Feel in my bones

心と身体のこと、自己啓発本についてとつぶやきを。

姉歯問題:検査機関の民営化はよいことか

2005-11-27 12:56:54 | 時事・国内
西友にお昼の買い物に出かけた帰りに、緑道公園を歩きながら姉歯-イーホームズ問題について考える。

ひとつ大きな問題なのは、こうした巨大な費用がかかる物件のフェイルセイフの体制が全く杜撰だったことだろう。姉歯建築士の偽造を見抜けなかった検査機関の存在は、大きな問題である。イーホームズはほとんどが自治体の検査関係者の天下りだということで、自治体の検査体制自体もまた検証されなければならないかもしれない。

そういう意味では行政による検査も問題がないわけではないのだろうが、やはり検査というものを民営化してよいものだろうかということを思う。検査機関が民営化されれば、当然ユーザーのニーズにこたえる機関に注文が増えるだろう。建設会社にしてみれば、長期にわたり厳密な検査をされるよりはなるべく早く、安く、甘くやってもらった方が納期の関係などから助かるという方向に流れることはないとは言えないだろう。こうした事態が起これば検査機関の優秀性もマンション価格に反映するようになるかもしれないが、これも喉元過ぎれば熱さを忘れるの弊を繰り返すような気がしないでもない。

検査者たちは、専門の建築士が公認のソフトを使って行った構造計算に欠陥があるとは思わなかった、といっているらしい。それではチェックの名に値しないだろう。つまりは相手は専門家で間違ったことはしないだろうという悪い意味での性善説に依拠して盲判を押したに等しい。検査機関は、消費者の側からすれば注文主に嫌われるくらいの性悪説に立って徹底的に調べてもらいたいものだが、それでは注文主から敬遠されてしまうだろう。性悪説に立っても成り立つ機関というのは、やはり国や地方行政の機関でなければしかたがないのではないか、という気がする。

もうひとつ思うのは、もともとこういう検査というものが日本の風土にあまり根付いていなかったということである。つまりは現場のワーカーが自らプライドにかけてチェックをすることでそれ以上のチェックが必要ないくらいの完成度をもともと上げていて、検査自体はおざなりになる、ということが普通だったように思う。トヨタに代表される日本のメーカーが強さを維持しているのもそういうところが多いだろう。しかしフランスなどでは労働者はおしゃべりしながら不良品をいっぱい作って平気でいて、それをカードルと呼ばれる検査担当者が厳密に検査して合格を出す、というやり方でやっている。カードルはエリートであり、労働者とは給料も人事体系も違う。いわば「違った世界の住人」であり、彼らの世界が交わることはめったにない。

それだけ彼らは検査する立場のエリート意識と責任感を持っているわけだが、そのあたりが日本とはかなり違う。現場がいい加減になってきてもカードルの責任感は向上しないのが現状の日本なのだと思う。

どちらの方向に進むべきなのかといえば、私の好みとしては現場主義に回帰してもっと質の向上を目指した方がいいと思うが、いわゆるグローバリゼーションの流れの中では難しいかもしれない。いずれにしろ、一番大事なのはどこのポジションでも責任感なのだが、潔癖なまでに強い人もまたまだまだ日本には多いのだけど、ネジが何本か抜けているとしか思えない人も無数に存在する。結局はそうした人をいかに責任あるポジションから排除していくかしかないのだと思うのだけど、無駄に平等主義が蔓延している日本ではなかなか難しい。そういう無駄こそ今最もリストラして欲しいものではあるのだが。
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日本に漂着するさまざまなもの/ターシャ・テューダーの庭

2005-11-27 10:11:59 | 雑記
いろいろやっているとなんとなく夜更かししてしまうパターン。自分の体調がよくつかめないときに起こりがちだ。昨夜は入浴したのが1時過ぎで就寝したのは2時前。これでは6時に起きられない。7時過ぎに起きて洗濯したり数年ぶりに炬燵を出したり。足元が冷えやすいので炬燵でフランス語をやってみたが、やはり暖かくてよい。しかし、押入れにしまいっぱなしだったせいか炬燵布団が埃(黴?)っぽく洟とくしゃみに襲われたので使用を中止し、ヴェランダに干す。最近では実家でも母が足が悪いので炬燵を使わなくなっている。私も6年前にぎっくり腰をやってから椅子の生活にしていたので、炬燵は本当に久しぶりだが、やはり風情はあるなと思う。

満洲の吉林で化学工場が爆発し、松花江にベンゼンが大量に流れ込んだ事件で、下流のハルピンでは水道水の供給が止まったというが、さらに下流の黒竜江、すなわちアムール川にも被害が及びそうになっていて、中国側がさっさとロシア側に謝罪したという。しかしその被害は実は中露に留まらない。アムール川の河口は樺太に向かい合うところにあるが、そこに大量に吐き出された川の水は冬季に凍り、その氷は流氷となって海流にのってオホーツク海を南下し、網走に流来するのである。冬のオホーツクの豊かな海が汚染される可能性は少なくない。この問題は日本政府側も早く情報収集を行って被害が拡大しないように協力した方が日本自身のためになる。もちろん中国側には謝罪もきっちり要求すべきである。

