録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

80型テレビが置ける家を考えてみる

2012-04-28 14:07:20 | 次世代ビデオへの懸念
開始前はともかく、現状ではあまり積極的に評価しようとする人がいなくなってしまった3Dテレビ。遠い将来なら分かりませんが、現状では迫力よりも人工的で不自然にも見える様が目に付く画になっていますから、それも当然かも知れません。利用も煩わしいメガネを掛ける必要があるか、グラスレスと言っても斜めから見ることが出来ないテレビしかないために、今やテレビの使われ方の主力である"だらだら見"には全く適さないものとなっています。地上波の局がそういう番組を作り続け、3Dが想定する視聴と真逆のテレビ感を持つ視聴者層を育て続けたのですから仕方がありません。おそらくこのまま3D映像が主力となる日は来ないでしょう。

前回書いたエントリーでも、わたしが3Dに対して否定的な内容を書いたからというのも当然ありますが、3Dに期待する旨のコメントは無かったようです。少なくとも4K2Kテレビの方が望まれている感があるようです。ただ、わたしは解像度は現状が・・・良くて1080p止まりのまま、後20年くらいは続くだろうと考えています、少なくともテレビ放送では。
日本では、これからもテレビと言えばまず地上波のことである、が政策的にも続くことになりました。が、他メディアと電波帯域を取り合う地上波では例えフォーマットが変更になったとしても1080pが精一杯でしょう。さすがに「地上波テレビ放送で高画質を実現するため、携帯電話やモバイル通信業者は地上波テレビに電波帯域を明け渡すべきだ」と考えている人など地上波関係者を除いてはいないでしょうし、逆ならたくさんいるかも知れませんが。だから、どうやってもあと数十年は1080iか1080pが主力で在り続けるんです。それに、1080pあればまず不満を覚えることはないと思いますし。


放送としてはそうであっても、技術はまた別の話。4K2Kのさらに4倍、7,680×4,320のスーパーハイビジョンのテレビも、開発だけは進んでいるわけですよ。

NHKとパナソニック、世界初145型スーパーハイビジョンPDP開発
-新駆動方式でちらつき抑える。5月の技研公開で展示


145型でプラズマですよ。解像度の高さを見せつけるには大型化が一番ですが、ここまで大型高解像度だと描画が追いつかなくなるんじゃ・・・なんて思ってしまいますが、そこら辺も解決しているらしいですね。液晶や4K2Kと見比べてみたいです。と、言っても当然個人で買うものでは無いですが。
リンク先で気になるのがこの一文。

"NHKの久保田啓一理事・技師長は、「家庭向けには80型クラスが良いところだと思っているが、145型などのサイズも、このサイズで用途は存在する。例えばパブリックビューイングなどだが、自発光・直視型であるため、(プロジェクタのように)シアターを作らず、大きな画面で見てもらえる」と説明。"

は、80型って・・・。それが家庭向け? いったいどれだけ巨大な家を想定しているんですか? 多分これからAV家電業界が日本でも(アメリカなどに合わせて)50型以上を売れ行きの主力にさせるべく動いていることに合わせ、「現状の地上波でも50型以上に大型化してくのだから、スーパーハイビジョンは80型くらいだろう」と軽く考えているのでしょうが、いくら技術が進歩しても住んでいる家は巨大化しません。80型って対角線が約2mですよね? それに加えてテレビの画面の周り部分のプラスアルファを加えると、80型テレビの横幅は2m程度、タテも1m20~40cmくらいは必要になってしまいます。意外とたいしたことない? と思う節もあるかもしれませんが、42型テレビのタテヨコそれぞれ約2倍です。それにテレビ台の高さが加わるわけですから、タテも実質1.6m以上と考えた方が良いでしょう。イメージとしては部屋の壁一面占拠するくらいの威圧感があると思います。
そんな巨大テレビ、どれだけの距離を保てば適当な見やすさになるのでしょうか? 55型を6畳間で見るには対角線上の隅っこに集合なんて話を某所で真面目に言っていましたが、80型となるとリビングの端と端くらい離れなければならないでしょうか? 「テレビを見る時は部屋を明るくして離れてみましょう」というメッセージはいつの間にか見かけなくなりましたが、間違った考えではないと思います。"だらだら見"には全く適しませんし、何より何も映していない時にどうしても邪魔になってしまいます。


