あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

コンバート

2012-09-20 23:23:15 | 前に進む
女子バレーの狩野舞子さんが古巣の久光製薬スプリングスに復帰するという。それも、セッターとして!

ロンドンオリンピックで日本チームは銅メダルを獲得したが、その中で彼女の活躍はあまり見られなかった。彼女自身の悔しさは計り知れないが、それでも各地に出向き笑顔を見せてくれている。

オリンピック後、僕も彼女の器用さからセッター転向はどうだろうと思い、そんな話題をネットで検索してみた。いくつか見つかったコメントを見ると「今からでは遅い」といった意見が多く、それはないのかなと忘れかけていた。

そんな中でのこのニュースに、驚きと共に期待を感じた。何よりも、その指導に当たるのがかつての名セッターである中田久美さんだからだ。彼女がスプリングスの監督に就任したことも知らなかったが、いずれは全日本を指揮する日が来てもおかしくない。

最近の日本女子バレーを引っ張ってきた竹下佳江さんが結婚・引退され、大きな穴ができた。狩野さんと共に「二枚替え」で活躍した中道瞳さんが第一候補なのだろうが、世界を見ると高さを持ったセッターによる多彩な攻撃が見られ、その点からも狩野さんのコンバートというのは先を見越した重要な戦略だと思う。

この前イベントでお会いした際に「リオオリンピックに向けての課題は?」とお尋ねしたところ、「まだ考えていない」といった答えをいただいたが、その頃既に中田監督からは打診されていたのだろうか。

幾度も怪我に泣かされ、それでも這い上がってきた彼女だから、きっとこのチャンスを掴んでくれると信じている。だから、がんばれ、マイコ!
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途を拓く

2012-09-18 06:22:37 | 前に進む
一昨日の午後、何気なくテレビをつけると映ったドキュメンタリー番組に釘付けになった。

その番組は、戦後の日中国交正常化のために奔走したある一人の日本人を紹介する番組で、5年前に放送されたものだった。

岡崎嘉平太というその人は、戦前は日本銀行を経て大東亜省という占領地を統治するための役所で働き、戦後は丸善石油(現在のコスモ石油)や全日空の社長を歴任されたそうだ。

当時の日本は、台湾との間で国交を結んでいたが、岡崎さんはそうした状況を憂い、「貿易」により国交を回復させようと、自民党の高碕達之助氏と共に中国政府との交渉に当たったという。

交渉は困難を極めたが、彼らは粘り強く交渉し続け日中貿易の道を拓き、その道は1972年の日中共同声明による国交正常化に繋がり、現在に続いている。その交渉の中で、当時の中国首相 周恩来氏と深い絆で結ばれることとなったそうだ。番組では、日中共同声明の席に招かれなかった岡崎氏を周氏が招き、ささやかな宴席を開いたというエピソードが紹介された。もはや、中国人、日本人という関係ではなかったのかもしれない。

その後、岡崎氏は頻繁に中国を訪れ、その都度「初めて中国に行く」という人を連れていくことで、人と人を繋ごうとされた。また、氏の思いを継ぐ財団がアジアを中心に留学生を受け入れる取り組みを続けている。

岡崎氏の故郷、岡山県吉備中央町には、氏の功績を後世に伝えるための記念館があり、また氏が眠る墓にお参りする留学生の姿も紹介されていた。人と人を繋ぐということは、こういうことなのだと思った。

今、人気を得ようとする政治家はいるが、真摯な行動から人心を掴む政治家はほとんどいない。だから、愛国心に訴えたりするのだろう。それは、対立する国の国民にとっては不幸なことだと思う。それをしっかりと見極め、本当に大切なことは何なのかを考えることが、今、僕らに求められている。せっかく拓かれた途を閉ざさないために。


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真珠の耳飾りの少女

2012-09-09 22:41:01 | 美と戯れる
今日は東京都美術館で開催されている「マウリッツハイス美術館展」を観に行った。

今年の初めには、リニューアルが完了する東京都美術館でフェルメールの有名な作品が観られるという情報を入手し、「行くかな…」くらいは考えていたものの、ついつい行きそびれていた。

先月、石巻で訪れたおかあさんのお部屋にフェルメールの絵はがきが飾られていた。お尋ねしたところ特にファンという訳ではないということだったが、その時にこの展覧会のことを思い出し、絵ハガキでも買ってみようと思った。ただ、絵ハガキだけ買うのではなく、作品を観たことを語らずとも観ておきたいなと思い、行くタイミングを計っていた。昨日は散歩の際に「朝、どれくらい行列ができているか」を確認した。そして今朝、8時にその列に加わった。6人目だった。

9時半の開場予定は30分早められ、一目散にあの絵に…の前に、音声ガイドの機械を借りた。美術品は心で捉えればいいのだろうと思うけど、最近こちらに頼ることが多くなっている。絵画が書かれた背景などの情報が音声として与えられ、その絵により近付けるように感じるからだ。また、役者さんを起用する例も増えていて、今回はイメージキャラクターを務めた武井咲さんが登場していた。こちらの内容はあまりよく覚えていないが、作品に対する蘊蓄というよりは、その作品世界をイメージさせてくれるものだ。

で、展示会の目玉であるフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」の前に立った。一瞬にしてその輝く瞳と潤んだ唇、そして、絵全体から放たれるオーラのようなものの虜になった。これほど力のある作品だとは思っていなかったこともあり、心に強く印象付けられた。まだ空いていたからよかったが、心が震え、しばらく動けなかった。あの、顔の傾き加減に愛を感じたから?なんて…

作品数はそれほど多くなかったが、レンブラントやブリューゲルなどオランダを代表する画家たちの作品はそれぞれ魅力的で、「真珠の耳飾りの少女」を観終えてからすぐに入口に戻り、ゆっくりと一点ずつ堪能した。

「現地に行けばいい」という人もいるが、オランダ・ハーグにある美術館に行くことができる人がどれだけいるだろうか。多分僕はこれから先も行かないだろう。だったら、行列を作ってでも観たいと思う。そう思ってもいいと思う。

そんな気持ちと共に、美術館を後にした。



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