goo blog サービス終了のお知らせ 

東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

ヤゴって面白い 19

2025年03月31日 | ヤゴ
ヤマサナエのヤゴ

以前にも掲載したが今回は終齢と中齢が同時に捕れたので並べてに撮影。サナエトンボ科の中でも終齢幼虫は大型で30mm。体型は体高があり腹部は扁平で腹先部に向かうに連れて細くなり、脚の付け根付近に最も細毛が多い。成虫になるまで2年〜4年かかり羽化のシーズンはゴールデンウィーク頃。

生息環境

流れが緩やかな中流と小川や水路に棲み底に潜り込んで生活。オニヤンマのヤゴと生息環境が重なり大型なのでオニヤンマのヤゴと間違えやすい。どちらかと言えばオニヤンマは林に囲まれた細流を好み、ヤマサナエは開けた場所にある砂泥底の小川や水路をより好む。この水路ではオニヤンマと共生する。

撮影用に持ち帰ったサナエトンボの飼育セットの一例

河川種でも流水にする必要は無く、池のヤゴと同じセットで、ケースの中の環境を棲んでいる環境に合わせてあげればOK。暖房無しの常温室内飼育。カルキ抜きをする必要はなく、水道水をそのまま朝と夕方に全交換。水深は3cm程度。エサは生きたアカムシを一日一回適量。採集して持ち帰って撮影したらリリースする前提で、一時的な預かりだけれど、命ある生きものには違いなく、取り扱いはなるべく慎重かつ丁寧にを心がけている。また、ヤゴの知られざる行動が観察できるので、それもまた楽しい。

雨の日のオタマジャクシ

2025年03月29日 | カエル
公園からお借りしていたシオカラトンボのヤゴをリリースするついでに、そろそろアズマヒキガエルのオタマジャクシが泳ぎ回るシーズンだと思い、水辺を覗いてみた。すると...

アズマヒキガエルのオタマジャクシ

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター

アズマヒキガエルのオタマジャクシ

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター
オタマジャクシの写真は雨が似合う。水面の反射を抑えるのに使用しているC-PLフィルターを効かせ過ぎてしまうと雨の様子まで消してしまうので適度な調整が必要。サギ、ヤゴ、アメリカザリガニ、子供達の格好のターゲット。これから壮絶な試練が待ち受けているに違いない。

アカボシゴマダラの幼虫

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
エノキの実生をチェックすると脱皮を終えてピンクのラインが綺麗な春幼虫を発見。
明日も昆虫の活動気温にはならなそうなので、家でおとなしくヤゴの撮影をしよう...

撮影日:3月29日

ヤゴって面白い 18

2025年03月27日 | ヤゴ
コオニヤンマとくれば次はオニヤンマでしょう。

日本最大級、里山を代表する子供達の憧れの存在。そのヤゴもやっぱり立派でカッコイイ。

オニヤンマの中齢幼虫と終齢幼虫

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
初齢から終齢幼虫になるまで数年かかるとされている。中齢はシオカラトンボのヤゴに似るが、複眼は左右に突き出し、脚の付け根に向かうほど細毛が多い。終齢幼虫の背中にはフクロウがいる!川底の泥の中に隠れて、通りかかる獲物を捕食しながら生活している。沿岸部のフィールドで出会うトンボ少年から、オニヤンマは何処で捕れるかと良く質問される。自分がトンボの生態撮影を始めた当時は、夏に谷戸の小川に行けば朝から夕方までひっきりなしに飛んでいたイメージだった。でもそれが今となっては行けば必ず見られる場所...思い浮かばない。それだけ東京でオニヤンマを見なくなってしまった。
その原因のひとつはヤゴが棲む小川の水量が減少傾向にある事だと感じている。少雨量の影響。

オニヤンマが棲む環境

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター
林に囲まれ小川を持つ谷戸地形がオニヤンマの棲家。小川は鉄細菌による赤褐色の沈殿物が見られる。

