吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。
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以前予告した譲二続編のハピエンです。
譲二続編のスパエンは京都に、ハピエンは兵庫県の姫路城に行きます。
スパエンのヒロイン好みの内容に対して、ハピエンは譲二さんがとっても楽しんでる。
姫路城エピは譲二さんらしさが出ていて、私的には好きな話です。
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茶倉譲二 続編ハピエン~その8
〈譲二〉
ホテルの部屋はツインを取ってあった。
本当は別々の部屋を取るべきだったかもしれない。
だけど、しばらく会えなくなる百花ちゃんとこの旅行の間だけは片時も離れたくない、という思いがあってツインにしたのだった。
もっと深い仲になれたらいいな~という微かな願望も少しはあったしね。
ホテルの部屋で2人だけになると、ちょっと気詰まりな気がして部屋に備え付けのパンフレットを開いてみた。
譲二「見て、百花ちゃん。このホテル、朝食が豪華なんだって」
百花「は、はい…」
譲二「楽しみだね。明日早起きしないと」
何気なく百花ちゃんをみるといつもと様子が違う。
どことなくおどおどしてるし、何か気がかりでもあるみたいだ。
譲二「…百花ちゃん?」
百花「…はい」
譲二「なんでそんなに遠くにいるの?」
ベッドに腰かける俺とは少し離れたイスに座ってしまっている。
百花「こ、こっちから夜景が見えるなーと思って」
譲二「あ、ほんとだ。夜景も売りだって書いてある」
譲二「って、もうこんな時間だね…」
譲二「百花ちゃん、シャワーお先にどうぞ」
百花「え!?」
譲二「え?」
百花「い、いえ…」
百花ちゃんは相変わらず無口なまま着替えを持ってシャワーを浴びに行った。
いっぱい歩かせたから、疲れてるんだよね?
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百花ちゃんと交代してシャワーを浴びたあと、部屋にもどった。
ぼーっとしてる百花ちゃんに声をかけると「わっ」と驚いて飛び上がった。
どうかしたのか聞いてみたけど…。
百花「な、なんでもないです」
百花ちゃんは壁を背に張りつくようにしている。
その上、俺が少し近づくと同じだけ距離をとって後ずさってる。
(わぁ…完璧に意識されてる…)
(まぁ、逆に今までの百花ちゃんが無防備過ぎたんだけどね。俺、男として見られて無いんじゃないかと不安になるくらいだったから…)
少し怯えた瞳で俺を見つめる百花ちゃんが可愛いくて、ついからかいたくなってしまった。
譲二「そんなふうに逃げられると逆につかまえたくなっちゃうよ」
ポソリと呟くと百花ちゃんはますます焦った顔になった。
百花「え!?」
安心させるように、にっこり微笑んで誘う。
譲二「だから、こっちにおいで」
百花「は、はい…」
百花ちゃんはどもりながら返事すると、少しだけ近寄って自分のベッドにちんまりと座った。
(俺のそばに座って欲しかったんだけどなぁ)
やっぱり、いつもの俺と雰囲気が違ってて怖いんだろうな。
その9へつづく