録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

「原潜VS.UFO 海底大作戦」のイメージギャップ

2010-03-30 14:10:38 | 特撮・モンスター映画
スカパーのチャンネル、シネフィルイマジカで今日の午前3時からの放送の「メトロポリス」録画し損ねた orz ふ、不覚・・・。今月はこれ一回だけ、来月は放送予定無しだというのに。
「メトロポリス」というタイトルだけだと手塚治虫氏のマンガおよびそれを原作としたアニメが連想されるけど、今回のはそれのまた原点になったと思われる、ごく初期の、1926年制作だからもう84年も前のSF映画。モノクロの上にサイレンス、それでいて今回の放送も2時間と長めなので(オリジナル版はもっと長いらしい)この道の好事家以外にはおすすめ出来ないわけだけど、登場するアンドロイド・マリア(の、姿を写される前のロボット)のデザインは一見の価値あり。

メトロポリス [DVD]

紀伊國屋書店

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さすがに現代でも通用・・・とまでは行かないにしろ、80年以上前のデザインとはにわかに信じがたい美しさがある。いったいどれだけ多くの映画やマンガ・アニメなどに登場するロボットに影響を与えてきたことか。わたしも初めて見たときにはショックを受けた。同じSFの古典的名作でも、30年ほど後の「禁断の惑星」のロビー・ザ・ロボットなどが
禁断の惑星 ロビー・ザ・ロボット ミラクルアクションフィギュア

メディコム・トイ

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いかにも、という古くささとそれに伴う味があるのとは対照的である。


さて、今回はリクエストもあったし、世間の空気を読まないで(笑)、購入したDVDの勝手レビューなんぞを書いてみよう。今回のお取り寄せで本命視していたのは「百万の眼を持つ刺客」の方だったんだけど、残念ながら発売が延期になったそうなので、こっちしか届いていないのですよ。
そのDVDは1959年作品の

「原潜VS.UFO 海底大作戦」

聞いたこともないのだけど、ここのシリーズはマニアが聞き慣れたタイトルを平気で別物と差し替えてくるので、珍しいことではないだろうと購入。にしても、UFOってのは空を飛ぶ物だし、原潜ってのは原子力潜水艦のことだから当然海に潜る物。どうやって戦うのよ!? 大いなる疑問を抱かせたままブツは届く。パッケージの表はともかく、裏面に載っていた毛むくじゃらの目玉オバケには見覚えあり。さて、どこで見たんだっけ? と、わたしにとってはこの業界の教科書に等しい"映画秘宝"の単行本、「あなたの知らない怪獣マル秘大百科」を紐解いてみたところ、「菊地秀行、とっておきの怪獣映画30発」というインタビュー記事の中に「原子力潜水艦」という原題(The Atomic Submarine)に忠実なタイトルで紹介され、そこに写真が載っていた。解説によると
「これは素晴らしい映画(笑)。人類の科学がついに宇宙人に勝つんだもの。(中略) 宇宙人はUFOで逃げ出すんだけど、潜水艦が追撃して、海面下からミサイルを発射! 命中してドカーン! 痛快! 拍手喝采(笑)」
な映画だそうな。わ、面白そう。タイトルからして海洋ロマン漂う冒険物っぽいし。

