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高市早苗内閣府特命担当大臣がいくらIAEAで吠えようと、中国による日本産水産物全面輸入禁止は解除しない -その答えは「日本が防衛三文書で中国を敵国としたから」-

2023-09-30 | 小日向白朗学会 情報
 2023年9月27日、読売新聞オンライン「中国原発、処理水以上に放射性物質を排出…IAEA総会で日本批判の中国に反論」と高市早苗内閣府特命担当大臣(科学技術政策担当)が、中国が東京電力福島第一原発の処理水を海洋放出することを決定したことを理由に、日本産水産物の全面輸入禁止にしたことの反論をおこなったことを報じている。
『……
【ウィーン=森井雄一】オーストリアの首都ウィーンで開かれている国際原子力機関(IAEA)の年次総会で25日、東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡り、日本と中国の代表が応酬を繰り広げた。発言した約30か国の中で唯一、放出を批判した中国に対し、日本の代表は反論した。韓国やデンマークなどからは、IAEAの取り組みや日本の情報発信を支持する発言があった。
 高市科学技術相はこの日の総合討論で、中国代表の批判を「科学的根拠に基づかない」と切り捨てた。しかし、中国側は「大量の『汚染水』が30年以上、海に排出されることで、海洋環境と人間の健康にもたらされる長期的な影響は現在の科学的知見では正確に説明できない」と主張した。
 これに対し日本側は、「汚染水」ではなく「処理水」だと誤りを指摘した上で、処理水放出は国際的基準に沿っていると説明し、「IAEAや加盟国の業務に異を唱えるのは理解できない」と反論した。中国で稼働中の原発が処理水以上に放射性物質を排出している点を指摘した。
……』
 この問題に付いては「中国が日本産水産物を禁輸にしたのは日本が中国を敵国としたから!」で書いた通りである。
わざわざウィーンにまで出かけて恥の上塗りをすることはあるまい。高市早苗内閣府特命担当大臣の発言は国民向けプロパガンダ以外の何物でもない。
日本政府は、処理水を海洋放出するさいに、日本の対応を批判する国にサンプルを提供することを約束すれば済む話である。それも嫌ならば、中国政府に要員を派遣させて、納得のゆくまで計測させればよい。
 現代の戦争は総力戦である。つまり、戦争は正面兵力だけで勝敗は決まらない。特に重要なのは、相手国経済を弱体化させることである。如何なる方法で行うか。その好例は、日米開戦前の様子を確認するだけで済む。
・昭和14年7月:日米通商航海条約破棄を通告
・昭和14年12月:モラル・エンバーゴ(道義的輸出禁止令)発動。(これにより航空用ガソリン製造設備、製造権の輸出を禁止)
・昭和15年1月:日米通商航海条約失効
である。昭和14年にアメリカが発動したモラル・エンバーゴとは、アメリカの敵は日本だと宣言したことに他ならない。
 翻って、2022年末、日本は「防衛三文書」で中国を敵国と指定してしまった。これに対する中国は日本産水産物全面輸入禁止というエンバーゴで応じたのだ。日本政府が「防衛三文書」を根拠に防衛力強化を進める限り、今のところ、解決の道はない。
 日本の宗主国であり同盟国で、さらには防衛力強化を煽った張本人であるアメリカは「一つの中国」政策に回帰し、駐日大使に中国を挑発する言動をやめるように指示している。
自由民主党が、日本の国権(主権)をアメリカに売渡し生き延びてきたことから、さらに、宗主国アメリカの言いなりに中国を敵国としたことから、このような間抜けなことになっているのだ。
 中国が日本産水産物全面輸入禁止の次の手は明らかである。
そうである。現代の日本経済で唯一の明るい兆しで、且つ、GDPに強いインパクトを与える「インバウンド需要」つまり、中国人の全面渡航禁止である。
 その理由は「日本に滞在する中国国民を汚染された食品から守る」位に適当なもので充分なのだ。その発動時期であるが、WTI原油が高騰し、円安が1ドル=150円を超えてガソリン価格が史上最高価格となったときであろう。その時、日本政府は税の本質には触れない「トリガー条項」を発動するという、その場しのぎで大騒ぎになっているときであろう。これに付いては『台湾有事にアメリカ軍は参戦しない!? -どうする自由民主党!-』で記載済みである。
 ところで断っておくが筆者は中国を擁護しているわけではない。中国政府の傍若無人なさまは目に余る。特に新型コロナウイルス感染症は、世界から非難されて然るべきである。新型コロナ感染症は、武漢から広がったことは、既に常識であるとともに、中国政府も認めるところである。その中国は「細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発,生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約」(CONVENTION ON THE PROHIBITION OF THE DEVELOPMENT, PRODUCTION AND STOCKPILING OF BACTERIOLOGICAL (BIOLOGICAL) AND TOXIN WEAPONS AND ON THEIR DESTRUCTION)を批准している。そのなかに次の条項がある。
『……
第五条
締約国は、この条約の目的に関連して生ずる問題又はこの条約の適用に際して生ずる問題の解決に当たって相互に協議し及び協力することを約束する。この条の規定に基づく協議及び協力は、国際連合の枠内で及び国際連合憲章に従つて、適当な国際的手続により行うことができる
……』
 つまり、新型コロナ感染症が世界に拡散したのは中国政府の対応のまずさゆえなのである。細菌兵器問題で、日本の敵国を中国とするならば、まだ筋が通る。しかし、日本政府が中国を敵国と指定したのは、日本が宗主国アメリカから莫大な量の兵器を購入できるようにするためだけである。つまり、自由民主党の利権拡大が目的で「防衛三文書」を作成し敵国を作ったのだ。本来、外交とは武力に依らず外交交渉で国際間問題を解決するというのが役割である。ところが、日本の外務省が率先して中国を敵国とするように仕向けていたわけであるから、始末が悪い。自由民主党に外交を任せるのは、そもそも間違いなのだ。

 自由民主党は、アメリカと「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定」と「行政協定(日米地位協定)」を締結して日本をアメリカに売渡してことで、生き残れただけの政党なのだ。したがって、日本の宿痾である自由民主党には早期に大政奉還させる以外にない。
以上(寄稿:近藤雄三)
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