Feel in my bones

心と身体のこと、自己啓発本についてとつぶやきを。

窓を開けたまま寝る/北朝鮮/80年代の音楽

2006-06-30 09:18:26 | 雑記
昨日は仕事が忙しかった。あれだけやると充実するという感じはある。暑かったので、寝るときにカーテンは閉めておいたが窓をあけていてしばらくしたら閉めようと思ったのに、結局朝まで開けっ放しにしてしまった。アンジェラ・アキをかけながら。朝妙に寒いし外の物音がよく聞こえるのでどうしたかと思ったら開けっ放しだったのだ。それなのに布団を剥いでひっくり返ったりしていたし、まるでテントの中で寝たようなものだ。微妙に体調が悪いのはそのせいか。いや失策。東京でもまだ今シーズンは窓を開けて寝たことはないのに。

デュラス『これで、おしまい』を少し読むが、響いてくるものが少ないなあ。『やし酒飲み』も少し読んだが、こちらは想像力の盛り上がりがいま少し途切れてしまっていてなかなか読み進められない。異界に行くのはそれなりの心の準備が必要なんだよなあ。

やし酒飲み

晶文社

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この日記にはブルーリボンは貼っていないが、昨日の再会報道を見ているとちょっといいかげんにしなさいよ的な感想が盛り上がってくる。本当に家族は大変だなあと思う。金大中の訪朝中止も実は「おみやげ」がなかったから拒否されたのだという話を聞くとある意味リアルポリティクスもそこまで行くと醜悪だと思う。北朝鮮という国家は存在自体が現代の奇譚だ。

また創作にかかり始める。今回は行方がわからないので話がどうなっていくかわからない。そういう書き方をしたことがないので上手く作品になるかどうかもわからない。試行錯誤。

メールをいただき、「ゲルニカ」ネタで盛り上がる。今思うとあれは実際80年代の音楽だよなと思う。90年代には私自身がポップスをほとんど聞かなかったのでよくわからないのだが、今アンジェラ・アキを聞き、その関連でフィオナ・アップルを聞いたりすると、80年代との様変わりというのは強く理解されてきた。

以下はアンジェラ・アキを特集した記事。エキサイトの方は彼女の人間性が、ヤフーミュージックの方は彼女のミュージシャンとしての考え方や野心がよく現われていていずれも興味深い。

エキサイト・アンジェラアキ総力特集

Yahoo!ミュージック


私は趣味から言えば80年代の方が好きだが、90年代の音楽にはそれはそれとしての創造性のようなものは感じる。ちょっとしばらくそういうものも聞いてみようかなと思う。そのうちまた自分の感性に合う音楽が流行る時期も来るのだろうと思う。「玉姫様」でも貼っておこう。

玉姫様(紙ジャケット仕様)
戸川純
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デュラス『娘と少年』

2006-06-29 09:57:30 | 読書ノート
デュラス『愛人(ラマン)』を読み終わったので、もう少しデュラスを読みたいと思い、昨日の午前中に図書館に出かけて『娘と少年』(朝日出版社、1994)と『これで、おしまい』(河出書房新社、1996)を借りる。読みやすそうなのをと思って選んだのだが、(大体これでいつも見当違いのものを読むことになる)どうだったか。『娘と少年』は写真とのコラボレート、という感じであまり量的にも多くない。読了したが今ひとつあまり好きなものではなかった。やはりちょっと近代的過ぎるのか、ノルマンディーが舞台でちょっとフランス的過ぎるのか。写真の被写体になっている「娘と少年」がどうも自分のイメージに合わないのか。いずれにしても、ちょっと自分の読みたいもの、あるいは見たいものとは違っていた感じだ。ただ、デュラスの「ある部分」はそれなりに感じられはした。デュラスは書き手というより、彼女自身がある一つの「巨大な問題」というようなところがあり、その問題的な存在感に共感するか否かというところが彼女の文学に入れるか否かの境目のようなところがある。そういう意味では『愛人(ラマン)』はその存在感への共感の有無がなくても読める、ある普遍的な性格を持っていて、読み物として開かれている感じがする。作家にとって、このあたりのところはとても微妙な問題がある。

今日はとてもよく晴れている。暑くなりそうだ。

愛人(ラマン)

