。
Sさんは、昨日今日の車代が合計16,000円になると言ってきた。高くないかなと思ったが、ここは言い値で了承した。帰る気分だと空港まではあっという間に着いてしまった。

Sさんは搭乗手続き窓口まで送ってくれた。とても腰の低い人だった。10:39手続き終了。あとは乗るだけだ。
トイレには「上前一小歩 文明一大歩」とある。その一歩が文明への大きな一歩、とパンダが笑っていた。




僕の乗った飛行機は、飛び立って5時間25分後の16:35(時差1時間)、無事成田に到着。空港で腹に入れた食事はチンジャオ定食だった。帰ってきてまで中華料理ってわけは、まだ全部を信用してはいないけれど、僕の中の中国観が上向きになっている証拠だった。少しでも楽に帰りたくてマロニエ号で宇都宮まで。当然、日本ではマスターカードは使えました。
自宅着22:15。残金3.5元。6日間チベットの旅、これにて幕。



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2 コメント

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お疲れ様でした (osaru)
2019-05-18 14:15:32
自分は月一、大学のサークルで中国人の先生から中国文化と中国語を教えてもらってます。何でも聞いてねw

チベット旅行お疲れ様でした。いくつか動画もあって一緒に旅してる気分になれましたよ。でも途中の金づるにされている少年には心が痛みました。とにかく無事で帰国されてなによりです!
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>osaru兄さん。 (栗太郎)
2019-07-10 02:51:49
たいへん遅れました!

習っているなら行きたいでしょう?
今の中国は、以前の印象とは全然違っていて都市部はすごい都会ですよ。それこそ、今のチベットが20?30?年前の中国って感じでした。ぜひ、兄さんの中国旅行記を期待したいです。だって、現地で会話を楽しめるんですから!
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