栗太郎のブログ

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「七つの金印」 明石散人

2008-02-21 16:29:06 | レヴュー 読書感想文
読んでる途中で脳裏をよぎったのは、旧石器時代遺跡の捏造事件のこと。
`神の手´とまで呼ばれた藤村新一が、20年近くも学界を欺き続け、ある日、新聞社のカメラマンが待ち構えているとも知らず、石器を埋め直すネタつくりの現場をスクープされた事件だ。(やはり、最後にこの件について触れていましたが。)

※実は、先日行って来た歴史民俗博物館に、その石器が展示してあった。

この事件のおかげで、教科書の記述も大幅に書き換え直すなど各方面に多大な影響を与えた。
その恨み節も相当であったと思うが、捏造をすっぱ抜いたのがマスコミな訳で、専門家が揃いも揃って騙され続けたことは事実。まずは真摯に猛省すべきであろう。


と、もう数年前の事件を改めて言いたくなった。
なぜならばこの本も、金印の発見自体をそう言いたいのではないかと思うからだ。
亀井南冥が功名心のあまり、捏造したのだと。

国宝『漢委奴國王印(かんのわのなのこくおうのいん)』
※実は、またこれも展示してあった。(ただしレプリカです)

この日本史上の大発見を疑いだすと、どんどん不審な点が出てくるのだ。 
この金印。
近い将来、贋物でしたと発表されたりして、ね。あながち冗談と笑って流せなくなりました。
それほどこの話、歴史ミステリーの筋としては一級だと思います。
ただし、みっちりと書き込まれた文章を読むにつけ、どうも疲れて困りますね。
会話に飛び出すのは、やたらと詳細な年代・人物名・文献・事柄、そしてその内容にいたるまで。
そんなに覚えている人なんているのかよ!と呆れます。
もう少し敷居を下げてもらわないと、またこの人の本を読む気にはならなそう。
あ、もっともこの人、誰かのペンネームという話もありますが。



10点満点中オススメ、やはりネタの斬新さとワクワク感は上々なので
7.5★★★★★★★☆

てことで、僕も模刻してみました。





七つの金印 (講談社文庫)
明石 散人
講談社

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