強い風か音を立てて吹き、木々の葉はざわざわとこすれあう。昨日に続きコートは羽織ったものの、冷たい雨風に手が悴む。ふと、「春の訪れ」を疑ってしまうが、行きつ戻りつしながらも、確実に季節は巡っている。
駅へと向かう道で、風に倒されたであろう植木を見かけた。植木鉢は割れてしまっているが、持ち主によって植え替えられ、再び立ちあがることができるだろう。
人は自分で立ちあがることができるが、誰かに支えてもらわなければならない時もある。けれども、そんな時には差し伸べられた手に気付かなかったりする。それは、いいことではないが、仕方がないことだと思う。ゆっくりと立ち上がればいい。
風は吹いているだろうか。ふと、家にある植木鉢が気になった。