暮らしと古民家

折々の暮らしの中気が付く大切なこと

引き継ぐ

2018年07月31日 | 古民家

 封建的な社会事情で祖先から引き継いだ仕事を生業としなければならない時代がありました・・・

日本で言えば、士農工商は誰もが知っていますが・・・200年以上もそんな仕組みがありました・・・。

良い悪いは別として、その中で残されてきた技術もあったと思います・・・。

今でも、伝統芸能・・・伝統技術は一子相伝として引き継がれていると思いますが・・・(すべてがうまく継がれていませんが)

派手な世界とは裏腹で・・・細分化された下請け加工の技術があって成り立つ伝統工法もあります・・・

そのどれ一つが欠けても、長年受け継がれてきた技術は残せなくなってしまい・・・

社会生活の変化で必要とされなくなって来ている物もあります・・・。

農業や林業・漁業は、その苦労を子にさせたくない親が、跡を継がせないと言う現状もお聞きしました・・・。

お米を作っても赤字・・・そんな仕事は続ける事が出来ません・・・国が補助金を出して生き延びているだけのようです・・・。

農家では無い自分は、農業の苦労や大変さを理解する事は出来ませんが・・・そんな現状は間違っていると理解する事は出来ます・・・

税金がお米だった国です・・・その核となる産業が、後10年・・・20年すると担い手が居なくなってしまいます・・・。

食を支える重要な職業です・・・ブランド米などの工夫で、付加価値を造り出して頑張っている地域もあります・・・。

以前も書きましたが・・・農家の子は農家では無くなってきています・・・酒蔵の蔵元の跡継ぎが社外の人材だったり・・・

伝統技術を受け継ぐ会社の社長さんが外人さんだったり・・・

サラリーマンの子供が農家さんや林業に携わる仕事をしています・・・。

垣根は低くなり・・・社会の構造も変わってきました・・・

ある新聞に伝統技術を引き継ぐ方の言葉が載っていました・・・。

「伝統とは技術や技法ではなく・・・取り組む姿勢です。」・・・・・・・

厳しく長い道のりの世界です・・・。一生修行・勉強とも言われる世界ですが・・・

それはどの仕事にも言える事・・・情熱を持って向き合える仕事に出会える事が大切です。

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道具

2018年07月30日 | 古民家

 いろんな物が豊かでない時・・・砂糖やチョコレート・・・梅干やコーヒーなどは・・

薬として扱われる事もあったようです・・・。

得体の知れない物、魅力的過ぎるもの・・・宗教的によろしくないもの・・・

病気に効くと噂されたものなど・・・科学的な根拠も取れないような時代は・・・

そんなあいまいな感覚で用途の判断がされていました・・・。

でも、その効用や体に与える効果は理解して、その大切さは解っていたようです・・・。

農耕器具や林業で使われる伐採道具・・・石切場の道具・・・

大工さん・左官屋さん・植木屋さん・・・それぞれの職種や職人さんにはそれぞれの特殊な道具があります・・・。

その道具を造る加治屋さんや大工さんがいて・・・その造られた道具は、それぞれの職人さんが自分に合う様に・・・

加工する物や工程に合わせて、少しずつ手を加えました・・。

道具は自分で造るもの・・・・!

道具は育てるもの・・・・・!職人でもない自分が言うとあまり説得力がありませんが・・・

大工さんが使う鉋やノミは、その手入れによって、仕事の優劣や技術の上達がはっきり分かれます・・・。

同じように、農家さんもトラクターなど無い時代・・・鍬(クワ)や鋤(スキ)はとても大切な道具で・・・

日々の手入れは欠かさずしていた様です・・・。道具を大切にするのはどの世界も同じですね・・・。

そんな道具もお手入れ要らずの替え刃や、電動工具・・・一生物の道具と言う感覚も無くなり・・・

古くなったら買い替える・・・仕事に対して向き合う意識が低い考え方になってしまったような気がします・・・。

加治屋さんもその存在が天然記念物くらい特殊な職業になってしまい・・・道具を造る事も出来なくなって来ました・・・。

道具が、お守り的な存在になってしまい・・・道具が活躍する場の手仕事がなくなってしまう危機感があります・・・。

文化財などを保存するような特殊な仕事は残りますが・・・庶民の文化は廃れて行ってしまうのでしょう・・・。

化学や技術・多くの物が溢れる事で、使い方や扱いは解っていても・・・それらは必要とされなくなるのですが・・・。

知識や情報が少なく、砂糖やチョコレートが薬だった時代のように、原点に返って考える事も必要だと想います。

 

 

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和の造り

2018年07月29日 | 古民家

 大きな屋根が特徴的な日本の家屋・・・軒が大きく迫り出しているのには意味があります・・・。

住宅密集地などの狭小住宅では、当然ながら部屋の広さを優先するので、軒の出はほぼありません・・・。

そうなると・・・真夏の太陽の日差しは、外壁や室内に容赦なく降り注ぎます・・・。

雨の日も・・・外壁に雨は叩き付け・・・窓を開ける事も出来ません・・・。

日差しを遮り・・・外壁を雨から守り・・・自然の風を取り入れる・・・

先人の知恵が、古民家の大きな屋根を形造ってきました・・・。

室内の天井の形もさまざまあります・・・。

平天井・傾斜天井・落ち天井・折上げ天井・船底天井・掛込天井・・・・

部屋の用途でその仕上げが決められていますが・・・(すべてではありませんが・・)

