華麗なるオーストラリアンライフ

渡豪17年。職業・看護師。
白熊のようなオージーの旦那1人とワンコ2匹で
ニューサウスウェルス州の田舎町で生息中。

エキセントリックビーム

2016年09月14日 21時26分25秒 | Weblog
本日キラーシフト。早起き、嫌いよ。

今日は事情があって隣の病棟勤務になっていた。ここはうちの婦長が管理している病棟で、病院が暇になったら一番に閉まるところ。うちが2番目。うちよりももっと頻繁に閉まるため現在のところ定職者はいない。ゆえに開いたときはカジュアルスタッフが作業する。
今日はどんな理由があったのか、2名しか入らないわが病棟に3名が配置されていて、諸事情により私がそちらにまわされたという状態。

昨日までの4日間でわが病棟の患者さんのデータは頭に入っていたのに、急に何にも知らない患者さん8名の担当。しかもインチャージ(チームリーダー)。ちなみにここもスタッフは2名でもう一人のスタッフはこれまたうちの婦長が管理するMedical7から遣わされた人。准看さんだったので必然的に私がインチャージ。

いやもう、大変やった。

細かく書くと長くなるので端折るけど、8名の患者さんのうちエキセントリックな人が2名。

1人は酔っぱらって梯子から落ちて、左ひざにケガをした人。朝一番の手術で傷口を洗ってお昼前に病棟に戻ってきた。
自分がやりたいことは今できないと嫌で、かつ何事に対しても何度も同じことを言わないと気が済まない性質らしく、こちらが手術室の看護師から申し渡しを受けているときも「iPad取って」「服を着替えたい」と横入するので、「少し黙って」と言う必要があった。
これだけでも十分イラッとするのに、帰ってきてすぐにタバコを吸いに表に出たいとかいう。若いので(46歳)手術後のリカバリ-が早いのは間違いないけど、全身麻酔の後は何が起こるかわからないので少しおとなしくしていてもらわないと困る。それを説明し、「最低4時間は病棟でジッとしてて」と伝えた。しかし「わかった。問題を起こす気はないよ」と一度はおとなしくなるのに、舌の根も乾かぬうちに「少しだけ歩きにいきたい」と何度も何度も私やペアのスタッフに挑戦してくる。そのたびに同じことの繰り返し。最終的にはいい加減腹が立ってきて、「もう3時間経ったしいいでしょ」と来たときにさすがにちょいギレ。「私さっき何て言った? 4時間って言ったよね? 何度同じことを言わせる気?」とだいぶ強く言い返した。この後は私には挑戦してこなくなった。さっぱりしたわ。マジでうっとうしかったもの。でもペアのスタッフは私よりももっと年上のベテランさんで、その人からはもっと強く言われていたけど。

もう1人は虫垂炎の手術を受けた後で急に足が動かなくなり入院してきた若い女の子。状態は徐々に良くなっているものの、まだ片足を引きずっている。だけど歩けないわけではなく、歩行器を使って歩くようにと理学療法士さんにも言われている。しかし今朝は目を離したすきに「あんまり使ってはダメ」と言われている車いすで病棟から出て行ってしまっていた。
オーストラリアにおける公立病院は基本的に費用は無料。なので、病院側も患者さんが病棟にいなければ、わざわざそれを探しに行って連れ戻すような看護はしない。「治療が受けられなくてもそれはあなたが病棟にいなかったから」「こちらの言うことが聞けないなら出て行ってね」というスタンス。
この女の子は朝の9時から12時前まで所在不明。すでにドクターも理学療法士さんも社会福祉士さん(家庭の事情で政府のサポートが必要なので)も来ていたけれど、全員が「あ、いないのね」といって患者さんを看ずに出て行った。
私はこういう身勝手な態度にあまり寛容ではないので「どこに行っていたの?」「いろんな人が会いに来たのにあなたそれを全部逸したわよ」と言ったら「え~、誰も来なかったよぉ」。アホか、こいつ?と心の中で毒づいたのは言うまでもない。「それはあなたが病棟にいなかったからでしょ?」、ついでに「車いす使うなって言われてるよね? 歩く練習しないとよくならないよ」とだいぶきつくいって聞かせた。いろいろ言い訳をしていたけど、お昼からはおとなしくなったので結果オーライ。
この女の子も人の話が聞けないタイプで、看護師同士が例えば申し渡しや治療について話し合っている最中に会話にどんどんかぶさってくる。実は先週夜勤をしていたときにわがMed8に入院していたので(退院したけどまた入院してきた)、この性格を知っていた。いちいち話を聞いていたらキリがないのでスタッフ間の話が終わるまでは完全無視。目を合わせることもない。失礼な態度だとはわかっているけど、こうでもしないと本当に作業が進まないのよ。そもそも向こうも会話に割り込んでくること自体間違えているのでお互いさま。

オーストラリアの看護(特に公立病院)は患者さんに対しても強い態度で臨むことが必要とされる場面多し。患者さんに不都合があっても「病院なんだからあまり期待しないで」「がまんしてね」みたいなことも多々。日本みたいに“患者さんは神様です”的なサービス精神はない。

この2名のせいで精神的にだいぶやられた。人を叱るって体力使うわ。そこに加えてインチャージだったので本当に疲れた。でも2人ともお昼からはいろんな意味で落ち着いてくれたので、やっとこせ椅子に座る時間もできた。やれやれ。
ちなみに8名しかいない病棟のインチャージなんてほかの病棟に比べたら「けっ」っていう程度のもの。でもほかの病棟ではインチャージは患者さんを担当しない。何も知らない患者さんのお世話もしながらインチャージってのは結構しんどいのよ。

なんとかかんとか仕事を終えて病院脱出。ホッとしたわ。

さて。
このときDが病院の近所まで来ていた。電話して落ち合って、せっかくなので忙しくて委縮していた体をリラックスさせるのを兼ねてコーヒーを飲みに行った。いい気分転換になるからね。そしてお買い物をして帰宅。夕食はまたテイクアウト。
キラーシフトだったので夕食の後は当然のように眠気に襲われた。1時間だけの仮眠のつもりで1時間半。まぁ、そんなもんよね。8時過ぎに起きて改めて寝る準備をして今に至る。明日も午前シフトなので、本当にもうベッドに行かないと。

ちなみになぜDが病院の近所に来ていたかというと、無呼吸症候群の検査のため。とりあえず今日は簡単な問診を受け、寝ている間の呼吸パターンを調べるための器具を借りてきただけ。今夜その機械を装着して寝て、そのデータの結果をみて今後どうしていくかと決めるというところ。すでにベッドに向かったDは頭や胸に何本もコードが貼りついている。見るからに寝心地悪そうやけど、健康のためなので仕方あるまいよ。

明日は十中八九わがMed8に戻れる予定。だけど今日で患者さんが数名入れ替わったみたいだった。重ための患者さんじゃないといいな。でも明日はインチャージじゃないからいいや。6連勤最終日。いい一日でありますように。

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