反日暴動が起こった重慶でも化学工場が爆発し、ベンゼンが流出したという。その被害の実態は分からないが、揚子江流域が汚染されると最終的には上海なども危ないし、その水が流れ込む東シナ海も汚染されることになる。日本海でのエチゼンクラゲの大量発生は中国の経済発展に伴う東シナ海の汚染・温度上昇との関係が指摘されているし、日本海側には毎年10万トンを超えるごみが漂着している。もちろんその全てが中国の責任というわけではなく、ハングルが書かれたものの漂着も多い。日本は東アジアのゴミ捨て場かと言いたくなる。

現実問題として、日本列島は太平洋の海流も日本海の海流も西北からのシベリアの冬の季節風の影響もあって人も物も流れ着きやすい場所にあることは確かであるし、「名も知らぬ遠き島より 流れ寄る椰子の実一つ」と島崎藤村が歌ったことはよく知られている。海洋の道、ヤポネシアといった言葉もそうした事情を表している。日本という国の成り立ち自体がそうして古代よりさまざまなものを吸収しつつ成長した国柄であると言うこともまた事実だろう。

しかし近代、いや東アジア諸国の経済発展以降、漂着するものはあまりよいものではなくなっている。ごみも然り、密入国者然りである。地形上そうしたものの漂着を防ぎにくいことは事実で、相当のコストは必要だが東アジア諸国に取締りを要求するだけでなく日本自身でも対策を立てなければならないだろう。

地政学的に、日本のポジションは良い面と悪い面が同居していることは否めない。しかしこうした問題は座視していれば良いというものではないと思う。

***

昨夜テレビを見ていたらターシャ・テューダーの庭を特集した番組をやっていた。最初はまあ見てみようかな、という程度の気持ちで見始めたのだが、結局最後まで真剣に見てしまった。アメリカも、バーモントと言うと私の行ったことのある南部や中西部、またロッキー山中とは全然違う。何と言うか、自然が決め細やかな感じがし、日本などの自然に近い感じがする。その中で庭造りに精を出す90歳の絵本作家の一年は、私の知っているアメリカ人たちとは全然違う、非常に親しみやすい人柄を感じさせた。人を驚かせるようなチューリップの植え方をしているのを見たが、一つの大きな穴に球根を密集させて植えていて、へええと思っていたら春になると本当に見事な満開で、すごいなと思う。究極のナチュラルガーデン、というのも最初は話半分に聞いていたが、番組の終わりころには本当にそうだなと感心した。番組中には彼女の長男や孫の夫婦が出てきていたが、素朴な男たちとかわいらしい孫のお嫁さんもとても感じが良く、アメリカにはこういう人たちもいるのだなとしみじみ思う。

グラハム・ベルがルピナスの種をいつもポケットに入れていて、アメリカ中を旅行するたびにそれを蒔いていた、という話は以前聞いたことがあったが、生態系を乱す不届きな男だとどちらかというと反感を持っていたのだけど、ターシャがその話をすると何と言うかベルはアメリカ中を自分のガーデンだと思っていたのだろうなという気がしてくる。その行為の当否はともかく、アメリカ人らしい夢の描き方だなとは思う。彼女は近代的な機械を使おうとはしないのだが、ベルや電機を発明したエジソンを素朴に尊敬していて、そのあたりもなんだかアメリカ人ぽいし、日本の老人たちにも確かにそういうものを素朴に喜ぶ人たちが昔はいたということを思い出した。

私はガーデニングの趣味もないが、しかし確かにこういうものを見ていると真似をしたくなる気持ちは分かる。あのチューリップの植え方はいつかやってみたい。

***

朝青龍が7連覇、勝ち名乗りで泣いていた。彼にとっては本当に重要な一勝だったのだろう。素直に素晴らしいと思う。千代大海や魁皇はもっと頑張って欲しいところだ。来場所は普天王の復活も期待したい。

夕方日本橋に出かけて丸善で本を物色。何も買わなかったが、この店くらいの規模がちょうどいい感じがする。帰ってきて知ったが、昨日は丸善の丸の内本店で佐藤優の講演があったらしい。惜しいことをした。山本山で煎茶を買う。会計を待っている間、お茶を一杯いれてくれたが、ブラジル産の煎茶だと言う。まだそんなに値段はついていないが、思ったより美味しかった。次回は買ってみても良いなと思う。COREDOの地下のプレッセで紅茶やらコーヒーやらを買ってみる。さてどんなものか。小舟町日月堂の白玉大福も売っていたので買ってみたが、これはとても美味しかった。次はお店を探して行ってみようかなと思う。

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