熊本レポート

文字の裏に事件あり

「日立造船は熊本県の誘致企業として全面支援」というのは詐欺か真実かの検証

2019-08-04 | ブログ
4、5年前、熊本市二本木にあるファミレスで食事をしていた客が、対面の相手に「船を造らなくなった造船会社が、いま何を造っていると思う…立体駐車場だよ」と、向かいのプレハブ造りの二階建ての営業所を指して語った。そこは日立造船熊本営業所であった。
2002年、日立造船は船舶、海洋部門からの撤退を決断し、長洲町にある有明工場は日本鋼管(現・JFE)との合弁会社として、この熊本県からは撤退した。
「立体駐車場の製作」も事実だが、日立造船は県外の工場で環境設備、産業機械の主生産に切り替えたのであった。
その環境設備の製造、製作で主力となっているのがごみ焼却処理施設である。
2015年、その日立造船は八代市の新環境センターの建設、運営を約180億円で受注すると、2017年には菊池環境保全組合が発注した新環境工場の建設、同運営でも続けて同じく約180億円で受注。
現在、ごみ焼却施設等を製作しているメーカーは新日鉄、三菱重工業、前述したJFEなど10数社あるが、何故にここまで「日立造船は熊本県で強いのか?」と、極めて初歩的な質問を投げたところ、該当自治体の幹部から「そりゃ、地元誘致企業で熊本県がバックアップしている会社」と意外な回答が出た。
「それは誰が言いましたか?」
と、回答を承知して尋ねると、
「誰もが言っているし、常識でしょう…知らない方が不思議」
彼は笑って言った。
熊本県は1973年、日立造船を玉名郡長洲町に招き入れた。そもそも有明海の一部まで埋め立て大規模工業団地を造るなど、それは県にとって大事業で、当時の玉名温泉は官民入り乱れて大盛況を見せたらしい。
この時、熊本県側は「1番手の誘致企業として県は全面バックアップする」と密約を交わしたと、当時の関係者は振り返って語る。
そこで持ちつ持たれつと始まったのが、「熊本県からの天下り、日立側には人質」という人的パイプであった。
付近の住民から「消えた」と見られた日立造船熊本営業所は、それまでとは一変して熊本市中央区上通りの真新しいビルに移転しているが、ここにいま天下っているのが熊本県環境局長から会計管理者という三役まで務めた山本理氏。


順番の回って来た彼の天下りは丁度、八代市から180億円の受注から菊池環境保全組合の180億円受注の中間時期であったが、その営業成績はどうあれ、三役クラスのお迎えとあっては、その日立造船側の配慮も伺える。
彼が「誘致企業、城下町企業」を売り文句にしたかどうかはともかく、昔の大鵬、巨人のごとく連勝を目指して、さらに宇城広域連合、天草市のごみ焼却施設の受注に向けて果敢に取り組んでいることは確か。
だが前述した通り2002年、日立造船は長洲町から撤退し、いまでは元誘致企業ではあっても、「地元企業、城下町企業」として熊本県(県民)が全面支援しなければならない責任など存在しない。
仮に天下りポストを与えられる企業にしろ、それは熊本県旧現の幹部職員らの問題であって、「ホワイト国除外」の問題と同じ相対論となる。
全ては平等に取り扱われるのが論理に基づく正論であって、「優遇外し」に文句を並べる方が愚論。
「日立造船は熊本県には存在しない」
という説明に前述の自治体議会関係者らは「詐欺だ」と返したが、そんな詐欺といえる話でもなく、彼ら自身の認識不足にある。
ところで次の宇城広域連合、天草市の受注まで自信を見せる背景とは何なのか、それを語ってくれるのが決定書を作成する側の見解である…。



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