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東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

雨天のヒヌマイトトンボ

2025年05月30日 | トンボ
この日曜日は午前雨。前日の事もありネアカヨシヤンマの羽化が狙えるかも知れないと思ったが、
連日湿地を荒らすのは自然に優しくないので、雨でリセットされることを望んだ。

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
雨でも観察できるトンボと言えば、水辺からそれほど離れないイトトンボが楽しめる。
何故わざわざ雨の日に濡れてまでトンボを撮影する必要があるのか?普通ならそう思うかも知れない。
でも、雨の日じゃないと撮れない画がある。それは...

ヒヌマイトトンボ 雄雌

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
イネ科の表面に持つ細かい棘が、付着した雨粒を落ちにくくする効果があるという事を、雨のフィールドで知った。だから、イネ科に静止した個体を狙えば、より雨の日の雰囲気が出せるというわけ。
特にヒヌマイトトンボに限らず、アジアイトトンボやアオモンイトトンボも雨の日に楽しめる。

ヒヌマイトトンボ 雌

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
人によってどう撮るかは好みの問題。だけれど自分の場合は使用するレンズに関係無く、
被写体とその周辺を見せる事によってブログを閲覧された方にイメージを与える撮り方が好き。


ヒヌマイトトンボ 2雄

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
写真の美しさはこのワンフレームの中に込められた世界観だと思う。

また雨の日に行って見よう...

撮影日:5月25日

新たな発見と可能性

2025年05月29日 | トンボ
土曜日の最終目的はヤゴ採り。Sにもお手伝いいただきオオアオイトトンボの終齢幼虫を撮影用に捕獲。あっという間に夕方近くになっていたので、そろそろ終了と思っていた時。ふと、眼を向けた矢先に黒と黄色のヤンマが見えた!

ネアカヨシヤンマ 雄(未成熟)

まさかと思ったが紛れもなくネアカヨシヤンマ。体色が明確なのでこの状態で水辺に残っているのは不自然に思え、よく見ると残念ながら羽化不全。翅と胸部に訳アリ。飛べないんだ...これも仕方がない自然の摂理。羽化からの経過は分からないが近くに羽化殻が見当たらない。ここで羽化した証拠となる羽化殻の発見に努めると、個体のかなり下の草中に発見。回収。ここで羽化した個体と判明。ナイス!

ネアカヨシヤンマの羽化殻

シーズンには沿岸部で黄昏飛翔と稀に産卵行動を確認していたので、タイミングと運次第で、そのうちに羽化殻の発見、あわよくば羽化の観察が叶うかもしれないと思っていた。しかし、ここは沿岸部からは遠く離れた水辺。まだ成虫の確認もしていない予想外の場所での発見となった。でもここはネアカヨシヤンマの生息環境にマッチしていると思っていた場所でもあり、この先に可能性がある事をこの個体が教えてくれた。こうした発見はいつ訪れるかわからない。でも、フィールドワークを欠かさずに楽しむ事が新たな発見に繋がるという結果になった。東京都でのネアカヨシヤンマの発生確認は嬉しくも自己初記録。飛翔性に優れたトンボは本能で自らに合った環境を探し求めて産卵する。そこで上手く世代交代ができるかできないかは一か八かの賭け。自然池や学校のプールサイドにも産卵するギンヤンマや、水溜まりや田んぼにも産卵するシオカラトンボは順応性に優れているので数多く見られるが、ネアカヨシヤンマはそれらとは違い、水があったり無かったりする不安定で特異な湿地環境を好む様子にもあるので、どうしても希少種の類いになってしまう。でもそれぞれが一生懸命に命を繋いでいるんだ。この日は朝のヒヌマイトトンボと最後の最後にもう二度と無いかもしれない、東京都でのネアカヨシヤンマの奇跡的な発生確認が叶い、iPhoneのバッテリーがギリギリもったSさんと、嬉しくも楽しくも素晴らしいトンボ観察を堪能できた。

全てNikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

撮影日:5月24日

羽化後のトンボ

2025年05月28日 | トンボ
何時も羽化中の観察はしているものの、羽化後、羽化殻から離れた時の姿を観察していなので、
ちょうどその時間帯にあたると思い、先日アオイトトンボの羽化観察をした池に訪れた。すると...

