東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

ヤゴって面白い 15

2025年03月18日 | ヤゴ
アオサナエ

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED ※画像クリックで拡大
終齢幼虫の大きさは23mm。服部上面と両サイドに棘を持ち、見た目でもかなりゴツゴツしているのが分かる。体色は褐色及び緑色。背部に白い斑紋を持つ持たないの個体差がある。

裏面

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED ※画像クリックで拡大
裏面は綺麗な緑色が特徴。褐色の個体もあり。サナエトンボのヤゴのオスメスの見分け方は、オスには成虫が持つ副生殖器になる部分がありメスにはない。アオサナエほどの大きさの終齢幼虫なら目視でもオスメス見分けられるが、更に小型種には無料アプリの拡大ルーペを使用すると見やすくフィールドでも楽しめる。

擬死の姿勢

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED ※画像クリックで拡大
刺激を受けるとお城の屋根の角に飾られているシャチホコの様な姿勢になり、しばらく硬直して死んだ振りをするので面白い。また、硬直する事で発達した棘を強調させ、擬似的な異物に擬態して違和感を与え、コイや野鳥等の天敵から身を守っていると考えられる。

生息環境

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター
アオサナエは中流域。前記事のダビドサナエのヤゴと同時採集。良いポイントには群れている事が多い。そこにはエサが豊富なのか?酸素なのか?集まる要素は分からないが多数のヤゴが獲れた場所の地形を知ることがキーワード。
サナエトンボのヤゴを採集していて気になった事がある。それは、幼虫の間ずっと砂礫に潜って生活をしている事を想定すると、そこは暗闇の世界だ。セミやカブトムシの幼虫も土中の生活なので暗闇。いったいこれらの幼虫はどのようにして季節や時を感知しているかが気になった。アオサナエのヤゴは実際にずっと潜ったままなのか。その真相を確かめてたいので中齢の飼育観察を試みている。

ヤゴって面白い 14

2025年03月17日 | ヤゴ
ダビドサナエの終齢幼虫

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED ※画像クリックで拡大。
大きさは終齢幼虫で17mm。撮影時は比較的、他種よりも大人しいので並べて撮影するのが安易。
サナエトンボのヤゴはクワガタのメスのアゴに似た二本の突き出た触角が特徴的。

生息環境

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター
河川上流から中流の流れが穏やかな砂礫底に生息。実際に終齢幼虫が採れた中流部の環境写真を掲載。
サナエトンボのヤゴは少しでも水流のある場所を好んでいる様子にあり、淀みでは殆ど採れない。早ければ羽化は3月下旬からスタートするので、そろそろ羽化のチェックも欠かせないシーズンが到来だ。

サナエトンボのヤゴ採り

2025年03月13日 | ヤゴ
里山を後にして、午後からは河川でサナエトンボのヤゴ採り。

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター
河川は増水の影響で地形変化が著しく、それにより毎年ヤゴの居場所も変わる為、ポイント探しが重要になる。適当に底をさらっても殆ど採れないので、目視で川底の様子を確認してからポイントを選択。サナエトンボのヤゴは砂礫場(砂や小石)に深く潜り込んで微生物等を捕食しながら生活している為、砂礫ごと網で掬ってチェック。すると...

河川のヤゴ各種

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
お散歩中の幼児君とお母さんが見に来てくれた。脚長はヤマトンボ科のコヤマトンボ、腹部の上に白いマークがあるのはアオサナエ、ダビドサナエとミヤマサナエの中齢も少々。ホンサナエとコオニヤンマは採れず。今さっきまで川底に潜っていたのが、急に白いトレイに入れられてビックリしているに違いなく、程よく分散させても直ぐ角に寄ってしまうので集合写真が難しい。綺麗に撮影したいので数頭を持ち帰った。自然の為、また羽化の撮影を楽しみにしているトンボ仲間の為にも、ポイント潰しにならないように過剰な深追いは避けるよう心がけている。

ヤゴの持ち帰り方


Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
左右に振られたりする慣性力の影響を抑える為、少しの水と棲家の環境に合わせた物を入れ、ジップロックの口は閉じずにプラケースに収納。ひとつのジップロックに必ず同じ大きさの個体を小数がベスト。ジップロックとプラケースの空間はペットボトル等で補強。これからのシーズンは水が温くならない様にする為、クーラーボックスと保冷剤が必要になるので、その仕様はまた時期を見て紹介したい。

撮影日:3月9日

里山の新生蝶

2025年03月12日 | チョウ
ヤマアカガエルの卵塊とトウキョウサンショウウオの卵嚢を観察した後、散策路を歩いていると小型のチョウが横切った。時期的にテングチョウかと思ったが、飛翔姿がタテハチョウ科ではなくチャッチャ飛び。少し先に静止したのを確認したので、そこに近寄ると...いた。

ミヤマセセリ 雄

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
食樹となるクヌギ、コナラが在っても区部のフィールドでは見かけない、春の里山を代表するチョウ。
飛翔時の姿形を良く観察する事で種類の特定にも繋がる。それをいつの間にか習得していた。
セセリチョウ科の飛翔姿を勝手にチャッチャ飛びと表現している。

ミヤマセセリ 雄

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
新緑の上に枯葉が覆い被さる早春の野を背景にしたミヤマセセリ。テングチョウよりも先に見られるとは思わなかった。発生初期なのと陽射しも途切れる条件だった事もあり、近寄っても全く気にせず、とにかく日光浴といった様子だった。この日はヤゴ採りをしていた場所でベニシジミも確認。まだ新生蝶の出現には少し早いかと思っていたが、昆虫シーズンはいつも通りに進んでいると感じた。

3月上旬の里山の田園風景

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター
またゴールデンウィーク辺りに来ようか...

撮影日:3月9日

雨後の水辺で

2025年03月11日 | トンボ
先週の週明けと土曜の夜にも雨が降った。ヤマアカガエルは雨がきっかけで産卵を行うと、Sさんからご教授いただいていたので、卵塊の増加に期待して、再び里山の水辺に訪れた。すると...

ヤマアカガエルの卵塊

到着して水辺を覗くとそこかしこに卵塊あり。Sさんの言う通りヤマアカガエルの産卵は雨がきっかけと言うのは真実だった。山沿いは前夜に降雪した様子で、まだ消えずに残っていてくれた積雪を卵塊の背景に入れることができた。

ヤマアカガエルの卵塊

べたっと広がった様子にあるのは新しい卵塊。

トウキョウサンショウウオの卵嚢

ヤマアカガエルと同じくトウキョウサンショウウオの産卵も雨がきっかけなのか。
卵嚢(らんのう)は袋状のものに卵が包まれている形を示していて、卵塊(らんかい)は複数の卵がひとつのかたまりとなる形を示している。卵鞘(らんしょう)鞘(さや)は中に卵が納まる形を示している。ややこしいから全部ひっくるめて卵と言った方が単純明解。

ヤマアカガエルの卵塊

里山の景色を背景にした一枚。前回はたったの2つだっのがウソのように、今回は殆どの水辺に卵塊があり、素晴らしい光景を観察できた。ヤマアカは雨の後とSさんからご教授いただかなかったら、たぶん観に来なかったと思う。ヤマアカガエルにとっても雨がものすごく大事だと言う事を改めて知った。

全てNikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+C-PLフィルター

撮影日:3月9日