テレビと言えば液晶テレビ。こういう状況が長く続いていました。かつては王者ブラウン管をはじめ、複数のテレビの表示規格が存在したものですが、全て姿を消しました。小型から超巨大まで賄える生産効率の良さ、消費電力の低さという点で液晶方式は他を頭一つ以上上回っており、特に日本においては「短期間で地上デジタル放送を普及させる」という使命もあって液晶以外が主力になる選択肢はなかったといっていいでしょう。しかし、ことテレビという動画を再生する表示機器において、画質面では液晶は数ある方式のなかでも劣った方式としか、未だに思えません。静止画を表示する方式としては優れていると思いますが、残像・遅延・程よいにじみがなくデジタルノイズが目立つ・立体感に欠けると言った欠点は、代用が利かない小型サイズならともかく本格的に映画などを楽しむには向いていないと、わたしは今でも思っています。いくら最新の技術を使い、表現力を高めても、"平面""絵の延長"にしか見えないのですよ。もはやこうした拘りを持つ人も少ないのかもしれませんが、一定数は存在すると思います。だからパナソニックは、新しい液晶テレビを出すごとに「プラズマを超えた」って言を必ず加えてますのだと思います。テレビとして使う分には液晶よりプラズマの方がいい、そういう声が絶えていない、ってことなんでしょうね。
そうしたわずかでもしぶとく残り続ける液晶への不満を持つ人が期待していたのが、有機EL方式のテレビでした。きわめて小型ですがソニーからテレビが発売され、その後もスマートフォンのような端末、携帯ゲーム機への採用と少しずつ広がり始め、かつての液晶に似た展開は明るい将来を予感させました。特にパナソニックとソニーの有機ELへの共同開発は大きな期待が寄せられたものです。しかし、はたから見る分には大した成果もなく終了、同じく有機EL開発が期待されていたジャパンディスプレイも業績不振で国産パネルの道は前進どころか後退した感が強くなりました。そのジャパンディスプレイですが、有機ELの製造を切り離して子会社化し、立て直すという話が出ていましたが、資金繰りなどの問題もあり、実行が二度にわたって延期されています。
ジャパンディスプレイ 有機ELの子会社化計画を再延期
もっとも、これによって「悪い材料は出尽くした」とでも思われたのか、はたまた大きな再建計画を期待してのことか、株価は上昇したようですが、それはさておき。
ですが、現在有機ELテレビは日本でも複数のメーカーから発売されています。数少ない海外メーカーであるLG電子が筆頭でしたが、すでに店頭ではそれ以外に東芝とソニーの有機ELテレビが並んでおり、今月中にはパナソニックからも発売されます。ただし、パネルは国産ではなく、LG電子のものが使われているようです。メイドインジャパンにこだわりたがる人も多いかと思いますが、優れた技術者がいたところで投資もされず、老朽化した設備しか持たない国内工場を拡張するより、積極的投資によって最新の設備を持ち、生産ラインをすでに軌道に乗せている海外工場のメーカーから買ってきた方が質の面でも上になるでしょうし。液晶パネルもそうなってますし、当面有機ELもそうなるしかないかと。55型以上の超大型で4Kしか実質ないのが有機ELテレビの欠点ではありますが、逆にそういうテレビが欲しいという人には有力な選択肢となります。
そのテレビ、やっと見る機会ができました。地元の量販店にLG電子に続いてようやくソニーの有機ELテレビが入荷していたのです。他の有機ELや液晶と同じ映像を流していてくれればもっとよかったのですが、映っていたのは専用のサンプルのみ。それだけに有機ELの利点とされる暗さを表現する映像のみでしたが、なかなか衝撃的でした。LG電子と違い、映された映像が、3Dでもないのに飛び出して見えるような錯覚を覚えたのです。テレビの画質にはそれなりにこだわりがある自負はあるわたしですが、画質において一番衝撃を受けたのはデジタル化の時でもHD化の時でも、まして4K化の時でもありません。ブラウン管テレビのフラットなものを見たときです。それまで膨らんで少し湾曲したブラウン管テレビを"普通"と感じていたわたしの目にはまるで抉れているかのように見えたのですが、まるで別次元の映像機器にも見えました。あれがテレビの画質、に何かを見始めたキッカケだったかと思いますが、フラットな有機ELテレビはその逆を体感させることによって当時の感覚さえ思い出させてくれるものでした。逆を言えば、少し映像の自己主張が強すぎ、液晶とは別の意味で離れたくなる感覚を覚えます。なるほど、LG電子が当初有機ELテレビを内側に湾曲させたものしか出さなかったわけです。強力な表現力によって立体的な圧迫感さえ感じる有機ELの画質を少し和らげるため、という理由もあったのでしょう。ただ、「湾曲=悪」のイメージは強く、もう作らないとのことですが。まぁあの圧迫感も慣れの問題だと思いますが、有機ELテレビを買うなら、液晶テレビだともう一回り大きなサイズが置ける部屋でないと当分厳しいでしょうね。それだけに、ますます通常大型サイズの有機ELテレビが早く出てくれるのが楽しみになってきました。究極の画質を噂されるクリスタルLEDもあるようですが、そんなもん待っていたらテレビなんかいつまでたっても買えませんし、それにクリスタルLEDの良さがはっきり分かるほどの映像ソースが普通に使われるようになるのはもっと先でしょうしね。とりあえずは液晶以外の選択肢である有機ELを見守ることにしましょう。