河出書房新社

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娘と少年

朝日出版社

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これで、おしまい

河出書房新社

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デュラス『愛人』とダサさをエレガントに表現するフランス語

2006-06-28 10:37:14 | 読書ノート
昨日帰郷。昨日の昼間は暑かったが、今朝は普通の掛け布団が必要なほど気温が下がった。信州は涼しい。東京ではとても無理だ。それは気温の日較差が大きいということで、春先などはそれで調子を崩すのだが、夏になるとそれはとてもありがたいことになる。

朝起きてSUPER JUMPを買いに行く。やはりコミック雑誌では今一番面白いと改めて思う。「バーテンダー」と「王様の仕立て屋」を読むだけでも買う価値があるが、他の連載もほとんどはずれがない。問題はちょっとアダルト的な部分の含有量が高いので、人によってはアレルギーを起こす可能性があるということだが。

腰の調子が良くないので『デューク更家の一分間ウォーキングスーパーセラピー』(主婦と生活社、2004)を読み直してみる。いろいろと示唆に富んでいてやはりこの人は本質をつかんでいると思う。「骨盤を締める」という感覚が重要だなと思う。

デューク更家の1分間ウォーキングスーパーセラピー―心と身体の悩みを解消

主婦と生活社

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特急の中と夜寝る前をかけてマルグリット・デュラス『愛人(ラマン)』(河出文庫、1992)を読み通す。フランス語文学と英語文学の性質の違いのようなものを実感できる。英語文学で、また日本語文学では「かもしれない」「ではないか」という表現になりそうなものがすべて断定の言い切りの形で表現されるため、(まあデュラスがそういう人だということもあろうが)とてもイメージが明確な像を結ぶ。これは歴史などを読んでいてもそうなのだが、あまりに明確すぎてちょっと違和感を覚える。しかし、イメージ、イマージュが明確であったからといってそれが真実や事実とは限らないわけで、そういうフランス語的な「明瞭な曖昧さ」のようなものを意識して読めると、案外そういう違和感が逆にポップで面白い気もしてくる。

愛人(ラマン)

河出書房新社

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たとえば「母の存在がエクリチュールになる」などといわれるとつい身構えてしまうが、エクリチュールを「書き方、書きぶり」と言い換えてみると、このエクリチュールはデュラスにとっての書くこと=生きることという等式関係の中で母の生き方の文法とか統語法といったもののことをさしているのだろうとあたりがつく。「母の生きざま」と訳すとあまりにもダサいが、フランス語はダサい内容の言葉をかっこよく言う言い方が異常に発達しているだけで、日本語にそのまま訳すとどうしようもなくダサくなってしまうので、中途半端にかっこよさと意味を共存させざるを得なくなるのだろう。「フランス女のど根性」と訳してはエレガンスも台無しである。しかし実際に言っていることのほとんどはそのレベルのことなんだろうと思う。しかしそうやって人間の粗末で滑稽な現実を救い出しエレガントな表現に結実させる力がフランス語にはあると言えるわけで、そのあたりいまの日本語が露悪表現の毒々しい花盛りであることの批評としてこういうものを対置させることには意味があると思う。露悪的な言葉が真実を表現しうるという幻想を、日本人は早く振り払ったほうがいい。それが出来ないと、人生を豊かに生きるなどということからは程遠いことになる。だからフランス人は老人でも恋愛できるんだよな。(そういえば昔の「三銃士」やら「シラノ・ド・ベルジュラック」の訳などは、正確であろうとして相当ダサかった気がする。そういうものを絢爛たる文体で表現するのがフランス文化の本領というべきだろう。)

少女の弱さと傷つきやすさ、という主題にはやはり心ひかれるものがあるのだが、「金のため」に愛人になった金持ち中国人のボンボンに対し、去っていく船の上で、「そして彼女は突然、自分があの男を愛していなかったということに確信をもてなくなった。」という表現は本当にじんと来る。回りくどいがゆえの直截さ。欲望の話のようで、本当は愛の話であるこの小説が、欲望を通してしか愛を語れない現代のある種の不毛を鮮烈に描き出しているように思う。なんていうのか、この小説は余分なところもずいぶんたくさんあると思うのだが、愛玩したくなるところもかなりあり、仔細に自分のものにしたい小説ではある。

