【冤罪】取り調べの可視化に抵抗する自民党政府 サンプロ
サンデープロジェクト 言論は大丈夫か 第14弾「一部可視化でいいのか」(2008年8月31日)
全面可視化を頑なに拒否する自民党と司法。彼らがよく言う、
- 録画すると冤罪が増える
- 録画すると容疑者との信頼関係が結べない
- 録画すると共犯者の証言をしなくなる
- 録画するとプライバシーを話せなくなり、自供しづらくなる
は本当でしょうか。
海外の状況が書かれた資料を探してみたところ、日弁連の資料が有りました。
可視化推進の立場から書かれた資料のため、その分を割り引いて読む必要があります。また視察先の警察が説明・実演したとおりに実態が運用されているのかどうか、この資料だけではわかりません。しかしそれらを差し置いても、日本はかなり異常だと言わざるを得ません。
3つの国を簡単にまとめてみます。詳細は上のリンク先でご確認下さい。
この資料によると例えばオーストラリアのニューサウスウエールズ州では、1994年に、警察が「組織的なでっち上げ」を行っていることが発覚、可視化への法整備が進められ、翌1995年からは、「自白を証拠とするには録画か録音が必要」となり、同時に、警察での拘束時間を4時間に制限(裁判官の令状で延長可能)されました。組織的なでっち上げは、議会が承認した委員会が行った調査で判明したものです。
アメリカのイリノイ州では、2005年に法律で可視化が義務づけられました。シカゴ警察では、被疑者を警察に拘留する最大48時間の間、録画と録音をしているそうです。例外は被疑者と弁護人が接見する時のみということです。
イタリアでは取り調べに弁護士の立ち会いが1970年に認められ、1995年に録画・録音が義務づけられました。制度改革のきっかけは被疑者に対する暴力で、日本の最高裁にあたる憲法院が、弁護士の立ち会いが認められないのは憲法違反という判断を下したのです。また検察官による取り調べは、開始24時間前までに弁護人に連絡する義務があるそうです。そして弁護人立ち会い無しでの取り調べ自体が、禁止されているとのことです。録画録音されていない拘束中の被疑者の供述は、証拠として認められません。黙秘や否認によって被疑者が不利になることは無いというのも印象的でした。
弁護士の立ち会いを許さず、自白するまで何ヶ月も拘留する日本とは大違いです。オーストラリアのように、実権を持った委員会を議会が承認し、迅速に調査を行い、翌年に実効性のある新制度が実施されるという単純明快なプロセスは、おそらく他の先進国では普通なのでしょうが、今の日本では到底無理でしょう。ちなみに日本は韓国よりも遅れてます。
自民党や法務省が言っている反対理由は、各国の担当者にことごとく否定されています。日本はこのままで一部可視化で決着し、代用監獄への長期拘留が禁止される気配はありません。この国を変えるには、自民党に一度政権から降りていただき、彼らが作り続けた法律をどんどん直していく以外に、方法は無いと思います。
番組について一言:一部可視化と全可視化による違いを模擬裁判員を使って実験していますが、どちらも同じ人を使っています。これって新薬の二重盲検で同じ人に本物とプラセボを順に飲ませるようなもので、最初に見たビデオの影響が残ってる状態で正確な実験が出来るのか疑問です。もっと大勢の人を無作為に選んで、2つの集合に分けないとダメなのでは。コストの関係ですかね・・・