具体的には次の通りである。
(1)措置の内容
クリミア自治共和国及びセヴァストーポリ特別市のロシア連邦への「併合」又はウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される者として外務省告示(8月5日公布)により指定される者に対する外為法に基づく(ア)及び(イ)の措置並びにクリミア自治共和国又はセヴァストーポリ特別市を原産地とする全ての貨物に対する外為法に基づく(ウ)の措置を8月5日から実施しました。
(ア)支払規制
外務省告示により指定される者に対する支払等を許可制とします。
(イ)資本取引規制
外務省告示により指定される者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とします。
(ウ)輸入制限
ウクライナ(クリミア自治共和国又はセヴァストーポリ特別市を原産地とする場合に限る。)からの全ての貨物の輸入を承認制とします。
そして、「外務省告示により指定される者」には、ウクライナ前大統領や、「美人検事」で有名になった、ナタリヤ ・ポクロンスカ氏を含めて40人の個人と2団体が指定された。
これらの動きに当然のことながらロシアは反発している。
6日のロイターが伝えたところでは、ロシアのプーチン大統領は同日、ロシアに対し制裁を科した国からの農産品の輸入を禁止、もしくは制限する大統領令に署名した。
大統領府によると、プーチン大統領は少なくとも1年間、輸入を禁止する物品の一覧表の作成を命令した。
ロシアの動植物検疫局(VPSS)はすでに米国からの鶏肉の輸入停止を決定。同局のアレクセエンコ報道官はロイターに対し、「対ロシア制裁を発動させた米国に対する(食料の禁輸措置の)決定はかなり大規模なものになる」とし、欧州連合(EU)に対しても同様の対応を取ると述べた。
これに対して、菅官房長官は7日の記者会見で、ロシア側の措置について「ロシアがそのような措置をとったことは誠に遺憾だ」と語り、「具体的な対象品目はこれから指定されるということであり、今後の動きを注視したい」と見守る姿勢を示した。
また、「ロシアに対しては、制裁に対する対抗措置でなく、ウクライナ情勢の平和的解決に向けて停戦と和平に向けた対話、武器や戦闘員の越境停止、さらに国境管理の厳格化など、建設的な行動を求めていきたい」と述べた。
日本は欧米諸国と足並みを揃え、経済制裁に踏み切ったが、果たしてこれで良いのだろうか?
結論を先に述べれば、経済制裁のやり合いなど、本来は行うべきものではない。
かつての日米経済摩擦、日中間の食品偽造などを巡る摩擦と同様に、双方が歩み寄らなければ、ウクライナ問題は解決しない。ましてや、経済制裁の報復合戦は、喩えるならば、現代の果てしない「消耗戦」と同じであり、利益などはもたらさない。
例えば、EU諸国のロシアへの輸出は、ドイツがEU全体の3割を占めるが、バルト三国とフィンランドでは、ロシアが最大の輸出国となっている現実がある。
また、ロシアからの天然ガス供給量は、欧州が使用するガス需要量の1/4であり、その1/3はウクライナより供給されている。
ちなみに、日本も天然ガス使用量の1/10をロシアより輸入している。
更に、ロシアが米国からの鶏肉の輸入停止を決定したことは、欧米系ファーストフード業界への打撃を計算したロシア側の計算も働いていると思われる。
今回の経済制裁は、かなり限定的ではあるが、それでも具体的な貿易制限に踏む込んだ内容であり、今までのものとは性質が異なる。ロシアも対抗して春以降、順次厳しい経済制裁などを進め、欧米との軍事的、技術的対立すら深まり、「新たなる冷戦」が開始されている。
既に極東ロシアなどでは、軍事演習の強化など、ロシア軍の内部でも異変が起きている。
日本はロシアとのパイプを強化する努力を惜しまずに行い、開催が危ぶまれているプーチン大統領の日本訪問を早急に実現する方向で調整する必要があろう。
それが、ウクライナ情勢の安定化や解決への糸口を作ることにもつながるだろう。
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中国で相次ぐ爆発事故や反政府行動 その影に蠢く権力闘争や国際戦略活動あり
中国では近年、特に昨年の習近平国家主席が就任して以来、相次ぐ爆発事故や反政府行動がより過激になっている。
YomiuriOnlineが8月2日に伝えたところでは、米政府系ラジオ自由アジアなどによると、中国浙江省温州市のケーブルテレビで1日夜、1989年の天安門事件の際に男性が戦車を阻んだ映像などが流れた。
映像は数十分続いた後、テレビ放映自体が遮断された。ハッカーの攻撃を受けたとみられる。中国版ツイッター「微博」に投稿されたテレビ画面の画像では、ノーベル平和賞受賞者で服役中の民主活動家・劉暁波リウシャオボー氏らの写真とともに「(中国共産党が)長期に拘束して迫害している」などと政府を批判する文章が流れた。
これは、当ブログでも再三申し上げているが、中国国内の政治腐敗や経済状況の悪化に伴う、「反腐敗運動」を習近平政権が行っている行為に対する「反感」の現れである。
どうして、このような事態に発展したのか?
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