裁判員裁判 高知> 警官衝突死  少年に懲役4~6年求刑 地検「故意性あった」
2017.08.02 朝刊 27頁 社会1 (全767字)
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 2015年8月、高知市内を自転車で走行中に警察官と衝突して死亡させたとして、傷害致死と公務執行妨害の罪に問われている少年(19)の裁判員裁判が1日、高知地裁であり、検察側が懲役4年以上6年以下の不定期刑を求刑したのに対し、弁護側は故意性を否定して無罪を主張し、結審した。判決は4日。
 検察側は、無灯火で歩道を走行し、パトカーから追跡された少年が、前方に別の少年グループに職務質問をしていた警察官の存在を約35メートル手前で認識したと主張。
 警察官が制止を求めるのは容易に予測できたのに、自転車を時速約43キロに加速させて集団を通過しようとした行為について「被害者に接触する危険性が高く、生命・身体に危害を及ぼす恐れがあると分かっていた」として衝突には故意性があった、とした。
 弁護側は、少年の進路前方の右側にスペースがあり、そこを通れば誰にも接触せずに通り抜けられると考えた、と主張した。
 その上で、パトカーのドライブレコーダーの画像などを基に「被害者は近づく少年に気付いていなかった」とし、「被害者が突然歩道を横切ることがなければ、少年は何事もなく通り過ぎていた」と故意性を否定。
 衝突までの状況を説明した警察官らの証言の信用性について「警察組織として少年の責任を重くする意図はなかったか」と疑問を呈した。
 最後に少年は「たばこを持っているのが見つかりたくないという理由だけで逃げ、警察官を亡くならせてしまい、本当に申し訳ありませんでした」と述べた。
 起訴状によると、15年8月14日午後9時10分ごろ、当時高校3年生だった少年は、同市長浜の歩道を無灯火の自転車で走行中にパトカーから停止を求められ、逃走。歩道前方にいた高知南署地域課の男性巡査部長=当時(25)=と正面衝突し、約2カ月後に頭蓋骨骨折などで死亡させた-としている。
高知新聞社
 

裁判員裁判 高知> 「警官に気付かなかった」  自転車衝突死 少年主張
2017.08.01 朝刊 25頁 社会1 (全815字)
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 2015年8月、高知市内を自転車で走行中に警察官と衝突して死亡させたとして、傷害致死と公務執行妨害の罪に問われている少年(19)の裁判員裁判が31日、高知地裁であり、被告人質問で少年は「追跡してきたパトカーから逃げるのに必死で、警察官が前にいるのは気付かなかった」と主張した。検察官などの取り調べ段階では「警察官がいると認識していた」と供述していた。
 被告人質問などによると、15年8月14日午後9時10分ごろ、当時高校3年生だった少年は、無灯火の自転車で同市長浜の歩道を走行中にパトカーから追跡を受けた。これに気付いた少年は、持っていたたばこが見つかると大学進学に影響するなどと考え、逃走した。
 パトカーの警察官が拡声器で「止まりなさい」「事故を起こしますよ」などと注意したことについて、少年は「両耳にイヤホンをして音楽を聴いていたので聞こえなかった」と主張した。
 逃走中に進路前方に数人の集団を見つけたことは認める一方、「歩道の右側が半分以上は空いていて、そこを通れると思った。(職務質問中の)警察官には気付かなかった」とした。
 取り調べ段階の供述との矛盾点を検察側がただすと、少年は「思い出せない」「分からない」と説明。「突然、人影が現れ、よけようとしてハンドルを切り、ブレーキをかけたが、ぶつかってしまった」「身勝手な行動でこのようなことになってしまい、申し訳ない」と述べた。
 この日は、事件から約2カ月後に頭蓋骨骨折などで亡くなった高知南署地域課の男性巡査部長=当時(25)=の父と妻が証人尋問に立った。
 2人は共に警察官。父は「自慢の息子で、一緒に仕事もしたかった」と涙声で話し、事件直後に少年がツイッターでテレビ番組の感想などを投稿していたことなどから「反省していないと思う。長い間、刑務所に入って矯正教育を受けてもらいたい」と話した。妻も「真実が述べられているのか疑問に思う。本当のことを知りたい」などと述べた。
高知新聞社
 

