戦争を挟んで生きた女性の回顧録

若い方が知らない頃のセピア色に変色した写真とお話をご紹介いたします。

何も無かったおかげで世界文学全集を読んだ小学生の私。04/08

2010-04-08 15:40:23 | Weblog
子供の頃読んだ三銃士とモンテクリスト伯は共に強烈に私を惹きつけた。椿姫も同じ頃読んだが、どちらもアレクサンドルデュマの作品で、デュマは親子で凄い作品を書くと思ったのは高校生になった頃だ。小学生の頃は作品は面白ければ良く、誰が書いたなどとは1度も思った事はない。ただ、本が傍にあってテレビも何もなければ、本を読むしかなかった。従って遊んでいる(と母は思っている)私はお手伝いをしないと叱られる事が多かった。吉屋信子の全集もあった。少女小説が専門と思っていたが、戦後彼女は本格的な文学者として君臨した。吉屋信子の小説は姉が持ってきたものらしい。2歳年上の姉はお転婆で学校に上がる前から腕を折ったり、5月の大掃除の時、畳を上げた床を踏み抜き、腿に大きい裂傷を受けた。父が外に出られない姉の為に買って来てくれたものは、くるみ割り人形、マドンナの宝石とかクラシックの名曲のレコードのアルバムだった。電気屋だから手回しの蓄音機はある。子供が片手でもかける事が出来るので姉と一緒に聞いた。子供の為には良いものを手が届く所に置けば必ずそれに触れる。おかげさまで私は小学校1,2年生の頃から世界文学全集を読む事が出来た。現在は若し同じ本が傍にあっても、他にアニメの漫画やテレビやゲームが氾濫している。私が今、子供時代を過ごしていたらどんな子供に成長していたであろうか。何1つ無い時代も考えてみると有難いものだと思っている。