録画人間の末路 -

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掘り出し物、"知られざる大陸"特撮の先進性

2015-12-25 21:24:03 | 特撮・モンスター映画
「一年中だと良いな、12月25日♪」

と歌って踊った映画は確か"三人のゴースト(クリスマスキャロル)"でした。三人のゴーストがスクルージの過去未来現在を見せるより序盤にあまり好きでない相手へのプレゼントがVHSビデオで統一だったことの方が衝撃だった映画でも言われていた通り、クリマスは12月25日、今日です!!!!! メリークリスマス!!!!!


・・・と、毎年のお約束前口上を終えたところで(^^;)

わたしの今年のクリスマス鑑賞DVDに選んだのが、ちょうど届いたばかりのB級SF映画、"知られざる大陸"であります。

知られざる大陸 [DVD]
ジャック・マホニー,シャーリー・パターソン,ウィリアム・レイノルズ,フィル・ハーベイ,ダグラス・ケネディ
ランコーポレーション


原タイトルは"THE LAND UNKNOWN"。"UNKNOWN ISLAND"というタイトルも中身もやたら似ている映画が別に存在します。こちらは以前は"知られざる島"と呼ばれていたのですが、なぜか日本語版DVD発売の際に販売元が"ジュラシック・アイランド"などというタイトルにしてしまったため、勘違いされる心配がなくなったためか、"THE LAND UNKNOWN"の方はほぼそのまま直訳なタイトルで発売されることになりました。

ジュラシック・アイランド [DVD]
バージニア・グレイ,フィリップ・リード
video maker(VC/DAS)(D)


ただ、例の「ジュラシック・ワールド」のヒットを当て込んで作られた便乗映画にも、リメイクでもないのになぜか日本版だけ同じ「ジュラシック・アイランド」で販売された作品があったりしてこれまたややこしいことになっていますが・・・。それをからかうためか、"知られざる大陸"の裏面にも"ジュラシック・アイランド"の文字が躍っています。もちろん本作は島ではなく、大陸なので"UNKNOWN ISLAND"を意識していて今回の販売が行われたことは間違いないでしょう。

本作、一般のB級映画マニアには登場するぬいぐるみティラノサイルスの外見を持ってヘッポコダメ映画の烙印を押されています。確かに格好はよくありません。怪獣ばりに直立姿勢なのはまぁ時代(1957年制作)を考えれば仕方のない話ですが、やたら頭でっかちの上、背中はバランスの悪いでっぱりがあり、尻尾はずるずる、前足は明らかにくっついているだけ、しかも内股歩きです。このティラノの登場シーンの直前にはいわゆる「トカゲ特撮」のシーンがあり、おそらく実際に大型の種を使っただろうトカゲ同士によるバトルが展開しています。重量感はたっぷり、今まで見てきたトカゲ特撮のバトルシーンが必要以上にバタバタ動いたり噛みついた点を支点にぐるぐる回ったり(これは爬虫類によくある攻撃方法なので仕方ないのですが)と、迫力はそれなりにあってもあまり巨大感は感じないものだったのですが、こちらは噛みついた上でひねるところまでで体を必要以上に回したりせず、上から対戦相手を押さえつけて攻撃したりと如何にも巨漢の戦法で、重量感に満ちた巨大感すら感じるほど見応えのあるものになっています。その直後だけに先のぬいぐるみティラノの姿は余計に滑稽にみえ、そこだけ取り上げればヘッポコと言われても仕方のないところでしょう。
しかし、このぬいぐるみティラノ、ちゃんと口を開けて威嚇するのです。それどころか時折鼻孔を動かし、さらには瞼を開閉させて瞬きまでして見せるのです。あまりのことに驚愕するしかありません。こんな細かい動きをするぬいぐるみ、今まで見たことありません。しかも1957年に映画なのに、です。日本のぬいぐるみ怪獣で確か最初に口を開閉して見せたのは「キングコング対ゴジラ(1962)」におけるゴジラだったと記憶しています。それ以前の作品では、口を開けるなどの動きを見せるシーンはすべて別に用意されたアップ用モデル(ぬいぐるみとはだいぶ見た目が異なる)を利用していました。"知られざる大陸"は1957年の時点でこのギミックをぬいぐるみで(多分アップ用モデルではないと思います)採用していたのです。まして鼻孔や瞼の動きに至っては、少なくともぬいぐるみにおいては最近作でも行われていないはずです(これには日本の伝統文化も関係しているのですが、長くなるので省略)。それをこんな時代にすでに実現していたとは、"知られざる大陸"のこだわりはどれだけ先を言っていたのでしょうか。おそらくバランスの悪いぬいぐるみの外見はそのギミックを仕込んだゆえの代償なのでしょう(本末転倒とも言いますが)。
しかし、残念ながら先のトカゲも先進ティラノも本作モンスターの主役ではなく、メインは湖に登場する首長竜、おそらくプレシオサウルスをモデルにしたものでしょう。これは口の開閉とヒレのような足をくるくる回して泳ぐだけにとどまりますが、登場人物を襲ったり逆襲を受けて松明や照明弾を口にぶち込まれたりとクライマックスを担います。が、造形はともかく動きにおいてはティラノに大きく劣るのは残念。他には一瞬チラリと姿を見せるだけの翼竜、同じく翼竜の死骸、さらに食肉植物と割と盛りだくさんのモンスターが登場、なかなか飽きさせません。余談ですが最後の食肉植物のデザイン、なんとなく手塚治虫氏のマンガ"火の鳥"の、何編だったか忘れましたが、子育てをする植物に似ている気がします。ひょっとしたら本作の影響を受けた面があったのかも知れません。

内容は割とよくあるロストワールドもの。典型と言っていい展開で目新しさはありませんが、本編も細かい演出はいろいろ凝っています。多数の個性的モンスターからいろいろ発見するだけでも十分元が取れる作品です。本年度最後の購入DVDとしてはあまり期待していなかっただけに思わぬ掘り出し物で、良いクリマスマスプレゼントとなりました。

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2 コメント

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Unknown (emanon)
2015-12-26 05:48:03
 さて 日本は元旦に向け一直線 休む暇なんて全くないので 各自自由に休みましょうw 

 
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Unknown (krmmk3)
2015-12-28 23:11:18
>emanonさん
普通に仕事でーす。夜はぞんぶんに休んでますけど。
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