アオイトトンボ 雌(未成熟)

画像を拡大すると分かりやすいがオスは腹部先端の下付属器がストレート。アオイトトンボとオオアオイトトンボの羽化途中での違いは、今のところ自分のレベルではわからないが、6月には両種の未成熟が同日に撮影できそうなので、その違いを楽しみたい。

アオイトトンボ 雌(未成熟)

まだ全体的に淡い体色だけれど美しいブルーグリーンの光沢色が現れた段階になっている時。

モノサシトンボ 雄(未成熟)

以前は多摩川のワンドや隣接した細流の溜まりでも見られていたが、改修工事や台風等の影響により環境が消失してしまい見られ無くなってしまった場所もある。ここは例年通り安定した発生状況で何より。アオイト、オオアオイトトと同様に未成熟は林の中のスポット的に陽射しが当たる場所を生活空間にしている様子だが、アオイト、オオアオイの様な生殖休眠期は無く、6月には水辺で活動する姿が見られるので久しぶりに連結産卵を狙ってみたい。

オオアオイトトンボ 雌(羽化)

アオイトトンボに続いてオオアオイトトンボの羽化もスタートしていた。腹部第9節の目立った膨らみがオオアオイトトンボのメスの証。とっくに午後を過ぎているのにまだこの段階の個体が見られていた。一般的にトンボの羽化は早朝というイメージがあるけれど、比較的、個体数が多い場所では午後でも羽化が行われている事が良くある。先週末に訪れたばかりなのに、たったの1週間後でもトンボの発生状況に違いが見られた。例年より涼しい初夏で週末は曇り空が多いけれどトンボには全く関係ない。そんな様子にありシーズンの早さを実感した。

全てNikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

撮影日:5月24日

悠長なコオニヤンマ

2025年05月27日 | トンボ
ヒヌマイトトンボを観察した後、道路状況を確認すると渋滞がなかったので、河口から一気に遡って支流へとワープ。悠長に羽化を初める個体を見つけられるかに挑戦した。すると...見っけ!

コオニヤンマの上陸幼虫(枯葉に擬態)

消波ブロックに付着した枯葉に擬態しているらしいけれど野鳥は騙せてもオレは騙されない。まだ湿っていて羽化まで時間がかかると判断し、他種の羽化やサナエトンボの縄張りがあるのかを見てからまた戻る事にした。しかし、それらは皆無。再び戻るといない!上陸の時間帯が遅かったので明日に延期のパターンか...でも翌朝は雨...ダメかと思いきや、いた!用心深く場所変更?それとも別の個体かは謎。

コオニヤンマの上陸幼虫羽化前

全体が乾くと消波ブロックの色に同化する現象を見せる。しばらくすると羽化の前触れに行う足場の確認をする定位行動を見せたので、Sさんにブロックの空間に入っていただき、羽化開始からの動画撮影等、交代しながら観察、撮影を楽しんだ。

コオニヤンマ 雄(羽化)

構図内に水面が入らない場所なのが残念だけれど、消波ブロックでの羽化の撮影は影が出にくい明るい曇り空の日がベスト。

コオニヤンマ 雄(羽化)


小顔で色白の美しくも素晴らしいコオニヤンマの羽化の経過姿に感動しながら観察を楽しむ時。東京のトンボは4月上旬に羽化のシーズンがスタートしたらノンストップ。毎日どこかの水辺で羽化していると言う事を知って欲しい。

コオニヤンマ 雄(羽化水落下の瞬間)

羽化開始からおよそ2時間が経過。飛び立ちにはまだ時間がかかるので見送り、次は止水のトンボを見に行こう。コオニヤンマの羽化観察を楽しみつつも天候条件と時刻を気にしながら次のトンボの観察計画を立てるのがまた楽しい。

全てNikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

撮影日:5月24日

朝涼のヒヌマイトトンボ

2025年05月26日 | トンボ
涼しい朝を迎えた土曜日はヒヌマイトトンボの様子を見に向かった。小型で細いイトトンボはスマホのカメラだとフォーカスが合わない事も多く、苦労しながらも観察、撮影を楽しまれていたSさん。


ヒヌマイトトンボ


なら、レフ機やミラーレス機のマクロレンズなら簡単に撮れるのかと言うと簡単じゃない。

ヒヌマイトトンボ 雌(未成熟)


イトトンボをマクロレンズで複眼から腹部先端までジャスピンの仕上がりにしたい場合は、完全にマニュアルフォーカス。この画像の複眼の位置を見ると分かるように、トンボとカメラ位置が真横(並行)ではなく若干斜め、数ミリ腹部先端寄りに微調整して撮っている。そこまでしないと撮れないのかと思うかも知れないけれど、集中力を鍛えよう。マクロレンズ初心者の方は参考までに。

ヒヌマイトトンボ 雌(成熟)

例年の状況確認もそうだけれど、東京都に棲む最小のトンボにそっと近づき、ピント合わせのスキルダウンを防ぐための楽しみにも訪れている理由のひとつ。カメラ任せじゃなくて自分の眼で見てピントを合わせて撮るのが好きだから。ひと段落しても相変わらずの曇り空。さて、次はどうしよう...河川種の羽化に間に合う可能性に賭けて、河口部から一気に中流部へワープすることにした...

全てNikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

撮影日:5月24日