山田詠美の『ベッドタイムアイズ』にちょっと似てるな。しかしデュラスの方が徹底している感じがする。そのあたりは年の功か。狂気がデュラスの方が深いというべきか。

ベッドタイムアイズ

河出書房新社

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まあいずれにしても、イマージュ(幻視という意味で)に満ちた堅牢な作品世界を作ろうと思えばフランス語のほうが向いているという側面はあるだろうなと思う。最近、フランスというものに対する自分の理解が深まっている気が自分ではしていて、そのあたりはちょっと充ちた気になる。




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日本に足りないもの:ジーコの会見を見て

2006-06-27 09:54:40 | 時事・国内
とくダネ!を見ていたらジーコがずいぶん批判されていたが、私はジーコは間違ったことは何も言っていないと思う。

日本にもっとも足りないものは体格を含めた身体面であることは間違いない。持久力もない、故障しやすい。急に2メーター100キロの選手ばかりをそろえろという話ではない。しかし90分走り続けられる選手をそろえることは不可能であるはずがない。

交代は3人しかできないのだから、少なくとも8人は走り続ける力が必要なのだ。ぶつかっても怪我をせず、強く当り続けられる選手。

日本に足りないものは、上手さではなく強さなのだ、まず第一に。

そしてそれはサッカーだけの話ではない。自分自身にしてみたところで忸怩たるものがあるが。

今の日本人は、強くなることを最初からあきらめてしまうところがあるのではないか。それを上手さでカバーできると思っているところが問題なのではないか。(全部自分自身に跳ね返ってくる言葉だが)
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『愛人(ラマン)』:意識の流れ

2006-06-27 08:55:41 | 読書ノート
頭をなるべく休めるようにしているため、読書が止まっている。しかし、今の状態でも比較的読めるのはマルグリット・デュラスの『愛人(ラマン)』だ。こういう書き方を「意識の流れ」というのだろうけど、この流れ方が心地よく感じる。

愛人(ラマン)

河出書房新社

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アンジェラ・アキのブログを昔のものから読んでいる。いろいろ苦労したことの多かった人なのだなと思うし、昨年・今年の間に急激にスターダムにのし上がった人なのだということがわかる。今までは自分の過去や生き方を振り返って音楽を作ってきているが、コンスタントに売れるようになったらどのような曲を作るようになるのだろうか。しかし、本当に素直な明るいいい人だなと読むたびに思う。本は読まなくても液晶画面でそんなものを読んでいたら目の疲れには返っていけないような気もするが。

夕方体調を整える目的もあって散歩にでる。門前仲町まで歩き、富岡八幡に参拝。地下鉄で銀座に出、教文館でデュラスを探すが、見つからず。松屋の地下で弁当を買って帰る。電車は大混雑。時間が悪かった。

『やし酒飲み』は読む想像力がいま少し枯渇している感じ。もう少し自分の蓋を開けないと読めない感じがする。

やし酒飲み

晶文社

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「チョコレートは明治」だが、明治のチョコレート<カシス>が美味しい。近年ではヒットかも。





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日常の動きのレベルを上げる

2006-06-27 07:03:38 | 雑記
武術家甲野善紀氏の日記は面白くいつも拝見しているが、今日の日記ではっとさせられることがあった。

「日常の何気ない動きのなかにある滞らない流れを、自然に武術の技に活かす」という言葉である。

「なぜか今は無性に何か手仕事がしたい。この衝動は、ひょっとしたら日常の動きを武術の参考にしようと考え始めたために、日常の動きそのもののレベルを上げなければならないと体が感じ始めているからかもしれない。」

これらの言葉には何か心だけでなくもっと深いところから動かされるものがある。演劇から遠く離れて、もう体の動きという点では「なってない」体になってしまったが、それでも腰痛などが起こると実際に体を持っているのだということが痛感させられる。

それとともに、私自身の日常の動きがいかに粗雑かということも思わずにはいられない。腰痛もそうした動きの粗雑さに由来するところが大きいのだと思う。「日常の動きそのもののレベル」を上げることを考えなければならない。

書道にしても作法にしても、自己流に固く縛られているからそこから開けてくるような感じはしないが、もっと何か違う形で「開く」ことはできるに違いないと思う。

同様に、「読むこと・読むもののレベルを上げること」、「書くことのレベルを上げること」を、私のような人間はいつも考えていなければならないのだと悟らされるところがあった。それが私にとっての日常を多く占めているのだから。

