高知新聞朝刊(5/25付け)に次のような見出しで、高知白バイ事件記事が掲載された。 以下同日朝刊より全文転載
「県警の証拠捏造否定・高知地検が意見書」
高知市春野町で2006年にスクールバスと県警の高知白バイが衝突し白バイ隊員が死亡した事故について、有罪判決を受け服役した元バス運転手の男性(59)が起こした再審請求で、高知地検は24日までに、証拠に問題はないとする意見書を提出した。意見書は10日付け。
男性側は今年2月、警察庁科学警察研究所(科警研)顧問も務めた三宅洋一・千葉大学名誉教授による鑑定書を提出。三宅氏はこの中で、現場写真のネガフィルムを鑑定した結果、現場写真の合成が行われたり、バスのスリップ痕が偽造されたりした疑いがあると主張していた
検察側の意見書はこの鑑定書に反論する内容。科警研の技官と民間研究所の研究員が記した。
意見書はスリップ痕について」周りに液体の痕跡はないなどと指摘。スリップ痕に液体状の痕跡があるとした鑑定書に反論した。
証拠写真のネガフィルム複製や改ざんの疑いに対してはフィルムの傷の可能性がある、などと反論した。
男性は08年業務上過失致死罪で禁固1年4月の実刑判決が確定し服役。出所後の10年10月に再審請求した。
以上
高知新聞は高知地検が5月10日付けに提出した、科警研の「意見書」と民間研究所の提出した「捜査関係事項照会書回答」 の原本写しを確認したうえでこの記事を書いたのだろうか?
これは情報操作と言っていい内容だ。
三宅鑑定書に対して、科警研技官2名が共同して意見書を書いているが、民間研究所所員名で提出されたのは、回答書という表題ではあるが事故鑑定書であるのは一読してわかるし、その中に三宅鑑定への反論として明記された事項は全くない。また、高知地検が研究所員に照会した内容には、三宅先生のネガ鑑定や写真鑑定についての照会事項は一つもない。
さらに問題なのは、科警研の意見書の中に、「スリップ痕について周りに液体の痕跡はない・・・」という文言はもないし、そういった趣旨の部分もない
科警研の意見書は純粋に三宅先生の写真やネガの解析手法や解析結果に対する意見を述べているが、A4サイズ3枚の意見書の中に「液体」という単語すらないのだ。
確かに三宅鑑定書の中で、「何らかの液体で描かれた」という趣旨の鑑定があったと記憶しているが、それに対しての反論は、科警研の意見書には記載はされていない。
ただし、高知地検の照会に対して民間研究所の提出した回答」の中に以下のような回答がある。
高知地検照会事項
イ 「スリップ痕の先端が特に濃く印象されている原因としてはどのようなことが考えられるか」
以下、回答書P11より転載
スクールバスのスリップ痕の先端が濃くなる原因の一つとして、擦ったタイヤの摩耗粉がトレッド(タイヤの)下に集まったことが考えられる。風などが吹けば摩耗粉は飛んでなくなる。
あるいは、タイヤ痕の着地点に液体が流れ、全体が乾いてから車両を移動させたときに、タイヤの接地部分だけが乾かずに濃く見える場合がある
スクールバスのタイヤの周りに液体の流れた痕跡は認められない。誰かがスリップ痕を書いたことによって液体が溜まったとするには、周りに液体の痕跡がないので考えられない
スクールバスの車底部に水が溜まっていたのが強いブレーキによってノーズダウンした時、車軸を伝って車輪下にたまったことも考えられる。
以上
私はこの回答書の内容もひどいものだと思うが、確かに「液体が流れた痕跡ない」との文言はある。しかし、これを以て高知新聞が「高知地検意見書」=「三宅鑑定書」への反論と報道するのは如何なものか?
今回の高知新聞報道が客観的・公平な記事とは到底思えないのは 私達白バイ事件支援者だけではないだろう。
こういった状況は、高知新聞は事実関係も把握せず、高知地検の会見内容を無批判に報道しているとしか考えられない
例え、高知地検が原本コピーの提出を三者協議中であることを理由に拒んだとしても、この件に関する事実関係を把握するのは容易なはずだ。一方の当事者である片岡晴彦さん側に問い合わせれば済むことだ
今月23日の時点で科警研意見書の開示を求めた他紙には、弁護団はそれを提供している。 高知新聞社は片岡さん側にお願いするのは後ろめたいのだろうか?
前述のような記事を書く高知新聞の前身は「土陽新聞」なんだが、「御用新聞」に改めろとはっきりと伝える。
高知白バイ事件が絡むと高知新聞はホントにダメ新聞になっちまうのは、どうしてなんだ? 裏金問題の時のように県警の不買運動が怖いのか? それとも、社員の誰かが私生活上の弱みを握られているのか?
タブン 後者だろうと想像する。 想像で批判することには問題はあるだろうが、高知白バイ事件を正面切って取り上げられない理由があるのは間違いない。
LM767
追記
3月26日?の三者協議で高知地検は裁判長に対して以下のような申し立てをしている。
①三宅鑑定書に対する鑑定書を提出する
②嘱託鑑定書(裁判所が依頼した大慈彌鑑定)に対する川上意見書に反論するために意見書を提出したい。
ところが、5月10日に地検から提出されたのは
①三宅鑑定に対する鑑定書ではなく科警研の意見書
②川上意見書対する意見書ではなく 検察照会事項の回答書 加えて指摘するなら検察が民間研究所に照会した事項は高知地裁が大慈彌氏に嘱託した鑑定事項と同じ内容である。つまり、地検は鑑定と同じ趣旨の照会をしているから、意見書というよりは事故鑑定書というべきものだ。
地検は地裁に申し立てた内容とは違うものを提出しているのであって、このことは地検の動揺ぶりが覗えるものと判断もできる。
再追記(5/26 02:00)
5月24日の片岡晴彦さんの支援集会にて三宅鑑定書の内容が解説された。また、遅くとも同日までに、高知地検が地元メディアに集合をかけて会見を開き、支援集会の翌日、25日に御用新聞が報道したのは事実。
検察定例会見は5月24日行われたと漠然と考えていたら、次のような情報が飛び込んだ
「5月24日以前に記者会見を開き、高知地検が御用新聞に対して報道の日程をお願い≒指示した」という情報が、「関係筋」から先ほど入ってきた。まだ、裏が取れていないけど、地検が意見書を地元メディアに開示した記者会見日時が新聞記事中に無い以上は・・・ね 疑いたくなるのが人情。
追記3 2:40
先ほどとは別の「関係筋」からの情報によると、地検の記者会見は5/23の三者協議後。記者会見を要望したのは地元メディアという
いやぁ これはないと信じたいなぁ。 もちろん、裏は取れていない。
誰か地検に記者会見の日時を確認してれくれたら、はっきりするんだけど・・