そうしたわずかでもしぶとく残り続ける液晶への不満を持つ人が期待していたのが、有機EL方式のテレビでした。きわめて小型ですがソニーからテレビが発売され、その後もスマートフォンのような端末、携帯ゲーム機への採用と少しずつ広がり始め、かつての液晶に似た展開は明るい将来を予感させました。特にパナソニックとソニーの有機ELへの共同開発は大きな期待が寄せられたものです。しかし、はたから見る分には大した成果もなく終了、同じく有機EL開発が期待されていたジャパンディスプレイも業績不振で国産パネルの道は前進どころか後退した感が強くなりました。そのジャパンディスプレイですが、有機ELの製造を切り離して子会社化し、立て直すという話が出ていましたが、資金繰りなどの問題もあり、実行が二度にわたって延期されています。
ジャパンディスプレイ 有機ELの子会社化計画を再延期
もっとも、これによって「悪い材料は出尽くした」とでも思われたのか、はたまた大きな再建計画を期待してのことか、株価は上昇したようですが、それはさておき。
ですが、現在有機ELテレビは日本でも複数のメーカーから発売されています。数少ない海外メーカーであるLG電子が筆頭でしたが、すでに店頭ではそれ以外に東芝とソニーの有機ELテレビが並んでおり、今月中にはパナソニックからも発売されます。ただし、パネルは国産ではなく、LG電子のものが使われているようです。メイドインジャパンにこだわりたがる人も多いかと思いますが、優れた技術者がいたところで投資もされず、老朽化した設備しか持たない国内工場を拡張するより、積極的投資によって最新の設備を持ち、生産ラインをすでに軌道に乗せている海外工場のメーカーから買ってきた方が質の面でも上になるでしょうし。液晶パネルもそうなってますし、当面有機ELもそうなるしかないかと。55型以上の超大型で4Kしか実質ないのが有機ELテレビの欠点ではありますが、逆にそういうテレビが欲しいという人には有力な選択肢となります。
そのテレビ、やっと見る機会ができました。地元の量販店にLG電子に続いてようやくソニーの有機ELテレビが入荷していたのです。他の有機ELや液晶と同じ映像を流していてくれればもっとよかったのですが、映っていたのは専用のサンプルのみ。それだけに有機ELの利点とされる暗さを表現する映像のみでしたが、なかなか衝撃的でした。LG電子と違い、映された映像が、3Dでもないのに飛び出して見えるような錯覚を覚えたのです。テレビの画質にはそれなりにこだわりがある自負はあるわたしですが、画質において一番衝撃を受けたのはデジタル化の時でもHD化の時でも、まして4K化の時でもありません。ブラウン管テレビのフラットなものを見たときです。それまで膨らんで少し湾曲したブラウン管テレビを"普通"と感じていたわたしの目にはまるで抉れているかのように見えたのですが、まるで別次元の映像機器にも見えました。あれがテレビの画質、に何かを見始めたキッカケだったかと思いますが、フラットな有機ELテレビはその逆を体感させることによって当時の感覚さえ思い出させてくれるものでした。逆を言えば、少し映像の自己主張が強すぎ、液晶とは別の意味で離れたくなる感覚を覚えます。なるほど、LG電子が当初有機ELテレビを内側に湾曲させたものしか出さなかったわけです。強力な表現力によって立体的な圧迫感さえ感じる有機ELの画質を少し和らげるため、という理由もあったのでしょう。ただ、「湾曲=悪」のイメージは強く、もう作らないとのことですが。まぁあの圧迫感も慣れの問題だと思いますが、有機ELテレビを買うなら、液晶テレビだともう一回り大きなサイズが置ける部屋でないと当分厳しいでしょうね。それだけに、ますます通常大型サイズの有機ELテレビが早く出てくれるのが楽しみになってきました。究極の画質を噂されるクリスタルLEDもあるようですが、そんなもん待っていたらテレビなんかいつまでたっても買えませんし、それにクリスタルLEDの良さがはっきり分かるほどの映像ソースが普通に使われるようになるのはもっと先でしょうしね。とりあえずは液晶以外の選択肢である有機ELを見守ることにしましょう。
有機ELテレビ、以前は本文で書かれていた
超小型を8年ほど使っておりました、地上波ならずも
DVDも色味が鮮明でHD?いるんかいと思えるテレビでしたが経年劣化からか最後の1年は明るさも後退し
かつての鮮明さも衰えたのでひっそり引退させました・・自分は主義主張を曲げてしまい液晶、、それも