そういう形での「心の動き」は、貴重なことだ。朝から目が洗われる思いがした。
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ぎっくり腰、『愛人』、くちなし

2006-06-26 08:41:21 | 雑記
昨日は動かない頭に鞭打ってものをいろいろ読んだりしていたら中程度のぎっくり腰の発作が起こり、慌てる。しかし今年の正月に起こったような壊滅的なものではなかったので何とか日常生活は可能。ただ暫く姿勢的には無理なことは止めた方がいいという状態になりそうだ。

基本的に頭の使いすぎなのでちょっと今日は万事控えめにする。しかし実際、目と頭と10本の指だけで生きているような部分が最近あるのでそういう不自然さにからだの神の鉄槌が下ったということなのだろうと思う。もっと違う方向性を持たないといけないということなのだよね。

とは言いつつ体の調子のチェックも兼て図書館に出かけ、クッツェーを返却してデュラス『愛人(ラマン)』(河出文庫、1992)を借りる。その帰りにコージーコーナーでケーキを買い、茶十徳で宇治茶を買って帰る。食いすぎも腰には悪いのだが。

愛人(ラマン)

河出書房新社

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それにしても最近、くちなしの匂いが凄い。ふと見上げたら、近所の家の庭にもうむくげが咲いていた。紫陽花はもちろん、この時期もいろいろな花が咲く季節なのだよなと思う。緑道に夏椿の木があるのだけど、高いところにしか咲かないのでいつも見逃す。今頃だいぶ咲いているはずだ。そういうほうにも目をやらないとだめだということなんだよなと思う。




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フィオナ・アップル/『やし酒飲み』

2006-06-25 13:18:37 | 読書ノート
なんか異様に目が疲れている。必要のないときはPCをなるべく見ないようにしなくては。ぼうっとしながらネットを探索するという行為が無意識に目を蝕んでいる気がする。桑原桑原。

昨日は昼間に友人から相談事で長電話し、最終的に易を立てることを頼まれて占ってみて、その結果を伝えたら異様に疲れが出てきた。自分のことを占う分にはまあどうっていうことはないのだが、人のことを占うというのは異様にエネルギーを使う。易者の人たちはよくそんなことがやれるものだなあと感心する。

ちょっと疲れに支配されていて物事になかなか気合を入れて取り組めない。バイオリズムが下がっているというのはまさにこんな感じか。こういう時は変に無理しない方がいいというのが教訓だが、なかなか守りきれないときも多い。

夕方気分転換に銀座に出かける。アンジェラ・アキが影響を受けたアルバムを紹介していて、一番興味を引かれたフィオナ・アップル『タイダル』を山野楽器で買う。ついでにアンジェラのシングルをいくつか見るが、アルバムに収録されていないものもあり、買おうかどうか迷う。が買わず。

TIDAL
フィオナ・アップル
ソニーミュージックエンタテインメント

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ヨシノヤのディスプレイで靴の展示を見る。ここのディスプレイはいつも垂涎。

教文館で安部公房『終わりし道の標べに』(講談社文藝文庫、1995)を買う。戦後すぐの作品で、アプレゲールっぽいというか、文体としては加藤道夫『なよたけ』に似ている感じ。旧制高校生の文体というか。

終りし道の標べに―真善美社版

講談社

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なよたけ

青土社

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帰ってきてフィオナ・アップルを聴く。全身の神経が集中してしまう感じ。ジョンとポールが離れる前の、後期ビートルズの路線がいきなり一人の少女に蘇ったという感じを私は受けた。特にサウンド面、歌詞の内容まで仔細に感じ取っていないからそこまでしかわからない。あまりに感性が強すぎて、こちらのある種の感覚が強制的に開かされる感じがし、疲労困憊。いま文学的な感性がある意味全開状態なので、この上音楽的な感性が開かされるとちょっとやばい感じがある。しかしまあ学生時代後期はそういう感じだったんだよな、自分も。しかしあのころは今ほど物を知らなかったから結構平気だったのだと思う。今は知っているものが多すぎ、それに耐え得る体力が少なすぎる。もっと好調になってからきちんと聞こう。とりあえずいまはジャンゴ・ラインハルトをかけている。このあたりがいい。