と、実際視聴するまでは思っていたのだけど、中を見てみたら、かなりイメージと違っていた。海洋ロマンどころかストーリーのほとんどが潜水艦の中のシーンだけで進む、広々としたイメージとは裏腹にむしろ密室劇みたいな雰囲気の漂う狭苦しいお話だった。むさ苦しい男たちがみんな常時機嫌悪そうに怒ったりケンカしたりばかりだし。映像特典の作品紹介には「ヒロインとして・・・」なんて女優の紹介解説もあるのだけど、実際には冒頭で、出発直前の主人公とちょっとイチャつくシーンがあるだけ。にもかかわらずその写真がパッケージの裏面に採用されている(笑)。単に担当者が演者のジョイ・ランシングが好きなだけだろ、おい。
ストーリーはいろいろ突っ込みどころ満載。北極圏で水上艦四隻、潜水艦七隻が沈む事故が多発したため、「何かある」と判断した軍は、最新最強の潜水艦、タイガーシャーク号を改造して核弾頭を装備させた上で出動させる・・・なんかある程度上層部は事故の目星が付いているんでない?とまぁそこはいい。で、艦内ピリピリとした雰囲気のまま北極圏に到達すると、謎の光とともに氷山から崩れ落ちる氷の塊などにおそわれ、からくも脱出する際に、水中に一つ目をもった円盤を目撃、これを「サイクロプス」と名付けた上で犯人と断定する。作戦会議で、多くの船が沈められた位置を確認すると、全て北極点から半径160キロの地点であることから北極点を守ろうとしているのではと推理、その原因の推測は「サイクロプスは原子力ではなく磁力をエネルギーとして動いているので、地球の磁力の最右極である北極点で充電しているのでは」って、地球の磁場の極点は北極点とは別だろ! 
さらには、何ヶ月もタイガーシャークはサイクロプスを追っかけているのに全く攻撃されないとか、その間一度も軍本部に協力を依頼しないとか、敵の先回りをしていよいよ決戦!という舞台なのにたかが数時間待っているだけで緊張感が落ちてみんな居眠りか大欠伸しているとか、決戦シーンでも長距離魚雷が磁力線の力で届かないと見るやもう最後手段とばかりに潜水艦前方のとがった部分で体当たり攻撃をしかける(轟天号じゃないんだから!)とか、突っ込んだはいいけど抜けなくなって対策会議を始めるとか・・・。本来なら勇ましいシーンが続くはずなのに、どこかのーんびりしている雰囲気が場を支配しているので盛り上がりに欠ける展開に終始している。ある意味リアルなのかも知れないけど、もっと勇猛果敢に戦う映画であって欲しかった。かわいそうだけど、若干似ている「海底軍艦」と比べると、相当ぬるい。もっとも「海底軍艦」もイメージに比べると敵であるムウ帝国が轟天号に対して全くの無力でぬるいんだけど、艦長の神宮司大佐のアクの強さがそれを補っていたからなぁ。「原潜VS.UFO」の方は登場する宇宙人のデザインや、UFOの設定がユニークで面白いだけに神宮司に相当するアクが無かったのは残念で仕方ないのだけど、時代背景もあるだけに仕方がないかな?

なお、監督はスペンサー・ベネット。パッケージの紹介に「バットマン&ロビン」と書いてあるので「おいおい、この人50年近くたってもまだ仕事しているのかよ!」と調べたら、映画の「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」じゃなくて、1949年にテレビシリーズとして作られた「バットマン&ロビン」の監督さんでした。そりゃそうだ。パッケージ表記は詐欺に近いけど、この手のDVDを買う人がその程度のことで怒るわけないでしょ?という販売側の茶目っ気が感じられる、よく言えば。
原潜vs.UFO/海底大作戦 [DVD]

video maker(VC/DAS)(D)

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海底軍艦 [DVD]

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2 コメント

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微妙 (ニキビがあると楽しくないし・・・)
2010-03-30 22:51:42
ん~ 微妙ですねw この手の代物はそれを承知で購入するのが大人の粋ってものなのですが、先日、頭の中では大傑作だったはずの「人喰いアメーバの恐怖 NO.2」を手に入れてみると記憶の中の作品とは大違いで駄作も駄作・・・
ついてはこの作品もレンタルのみで済ますことを"ご理解ください"・・・
今宵はこの辺に致しとう御座います
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Unknown (krmmk3)
2010-03-31 00:59:42
>ニキビがあると楽しくないし・・・さん
人喰いアメーバの恐怖2ですか。そう言えば傑作のイメージありますね。わたしなんぞ子供の頃くだらないと思ってみた映画が今になるとなぜかおもしろいというパターンの方が多いんですけど。
この手のDVDがレンタルできる店が近くnあるなんて、いいですね。近所はどんな普通のレンタル屋も死滅してます。
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