広縁というものは実に良く出来た機能を持っていると思います・・・
(縁側・濡れ縁・広縁・・・細かな違いがありますが今は広縁と致します・・)
訪問したお宅の広縁に休憩している方々がいました・・・声を掛けて近づくと・・・
まあ、お茶でも飲んでいって・・・と 広縁をすすめられて腰掛けると・・そこは陽だまりの暖かさです。
靴を脱ぐ事もなくお茶を頂きながら、ふっと 広縁の脇を見ると、切った野菜がざるの中で天日干しに・・・
さらに、反対側では洗濯物がずらりと並んでいました。
雨に当たることも少なく、野良仕事の途中でも地下足袋や長靴を脱ぐことなく、ゆったりと休憩が出来る・・・
夏、広縁での夕涼みから、夜の花火など情緒あるれる風景と、合理的に考えられた日本独特の文化だと思います。
建物の耐震強度を理由に、建物の角には必ず壁が作られるようになって、広縁の開放感や
日本家屋らしい間取りが失われました・・・時代の流れだと致し方なく思いますが・・
立派な設計事務所が設計された、摩訶不思議な形状の建物を見ていると・・・
地震にも安全な、広縁付きの日本建築などは、もっと簡単に設計できてしまうのでは・・・?
と思ってしまいます。(けして、現代の設計を否定しているのではありません)
流行語大賞ではありませんが、流行の中で多くの新しい言葉が生まれ・廃れていきます・・・
博物館にあるような、江戸時代の書簡でも読みづらく、意味も理解が難しいです・・。
さらに前の時代になれば、古文の世界です・・・
当時は一般的だった古民家も、今では贅沢で余裕のある方が、生活維持出来る、建物になってしまいました・・
それでも多くの古民家が持て余されて、解体処分される運命が待っています・・・
そんな状態になるまでには、いろんな理由がありますが、多くの方の知恵とご尽力を頂まして・・・
次の世代に引き継ぐ事が出来るように、広縁の良さを多くの子供達にも経験してもらいたいと思います。