ベスト・オブ・ジャンゴ・ラインハルト・オン・ヴォーグ
ジャンゴ・ラインハルト
BMG JAPAN

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『やし酒飲み』p.35まで読む。こういうお話は、私は好きだ。親指から生まれた子供が強烈な暴君的な支配者で、父親である主人公が村人に知恵をつけて焼き殺す幻想性が面白い。なんというか読み始めたときはこの父親自体がスサノオノミコトで、やし酒を一日150樽+75樽飲むことが出来る天国のような状態からやし酒造りの死によって追放され、現世に来ていろいろな知恵を働かせて変な者たちを退治していくという感じで読んでいた。まあ、世界観としては多分日本神話に近いものがあると思う。これがアングロ・ナイジェリア語で書かれているというのは、古事記や出雲風土記が万葉仮名で書かれているのとある意味似ている。外来語と現地語のミクスチュアでしか書かれ得ない文学というものがこの世にはあるよなあというのは実感として事実として迫ってくるものがある。

やし酒飲み

晶文社

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今日は曇り。血圧が上がらない感じ。血が足りない。





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アンジェラ・アキ、『やし酒飲み』、カフカ

2006-06-24 17:16:41 | 読書ノート
昨日帰京。特急が遅れ、帰宅したのも少し遅れる。ネットを見ながらいろいろメッセージを書いていたりしたら、電話がかかってきて話す。電話を置いたのが4時過ぎ。寝ていたら8時過ぎに別の人から電話がかかり、また長話。半分正気があの世に行っている。だらだらの土曜日。夏至過ぎて梅雨の晴れ間、暑い。

昨日帰ったら集合郵便受けがまた溢れていた。アンジェラ・アキのインディーズ時代のミニアルバム『One』と、チュツオーラ『やし酒飲み』(晶文社、1998)が届いていた。「わたしは十になった子供の頃から、やし酒飲みだった。…」ではじまるこの小説、引用だけしか読んだことがなかったが、冒頭を読んだだけでウケる。頭がこの世にないときに読んでも十分楽しめない気がするのでもう少ししゃんとしてから読んでみようと思う。

やし酒飲み

晶文社

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アンジェラ・アキの『One』は全曲ピアノの弾き語りで6曲。3回くらい聞いたが、その後で聞いてみるとやはり『Home』はメジャーっぽいな、と思う。でもボズ・スキャッグスのカバーとか、ちょっとお楽しみのナンバーもあり、『Home』がわりとシンプルなメッセージで統一されているのに比べると、『One』はインディーズらしく個性的な曲がある感じで、こちらもいい。「Rain rain rain」が両方に入っていて、思い入れのある曲なんだなとおもう。ノリはかなり違う。

ONE
アンジェラ・アキ
インディペンデントレーベル

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帰りの特急の中でカフカ『変身』は読了。『カフカ短篇集』(岩波文庫、1987)は「掟の門」「判決」「田舎医者」「雑種」と読了し、「流刑地にて」が読みかけ。読めば読むほど、私の好きないろいろな作品がカフカに影響を受けていることがわかってきて、いかに彼が巨大な存在なのかということがどんどん明らかになる。「田舎医者」などつげ義春の「ねじ式」を思い起こさせたし、「雑種」は諸星大二郎の「犬土」という短編を思い出させた。

カフカ短篇集

岩波書店

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ねじ式

小学館

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諸怪志異 (1) 異界録 アクションコミックス

双葉社

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「変身」は最初、グレゴールに感情移入をして読んでいたらずいぶん大変で困ったのだが、途中から三人称で突き放して読むようになり、そうやって読んでみると結構滑稽な話なのだということがわかってきた。三人の下宿人など、唐十郎「あれからのジョン・シルバー」に出てくる福助三人組を思い出さされた。演劇にもずいぶん影響を与えているよなと思う。介護問題とか引きこもり問題とか、現代的な問題性をもって読み替えることも出来、グレゴールの両親と妹が彼の死後晴れ晴れした気持ちで郊外にピクニックに行くところなど、ブラックといえばブラックだがあまりにもリアリティがある。このあたり『朗読者』のハナとのデートを思い出させる。ドイツ人はピクニックが好きだ。そういえばゲルニカ『改造への躍動』の中に「夢の山岳地帯」という曲があった。

変身―カフカ・コレクション

白水社

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改造への躍動(紙ジャケット仕様)
ゲルニカ, 太田螢一, 上野耕路, 高橋修
Sony Music Direct

