録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

総務省、「高度地上デジタルテレビジョン放送方式」の概要発表

2023-07-20 12:28:34 | 次世代ビデオへの懸念
日本の地上波のテレビ放送は早いところでは2004年から始まっているので現在で19年、ボチボチ20年になります。技術的にはもう古いということで新しい方式を作ろうとだいぶ前から放送業界と総務省は画策していました。とはいえ、前の地上波は50年以上も使われましたし、しかも総天然色やステレオ放送といった新技術が導入されてもなお、旧型の受信機でも視聴可能だったというおそるべき互換性維持を続けた技術だった、のと比べるとずいぶん浅い歴史しかたっていないわけなのに、とも思いますね。しかもデジタルですから次の放送と前の放送の互換性がないのは確実なのでどうなるかと思いますが、とにもかくにも新地上波テレビ放送のプロジェクトは大きく動いているのです。


こうした記事では「4K地デジ」などと書いていますが、総務省ではこうした解像度を放送に冠することはしていません。


リンク先の資料では新地上波のことを「高度地上デジタルテレビジョン放送方式 」と呼んでいます。4Kの解像度だけがウリではない、としたいのでしょうね。もっとも地上デジタル放送でも似たようなことを言って結局ほとんど全部絵に描いた餅、ただのHD放送が行われただけだったので今回も同じでしょう。それでもあえてわたしは「高度地上デジタル放送」ないし「高度地デジ」と呼ぶことにします。
フォーマットはH.266として認定されたVVCが採用されることとなりました。現行のBSの4K放送はH.265/Hevcであるため、それより新しいフォーマットが使われることとなります。おそらくこの制定を待っていた、というのもあるでしょう。これによって現行の4K/8Kテレビでは直接高度地上デジタル放送を直接受信・視聴することは不可能にすることが確実になりました。デジタルの波を受信するわけですから理論的には現在の地上デジタル放送向けのチューナーで受信することは不可能ではないはずですが、VVCのデコーダーが内蔵されていないので受信は出来ても復号はできないので混乱を避けるためにもチューナーは別のものを採用することになるはずです。また、総務省の資料には「限定受信」とあるため、またしてもヘンテコリンなCASが入るのは確実でしょうからそれを使わせるためにチューナーの互換性は持たせないでしょう。最悪の場合BS放送もVVCに変更、なども考えられますので後のことを考えたら今4K対応機器は買わない方がいいかも知れません。
他の変更点として4K解像度の採用の他にインターレースが不可となってプログレッシブのみとなったこと、HDRも選べるようになったことがあります。インターレースは高度地デジでは明確に不可とありますが、HDRは利用可なだけでSDRも使えるとなっていますので、ひょっとしたら高度地デジはビットレートを抑えるためにSDRばかり使われるかも知れません。4Kは無理やりでも入れてくるでしょうがHDRはあくまで「技術的要件」項目にあるだけなので、蓋を開けてみなければわからない、というところです。4KよりHDRの方が高画質化の効果は高い、と言われていますが。

一応主な要求として「既存のシステムに妨害を与えないこと」が定められているうえ、今までの地デジから「移行」のようなことは書いていませんので、高度地デジ導入と同時に今の2K放送が廃止に向かう、ということはないかと思います。が、「テレビ局の負担減」を理由に早めに地デジを終了させ、夢再びと買い替えを促す、は考えられます。前の時はエコポイントをばらまきましたが、今度は・・・。今話題のマイナンバーカードとの銀行口座紐づけを条件にマイナポイントのばらまきとかになるんでしょうか。こういう施策だけは揶揄しやすいので楽しみなんですが。
なにも書いてないことではありますが、「限定受信」の一言がある以上、まともな録画は絶望的でしょう。地デジの録画規制はある程度しのいだこの業界ですが、高度地デジの暁には・・・多分多くのこっち趣味人がこの世界からいなくなり、誰も見ない技術だけの世界がそこらへんで渦巻いてるんでしょうね。今は放送のキャッシュ録画どころか放送も見なくなり、コンテンツもスマホの小さな画面で見るだけ、になりつつある日本、楽しみを奪ったんだから当然そうなります。そんな日本での"悪い"高度化はビギニングオブジエンドへの道となるでしょう。
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