部屋の広さで天井の高さも決められていました・・・。

今の建物は、天井は高いほうが良いと思われていますが・・・和室の造作材などの納まりを考えると・・・

部屋の大きさと天井高さのバランスや・・・落ち着きある空間造りの考え方などで、天井を低くする事があって・・・

茶室などは、天井の高さが2mも無い部屋もあります・・・。

その天井の形状に天井仕上げが加わってきます・・・。

竿縁天井・目透かし天井・格天井(ごうてんじょう)・網代張り天井・・・

形状に合わせて仕上げも決められてきますが・・・茶の湯やおもてなしの考え方で仕上げられる事が多いようです・・・。

来訪者を心地よくもてなす・・・客人に対する謙虚な気持ち・・・日本の侘び寂にもつながる考え方だと思います・・・。

和の空間は、こんな細かな所まで・・・と思うくらい手間を掛けた造りになっています・・・。

古民家や・民家園など普段見れない特別展など・・・見学出来る機会があれば・・・

こんな事を少し思い浮かべながら見てみると、新しい感覚で古民家を感じる事が出来ると想います。

 

 

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2018年07月28日 | 古民家

 木陰で休憩・・・森林公園などの大きな場所では目にする光景でも・・・

身近な生活や暮らしで経験する事では無くなって来ています・・・。

木々や土・草は・・・降り注ぐ太陽や照り返しの日差しを遮り・・・温度や湿度を穏やかにしてくれます・・・。

雑草や生垣など、小さいながらも庭があれば・・・新緑や色とりどりの名もない花・・・実りや紅葉の鮮やかさ・・・・

季節を感じられる暮らしと、豊かさがあった気がします・・・。

田園風景や里山のような環境が無くなる事で・・・屋敷林を持つような住まいも無くなりました・・・。

平野で田畑が広がる場所では風の遮るものも無く・・・防風林的な役割や・・・

いずれ住まいを建てる時に建材として木々を植えてきました・・・。

フキノトウ・竹の子・ワラビやゼンマイ・・・・里山ではそんな自然の恵みが季節を気付かせてくれて・・・

自然は無くてはならない大切なものとして、当たり前のように感謝の心があったと思います・・・。

自然に抗う住まい作り・・・・培ってきた言葉や、意味ある多くの名前を変えることの重大さを知らず・・・

地域の仕組み作りがなされてきました・・・。

受け渡されてきたものには意味があります・・・それは祭事や言葉・など・・・

歴史や経験があって残されて来たものは自分達が残さなくてはいけません・・・。

このところ頻繁に発生する災害の多くは人災です・・・(あくまでも個人的な見解です)

生きる事への「業」は誰もがありますが・・・節度ある生き方があるのではないかと想います。

 

 

 

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継続

2018年07月27日 | 古民家

 町おこし・・・地域活性・・・地方再生・・・

行政さんが有識者や学識経験者を選んでいろんな取り組みをして・・・

お偉い大学の先生も出てきて・・・大手コンサルタント会社さんも立派な講演をして・・・

有名な設計事務所さんが手を掛けた成功事例が発表されて・・・・(いきなり批判的な話しですが、個人的な見解です。)

ある場所で、水出しコーヒーを出してくれるカフェがあります・・・

築50年以上は経っていると思われる、あばら家(古民家)と言って良いほどのお店です・・・・。

その方は、その場所に何度か訪れている内に何か感じるものがあって・・・

その建物を借りて、カフェを開きました・・・その建物を借りるまでの苦労もありましたが・・・

お店を始めて・・・もっと大きな苦労が始まりました・・・・

地域に受け入れられず・・・変人扱いされ・・・観光客もほぼ通らない場所・・・

それでも、廻りに声を掛け続け・・・地域の集まりに参加して・・・出来る事は積極的に動きました・・・

5年・・・10年・・・ようやく地域から声が掛かり・・・お店にも来る人も増えて・・・

廻りの環境や・・・その方の人柄など・・・こだわりの水出しコーヒーも口コミで広がり・・・

地域と一緒になって、さまざまな活動をしていくようになりました・・・。

その場所に暮らし・・・生活を共にして来た町や村の方々からしたら・・・

部外者が良かれと思って活動した事が・・・町や村には善意の押し付けになっている事があります・・・。

時間を掛け・・・相手の立場に立って・・・継続的に進められる活動が本当の地域再生だと思います・・・。

1年・・・2年・・・それが長いか短いか・・・?

5年・・・10年が長いか短いか・・・?

人の心を変えるのは簡単ではありません・・・

長い歴史や文化として築き上げられて来たものを変えるのも、並大抵なことではありません・・・。

人と人が関わる密度をどれだけ濃く出来るか・・・?のだろうと思います・・・。

力が無くても・・・知識が無くても・・・信頼が無くても出来る事・・・

それは、少しずつの積み重ね・・・継続では無いかと想います。

 

 

 

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