それでも80型が家庭向けだと言うのなら、家の方をどうにかするしかありません。

まず考えつくのは、80型を置いても十分部屋が使えるような広い家を手に入れて引っ越すことです。原発停止が進めばその影響などもあって地域によってはますます過疎化が進行するため、そういうところに引っ越せば広い土地を安く手に入れられるかも知れません。が、そういうところでは当然収入源はありません。また、インターネットによって都心部と地方の格差は開くばかり。地方でも情報だけならネットで調べられるのをいいことに、良い品物やサービスはどんどん都心部に集中する一方ですから、今大都市やその近辺に住んでいる人は過疎地には行きたがらないでしょう。あって都心部まで電車一本ですぐに行ける通勤範囲内です。よって引っ越し促し作戦は不可能です。

第二は、80型テレビを極限まで薄くし、存在感をなくさせ、使うときだけ使うようにする方法です。テレビ台に置くのではなく、壁に埋め込むか貼り付けるかするのです。プロジェクターだと部屋を暗くする必要もありますからリビング向けとしては不適当。いわゆる"壁掛けテレビ"を本当に実現させるのです。「じゃぁ放熱とかどうすんの?」もちろん壁伝いに放熱して、家自体を超巨大ヒートシンクにするんですよ。巨大テレビのためのリフォームです。スピーカーもテレビからではなく、最初から部屋の一部として設置します。差し込みコードももちろん部屋に備え付いていて、薄いテレビと壁をコードで繋ぐだけ最小限のセットで全部完了、録画はサーバーを使ってLAN経由で処理すればそれでよし。これからの家はテレビのための造りになるんですよ。距離の問題は解決しませんが、少しは離せますし威圧感も減ります。

・・・「リフォームまでする必要があるテレビなんて売れるわけ無いでしょ」という揶揄をこめて書くつもりだったんですが、結構いいなぁこんな家、と思ってしまいました。
1080iやpが20年持つのならスーパーハイビジョンが普通になるまで何十年かかることやら・・・。そのころにはほとんどの家が建て直され、テレビハウスも普通になっているのかも知れません。が、ひょっとしたらそのころまでわたしは生きていられないかも知れません。でも、より現実的な4K2Kの放送なら衛星を使ってもっと早く進められるはずですよね。期待していたBSの拡大が今程度の中身(特にロゴ貼りしたWOWOW)ならば、そっちをさらに進めるより4K2Kのためにスロットを空けるべきだ、と思ってしまいます。テレビに期待している人間がまだ残っているうちに、早く・・・。

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14 コメント

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80インチ (kaz)
2012-04-28 17:12:38
TVサイズについていろいろ数値を出してますが部屋の壁占拠はちょっと大げさかな。
サイズ的にだいたい窓ぐらいの大きさ。
6畳間に付いてるような一般的な窓なら横幅が2mいかないぐらい、縦が1.5mいかないぐらいなので。

で、そう考えると窓をつぶす覚悟なら6畳間でも置けそうに思える。
視聴距離の「TVは離れて~」はブラウン管時代のよく光るTVの時の話で液晶なら縦幅の2~3倍、最低でも縦幅分離れれば長時間見ると多少目が疲れるけど大丈夫って話をどっかで聞いたのでそれを信じるならこれもクリア。

ま、もっとも6畳間でも80インチTVが設置できて見るのは十分可能ってだけでそこで生活できるかってのは別問題。
だけど諦めるほど現実離れした話でもない。
個人的には値段の折り合いが付けば導入してみたいところだけど。
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Unknown (MBU)
2012-04-28 21:32:06
最適視聴距離はSDでは画面の高さの7倍(7H)、フルHDでは3H、4K2Kでは1.5H、スーパーハイビジョンでは0.75Hです。
80型の場合、フルHDなら3m、4K2Kなら1.5m、SHVなら75cmです。
フルHDだと8畳でも端から端じゃないと厳しいですが、4K2Kなら6畳の短辺でも行けます。

最適視聴距離の根拠は視力1.0でドットが目立たなくなる距離です。
これより離れている分には問題ないので、最適というより最小の方が正しい気がします。

ちなみに画面の画角が広くなると迫力感は比例して上がりますが、快適感は反比例して下がるそうです。
人間の目の画角もぱっと見える範囲は広いですが、注視している範囲は意外に狭いです。
4K2Kやスーパーハイビジョン時代のTV制作は人間工学的なレイアウト技術も必要になるかもしれません。
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Unknown (ねこ)
2012-04-28 21:33:42
TV機器というもの自体が、映画などの専用コンテンツをじっくり構えて鑑賞するための大型高精細TVと、放送番組をながら見するためのお手頃サイズのHDTVに二分化するんじゃないでしょうかね。 現状では、質の違うモノを同じTVで見ているわけですが、双方の発展のためには棲み分けた方がいいと思います。

