>枯葉浮く千鳥の湯てふ源泉名
>屏風なす柱状節理冬隣
>奔流の滝深秋に抱かれつ
頂上まで行かれなかった代わりに、滝を見に山道をひたすら歩いた。
黄葉も紅葉も美しいが足場が悪い。山から本流となり下り降りる水が道を削り取り、
何か所も谷底に落ちるのではないかと思われる個所がある。
谷底は石狩川の激流である。
3枚目の写真は、道路際に「千鳥の湯」などという、粋な名のついた源泉がある。
大蔵省財務局なんてなんだか、いかめしいところが面白い。
4枚目の写真も、光りが射さないような場所でありながら、なんだかぼ~っと明るい。
それを面白いと思った。これまたなんだか妖精でも住んでいそうな雰囲気であった。
山ブドウ採りから帰った少年は、体中が痒くて痒くてたまらなかった。
肉が腐り、骨が見えてきた。蠅が集まってくる。卵をうみつける。
少年の体を見た叔母さんが、向かいの診療所に引っ張っていった。
ペニシリンの出てきた頃で、毎日ペニシリンを注射された。
それでもいっこうに良くはならなかった。
医者の阿部先生は、ペニシリンをこれだけ打っても良くならないなら、
もうどうしようもない。「豊富温泉に行って来い。治るまで帰って来るんでない。」と
言い渡された。
豊富温泉はこの当時、日本最北の温泉で重油の汲み上げをしている最中に見つかった温泉で、
お湯に重油の油膜が浮いている。皮膚病には現在でも聴き目のある温泉として知られている。
夜、寝ている以外は温泉につかっていた。
5日目ほどから自分でも治ってきたことが知られるようになってきた。
治りだすと以外に肉の盛り上がりも早く、ちょうど2週間温泉にいてかえってきた。
この前後の話も面白いが、またにしたいと思う。