警官死亡の自転車事故、裁判員裁判が初公判 /高知
2017.07.23 大阪地方版/高知 27頁 高知全県 (全222字)
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 高知市の歩道で2015年、警察官に自転車で衝突して死亡させたとして、傷害致死と公務執行妨害の罪に問われた少年(19)の裁判員裁判が21日、高知地裁で始まった。少年は起訴内容について「警察官めがけて走ってはおらず、当たると思っていなかった」と述べた。少年はまた、「歩道上にスペースが空いていて、そこを通れば人に当たらないと考えていた。警官から停止を求められたことはない」、弁護側も「暴行の故意はなく、傷害致死も公務執行妨害も成立しない」と述べた。


朝日新聞社
 

少年 起訴事実を否認 地裁初公判 警察官自転車衝突死=高知
2017.07.22 大阪朝刊 31頁 (全516字)
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 高知市で2015年8月、高知南署の警察官(当時25歳)に自転車で故意に衝突し、約2か月後に死亡させたとして、公務執行妨害罪と傷害致死罪に問われている少年(19)の裁判員裁判の初公判が21日、地裁(山田裕文裁判長)であった。少年は「人に当たるとは思っていなかったし、警察官に向かって自転車を走らせていない」と起訴事実を否認した。
 起訴状によると、少年は15年8月14日夜、高知市長浜の歩道を前照灯のない自転車で走行。パトカーから停止を求められたが、逃走し、同市長浜蒔絵台の歩道で制止しようとした警察官に対し、取り締まりを逃れようと自転車を衝突させたとされる。警察官は頭の骨を折るなどして約2か月後に死亡した。
 検察側は冒頭陳述で、少年は、たばこを持っていたことなど警察官の取り締まりを受けたくない事情があり、衝突地点の直前までペダルをこぎ続け、自転車を加速させるなどして警察官らの集団を突破するため、故意に衝突したと指摘した。
 少年は、「歩道にはスペースがあり、誰にも当たらないと考えた。取り締まりを免れようと集団を突破する考えはなかった」と述べた。弁護側は「傷害致死罪や公務執行妨害罪の成立に必要な暴行や故意はなかった」と無罪を主張した。
読売新聞社
 

裁判員裁判 高知> 自転車の少年 無罪主張  警官衝突死 故意否定
2017.07.22 朝刊 29頁 社会1 (全785字)
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 2015年8月、高知市内を自転車で走行中に警察官と衝突して死亡させたとして、傷害致死と公務執行妨害の罪に問われている少年(19)の裁判員裁判が21日、高知地裁で始まった。少年側は「警察官に当たるとは思わなかった」と故意性を否定し、無罪を主張した。県内で少年対象の裁判員裁判は初めてで、法廷には遮蔽(しゃへい)用のついたてが設置され、少年のプライバシーを保護する措置が取られた。
 起訴状や検察側の冒頭陳述によると、15年8月14日午後9時10分ごろ、当時高校3年生だった少年は、無灯火の自転車で同市長浜の歩道を走行中に、パトカーから停止を求められた。
 少年は所持していたたばこが見つかると大学進学に影響するなどと考えて逃走。パトカーの警察官から「この先に警察官がいます。止まりなさい」「事故をしますよ」などと拡声器で注意を受けた。
 少年は、歩道の前方で別の少年に職務質問をしていた警察官らの集団に気付き、衝突する危険性を認識しながら時速約43キロに加速。集団を突破しようとして高知南署地域課の男性巡査部長=当時(25)=と正面衝突し、頭蓋骨骨折などで約2カ月後に死亡させた-としている。
 少年は公判冒頭の意見陳述で「自分が乗っていた自転車がぶつかって警察官が亡くなってしまったことは認める」とした上で、「パトカーから停止を求められたかどうかは分からない。歩道上にはスペースが空いていて、そこを通れば誰にも当たらないと考えていた。集団を突破しようなどとは考えていなかった」と述べた。
 弁護人も「少年に故意はなかった。過失致死や重過失致死の罪に問われるのはやむを得ないが、傷害致死、公務執行妨害の罪で起訴されているため、無罪を主張する」とした。
 この日の証拠調べでは、少年を追跡したパトカーのドライブレコーダーで少年が警察官と衝突する直前までの様子を録画した映像が流された。