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やはり頭が半分あっちに言っているので連想がゲーム的にどんどん出てくる。全部知っている人はいるのかな。




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サッカーのSomething/カフカを読むこと

2006-06-23 09:23:49 | 読書ノート
今朝はブラジル戦、今回はテレビでもネットでも見られる環境になかったので見ないことにして健闘を念じていたのだが、やはり気になってあまり深い眠りにならなかった。空が明るくなってきたのでラジオをつけてみると、後半15分で3対1で負けている。これは駄目だ、と思って結果だけ聞こうと思い、横になると左足のふくらはぎがこむら返りを起こしかけた。慌ててストレッチをする。そのあともうつらうつらしながら寝ていると、いつもの時間に起きられない。よそのうちのテレビかラジオの音が聞こえたので私もまたつけてみると7時を回っていた。結局4対1か。うーん。前半に先制はしたもののロスタイムで追いつかれ、後半は一方的。いつものパターンだ。こういう結果だと、むしろ見ればよかったと思う。これからいろいろ批判が噴出したり、「日本のサッカーのあり方」論が順次ウェブ上などでも口角泡が飛ばされることだろう。

トルシエ時代はヨーロッパ的な組織サッカー、ジーコ時代は南米的な個人技サッカーと、監督の個性によってチームのつくりが180度違うのは、今後は考えた方がいいような気がする。「日本的な」(勝てなければ駄目だが)サッカーをどう組み立てていくのかがなければ、いつまでたってもベーシックなところで動揺しつづけることになる。

しかしそれにしてもワールドカップという大会はハードな大会だ。よく戦場に喩えられるが、それだけの「本当の力量」のようなものがないと勝ち抜けるものではないのだろう。やはりまだSomethingが足りない感じがする。Something,something,something.

***

昨日は雨が降ったり上がったり。午前中に図書館にナイポールとオンダーチェを返しに行き、『カフカ短篇集』(岩波文庫、1987)と『世界文学全集29 カフカ 城 変身』(河出書房新社、1962)を借りてくる。短編をいくつか読んだが、まさに「わけがわからない」感じ。先に長めのものを読んだ方がいいのかな。「城」はずいぶん長いから「変身」を先に読むべきか。村上春樹の短編もわけのわからないものが多いが、というよりこれを読むと村上がカフカに相当影響を受けていることがよくわかるが、というかそんなことはいうまでもないのだろうけど、まだ現代日本の風俗とかがかかれているから情景そのものにそんなに違和感はない。しかしカフカは20世紀初頭プラハの情景を知っていればまだそういう想像ができるのだろうけど、と書いているうちにやはりこの人は詳細に研究されなければならない文学上の巨人なのだということがひしひしと認識されてくるが、年譜に沿って作品を読むくらいの気合がないと「理解」が難しい人なんだなと思う。やはりこの人は20世紀文学の創始者なのだ。プーシキンがロシア文学の創始者であるように。プーシキンは気合をいれて全集を全部読んだが、20世紀文学を理解するためにはまずカフカの全集を全部読むくらいの気合がいるのかもしれない。多分世の中には、そうやって読まなければならない作家――本当にオリジナリティのある作家――が、幾人かいるのだろうと思う。21世紀文学にとっては、それは誰だろうか。

カフカ短篇集

岩波書店

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今朝は曇り空。ザムザが毒虫に変わった日は雨だったと書いてあるが、bad newsの朝はとりわけ憂いを感じさせる。ゼルキンのピアノを聞きながらキーボードを叩いていると、なんとなく体を揺らしたくなってくる。アンジェラ・アキほど揺らしたら書けないが。

***

時間のあるときにアップしようと細切れの時間でカフカの年譜を読む。いろいろな背景が気になってくる。結核での死の間際の二つの言葉が印象的だ。医師がベッドを離れようとするのを「行かないでください」とひきとめ、「行かないから大丈夫」と返事を受けると、「だけど僕の方が行ってしまう」と小さな声でつぶやいたこと。断末魔の苦しみの中でモルヒネを欲しがり、「私を殺してください、でなけりゃ、あなたは人殺しだ」と言ったとのこと。カフカの本質は機知と諧謔で、それはオリジナリティのある作家の条件のようなものである気がする。それともそれは、表現者の「業」とでも言うべきものか。





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