同じ会社の製品を売れ筋の大きさの廉価品で買いつなぎ(なんのつなぎかは無論!有機EL)で使ってます、有機ELの寿命が改善されていれば液晶テレビの次の候補にしたいです、有機ELは当時はオーガニック・パネルとうたっていました。
そんな中でも輝度を全開にする事がアイデンティティなソニーは他社と比べて明るい事をアピールしているようです。
パネルはおんなじなんで色再現とかならともかく、明るさが違うって寿命縮めてんじゃないの…って思いますが…
協力メーカーへの身内びいきというのもあるかも知れないけど、重箱の隅をつつくような改善のおかげということらしいです。
そういえばSHARPロゴのモニタが少なかったような・・・
パネルはそのままかも知れないけどやっぱり外資になったからかな?(気のせいかも知れませんw)
オーガニックパネル表記、懐かしいですね。
当時から有機ELは寿命が短いと言われてましたね。テレビが買えなかったわたしの代用品、初期型PS Vitaの画質はいまだ健在ですが、それほどヘビーに使ってないからかも(^^;)
>咲さん
一応有機ELで一番の古株はソニーですから、そこらへんは調整してるんじゃないか? という期待はしてますが。
プラズマの反省からか、量販店での有機ELテレビはもっぱら暗い表現を重視したデモばかりやってますね。シン・ゴジラをデモ代わりに使ってほしい。
>arpusさん
8Kはかなり前のオリンピックの放送以来みてませんが、あれは不気味の谷を越えたような画質でしたし、現在ならなおさらでしょう。ただ、それだけ作り込むということは、高すぎて普及しないの裏返しのような気もします。
やはり、液晶みたいな制限の大きいパネルをいじりまわすより、ネイティブ性能が高いパネルを使わないと映像機器はダメですね、、
http://www.cat.ne.jp/nyasi/open/TeaRoom/_/DMP-UB900EB/
詳細は上記URLにアップしてありますので、ご覧ください。
何を見るか どう使うか迷いが出てきたかな… 画面全体を視界に入れて楽しむ
それだけでなく視界に収まりきらない事も許容した使い方が提案されるべきではないかなと思いますよ 画質と販売したい大きさから考えればね
うちはKUROの最終世代なので買い換えようにも物がない状況です。コストとかシェアとかのくだらない概念に囚われていない、突っ走ったハイエンドの格がないとデグレ感で後悔するのが目に見えてますし、そのためにはパネルが国産であることは必須です。
現状でそれを満たすモデルは業務用かそれ並みの代物で、400万とか800万とか…。コスト無視とは言っても払えない物はどうしようもないので、まあ当面KUROを引っ張ります。
話は逸れますけど光るパネルってどうやっても目が疲れるのでPC用に反射型液晶とか電子ペーパーを頑張って欲しいですねえ。
さすがパナの有機EL、内部16bitですか。もはや並の液晶などおもちゃに見えるんでしょうね。もうちょっとウチの部屋のドアでも通るサイズまで縮めばなぁ(^^;)
>emanonさん
理想は視界の外まで映像があふれている世界でしょうが、映画みたいな映像作品のやり方ではないですね。VRの世界かな。
>slavaさん
HMDも意外と装着とか面倒ですからねぇ。VRをキッカケにああしたタイプを自然に思うようになる人も増えるかも知れませんが、はたして。
名機と言われたKUROをお使いだと、本気で買い替えるテレビが無いですね。やはり有機ELがものになるまで待つしかないでしょう。
まあ画質マニアにとってはまだ不満もあるのは確かですが、民生TVで20年経たずにこれほど進化したのだから、あと10年もすれば液晶も有機ELを凌ぐ位の超高画質になるかもしれません。
ブラウン管の画質も魅力的でしたが、あれは技術革新が進んだ末であって、初期のブラウン管はカラーTVですらない白黒のお粗末極まる画質でしたからね。
有機ELが液晶に取って代わることはまずないと思いますが、高級TVという位置づけで富裕層やマニアにアピール出来れば棲み分け出来るかもしれません。
ただ液晶が有利なのは製品化が簡単で参入メーカーが非常に多いという点ですね。
多くのメーカーが競争してしのぎを削ればどんどん新しい技術が開発されて、その結果画質も向上し続けるでしょう。(実際多くのメーカーがあったからこそ液晶は急速に向上した)。
その点有機ELは不利で(民生用は)LG一社だけがパネル供給してる状態なので、パネル技術の進歩は進みづらいし、競合するメーカーも居ないので値段も下がらないし、製品価格も下がりにくい。
原理的に液晶は他のテレビと比べてどうしても超えられない壁はあるかな? と思ってます。ただ、2Kのパネルのテレビが現在売られている唯一の方式であるのが強みかな。
一時ソニーとパナソニックが有機ELの開発を共同で、って話もありましたけど、あまり発展せずに終わっちゃいましたからねぇ。遅れた有機ELの後追いよりクリスタルLEDの開発を優先したかったのかも。