オニヤンマのヤゴが捕れた水溜まり

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター
ここは小川の水が少し流れこんでいる水溜りで、オニヤンマ以外にもシオヤトンボ、ヤマサナエ、オジロサナエのヤゴを確認。いつ来てもグチャグチャでハマると危険!抜け無くなり救助要請が必要。
イノシシとシカと自分の足跡だらけ。稀にムカシヤンマを見かけるけれど発生場所は不明。

流れが緩やかで浅い水路

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター
ここは湧水の影響により通年安定した水量が確保されている水路。オニヤンマ以外にコシボソヤンマ、ヤマサナエ、オジロサナエ、ホトケドジョウを確認。オニヤンマの成虫を見かける機会は減ったものの比較的ヤゴは捕獲しやすく、一度に様々な段階のヤゴが捕れる。それは成虫になるまで数年かかる証で、成虫になるまで想像もつかないような壮絶な試練があるに違いない。

オニヤンマの終齢幼虫とギンヤンマの終齢幼虫

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
小川に棲むオニヤンマと池に棲むギンヤンマ。棲んでいる環境が違うから自然界でヤゴ同士が出会う機会は無いと思う。どちらも子供達にとって憧れのヤンマに違いなく、永遠のライバルだ。

ヤゴって面白い 17

2025年03月26日 | ヤゴ
コオニヤンマ(亜終齢幼虫)

河川中流に生息。亜終齢で大きさは30mm。体型はかなり扁平で後脚が長い。
コヤマトンボのヤゴよりも更に落ち葉に擬態した姿が素晴らしい。羽化は5月下旬頃からスタート。

擬死の姿勢

河川種のサナエトンボ科のヤゴはそれぞれに擬死の姿勢があり、少し強めに手で掴むと擬態の姿勢を見せてくれるので面白い。コイ等の魚に捕食されそうになった時、OH!NO...のイメージかな。

生息環境

コオニヤンマのヤゴは流れの緩やかな川底に堆積した落ち葉に紛れて生活している。
よく遊泳している姿を見かける事があり、この時も見かけたので手掴みでゲットした。

オツネントンボ日和

2025年03月25日 | トンボ
この週末はトンボシーズンの開幕を飾るのに相応しい、暖かく穏やかな天気になったので、
成虫の姿で何処かに越冬していたオツネントンボの活動に期待して生息地に訪れた。

オツネントンボの生息環境

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED+C-PLフィルター
オツネントンボは明るく開けた草ボウボウの大草原と、産卵場所となる水生植物の繁茂が見られる水辺が隣接して在る環境をより好む。余談だけれど80年代にアメリカザリガニ、ギンブナ、ブラックバスを釣りに通っていた、今の品川区八潮団地、JR貨物地区、大田市場周辺が当時こんな環境だった。もしも願いが叶うのなら今の知識でその頃のその場所にタイムスリップしてじっくりと昆虫を探したい。

朝は全く水辺に姿を見せていないのを承知で活動時間よりも早くポイントに入るのが自分のスタイル。その理由は何処からオツネントンボが水辺に飛来するのかを知りたく、それが越冬場所の手掛かりになるかも知れないからだ。到着して湿地を歩くと獣(イノシシ)の異臭がした。稀に昼間も見かけるので撮影中に突進される危険もある。ここは柵がされた公園とは違う大自然の中。観察スタイルが自由な分、イノシシは勿論、マダニ、毒ヘビ等、野生生物からの攻撃には心得が必要。気温が上昇して来るとテングチョウやキタテハの飛翔が見られた。そろそろオツネントンボの出現タイムだ。すると...

オツネントンボ 雄

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
あれ!いったいどこから来るのか?いつの間にか水辺にいるし。

オツネントンボ 雌

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

オツネントンボの連結産卵

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
産卵は底まで見通せるほど水質がクリアな水辺をより好む。
この事はオツネントンボに限らずホソミオツネントンボ、ホソミイトトンボにも共通する。

オツネントンボの連結産卵

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
爽やかな春風を感じて、水に浸かる枯ガマと新緑のイネ科に産卵するオツネントンボにそっと寄ってカメラを向けた。いよいよ東京のトンボシーズンが開幕。今シーズンも存分に楽しみたい。

撮影日:3月22、23日