今のTV放送は、携帯・タブレットなどで見るモノへとなっていくような気がします。 映画など大型コンテンツは、規格を柔軟に変更できるネット配信が主流になるのではないでしょうか、、いずれにしろ、最近多くなったTVを所有していない若い年齢層がさらに増えていくのであれば、今の電波を使用するデジタル放送も、いずれアナログ放送のように消えていくと思います。

あと画面サイズの問題ですが、プロジェクターで色々と試してみたのですが、ドア・窓・家具が設置されている6畳間では50インチ超えは無理でした。 なにも置いてない8畳間で100インチ、120インチ以上となるとそれに見合った音響関連も用意したいので12-16畳は必要でした。 これは巻き取りのできるスクリーンを使用してのサイズの話で、移動できないTVとなると、さらにハードルが高いと思います。 それから、大スクリーンになると、画面を見上げることになり鑑賞用の椅子なども必要になります。

画面からの鑑賞距離ですが、スクリーン縦幅の1.5-2倍あたりが一番迫力があります。 ただし一般のTV番組だと画面が激しく動くため、目がついて行けません。 そういう意味でも、映像の作り方から変えなければならないので、棲み分けて欲しいものです。

スーパーハイビジョン8Kについては、VPL-VW1000ESの実写の感じからして、150インチクラスまでの動画であれば4K2Kで十分だと思います。ただし静止画については不足している感じがします。
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Unknown (年寄)
2012-04-28 22:00:04
4K2Kのテストで考えられるのは地デジ再送信が使っているBS17-48スロットじゃないですかね
今のところ2015年まで再送信の予定らしいので丁度いいような気はしますが
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Unknown (krmmk3)
2012-04-28 22:15:25
専門的なコメントが次々と(^^;)

>kazさん
少々大げさに書いたのは確かですが、威圧感としてはそのくらいのものがあると思うのですよ。
液晶はブラウン管ほどちらつかないでしょうが、巨大なものだと描画が追いつかなくて残像感が披露を伴いそうな気がします。

>MBUさん
あくまで最小で、という考え方でしょうね。ドットが目立たなくなればそれで良しというわけでもないでしょうから。
快適度が下がるという話は興味深いですね。もしかしてテレビを大きくしたいのは、ロゴを視界から外すためだったりすて。

>ねこさん
そうですね、ちょっと前にも書きましたが、ソフト再生のためのにテレビではないAVシステムを作りたいという需要はあると考えています。テレビ番組と映画ソフトは最適距離が違うというのはなかなか面白い話ですね。そういえば映画館のスクリーンはテレビの常識よりはるかに近い距離で見ますね。
ただ、政官財にマスコミまで一体となって地上波を利用する構造ができあがってますので、テレビはまず地上波を受信するものとするためにあらゆる手段を使うでしょう。

>年寄さん
ありそうですね。ただ、難視聴はこのまま残して、一般に開放して欲しいと思っているので、別にやって欲しいです。
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表示装置だけつくっても伝送方法がない? (Unknown)
2012-04-29 04:47:43

仮に地上波で145型スーパーハイビジョンって、どんだけ帯域馬鹿食いするのだろうね。

H264使っても単純計算で現行地デジの16倍?

変調に1024QAMを使うとかで6MHz×2程度に
押し込むのかな。

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Unknown (krmmk3)
2012-04-29 13:12:55
>2012-04-29 04:47:43さん
横解像度が5.3倍強、縦解像度が3倍で、面積は約16倍。圧縮方式を強化して今の1/4にしたとしても4倍。地上波じゃ絶対無理ですね。間違いなく衛星放送か有線放送になるでしょう。だから早く放送の主力を衛星に移すべき、と考えているのですが。
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Unknown (秋山)
2012-04-30 12:45:23
HEVCの採用を前提にして放送フォーマットを4k2kにした場合24~32Mbpsは必要です。また、80v型TVは映画を普通の家庭で見る場合その位は必要です(家電店の65v型TVで映画のデモを見ても迫力不足)。
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Unknown (Unknown)
2012-04-30 22:15:54
PCで4K2Kモニターを4台並べてスーパーハイビジョンを擬似的に作ってみましたが1080がゴミに見えます。
とはそれでも44インチサイズになるのでPCモニターとしても規格外の大きさになってしまったんですが…
結局置き場が無くてバラしました
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Unknown (krmmk3)
2012-04-30 23:20:04
>秋山さん
やはり現在の3~4倍ですね。
映画のためなら、専用の部屋を用意してプロジェクターでしょう。テレビはそこまでいらないです。

>2012-04-30 22:15:54さん
44型相当だと、机の上じゃ置き場がないですね。
疑似スーパーハイビジョン、すごそうですけど再生するソースがないですね。
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