こっちゃんと映画をみまちょ♪

レビューと呼ぶほど中身なし。しかし中身が無いのも中身のウチよのぅ。・・・なんちって。

間宮兄弟 (2006)

2006年05月15日 | いかすMovie

こっちゃんポイント ★★★★

鑑賞環境  試写会 
上映時間 119分
製作国 日本
公開情報 劇場公開 (アスミック・エース)
初公開年月 2006/05/13
ジャンル コメディ/ドラマ

兄・明信(佐々木蔵之介)と弟・徹信(ドランクドラゴン:塚地武雅)の間宮兄弟は、マンションで2人暮らし。一緒にご飯を食べ、野球観戦で熱くなり、ビデオを観ては涙する。もういい大人の2人だけれど、仲の良さは子供の頃と全く同じ。いや、むしろ人生を共にしてきた太い絆の分だけ、さらに仲良くなっているかも。ある日、彼らは行きつけのレンタル屋さんの店員、直美ちゃん(沢尻エリカ)と、徹信の務める小学校の依子先生(常盤貴子)を誘ってカレーパーティーを開くことを決意。頑張って彼女たちに声をかけるのだった。

 

(goo映画より抜粋)

「何が、どうした」ってお話しじゃないんですけど、これは。
ただ、こんな兄弟がいるってお話です。
そして、とにかくユルい。(笑)

森田芳光という監督は、とても面白い人なのだ。と、この映画を観ながら思いましたね。
いや、映画の中の笑いのネタとか、そういうことじゃなくてね。
なんかこう、良い意味でも、また悪い意味でも期待を裏切るっていうか....そういう人なんだ、と。

そんな風に思ったんですよ。

良く良く考えてみたら、こっちゃんは過去記事で、森田監督の作品に対してメチャメチャ厳しい感想をぶつけていましたね。そう、ここで。(笑)読み返してみて、たかがこっちゃんごときが、こんな露骨なバッシング記事を書いて良いのか?と、今さら驚いてしまいました。┌|∵|┘ハッ .....そして反省。

いや~~~。
それにしても、観たときの感想を”素直に書き残す”というのは、何ともまぁ恐ろしい行為なのですねぇ
( ̄∀ ̄*)アハハ。

でもね、確かに「海猫」はヒドかった。そのころCMでメチャ人気のあった伊東美咲を主役にキャスティングしてしまったが為に、「彼女のCMを抱えた関係者サイドからの声が厳しく、作品が捻じ曲がった出来になってしまったのではないか?」なんて憶測まで飛び出したようですが、そんな憶測すらも妙に納得できてしまうほど、ヒドイ感想を持ってしまいました。

「模倣犯」に至っては、途中で気分が悪くなり、観るのを止めてしまったほどですしね。
だから、こっちゃんの中で森田監督は、「肌が合わない」、そんな監督のはずでした。

それが、この映画「間宮兄弟」に関しては、映画館でチラシを手にした時から妙に惹かれるものを感じてしまい、その後目にした予告編で一気にソソられてしまったのです。その時点では、コレがあの「海猫」の森田芳光監督の作品だとは意識もしませんでしたし、また想像すら出来ませんでした。

でも、今回この映画を観て、昨年から患っていた”森田アレルギー”が少し治癒の方向へ向かったわけでして。そこで更に気を良くして、また次の日、監督の過去の作品「(ハル)」を観たりもしてみてね。

いやぁ、そこでガツン!と来ましたねぇ。「あ~、映画って深いな」、と。どんな映画も観るまで分からない。どんな苦手な監督の作品にも、自分に合うものがあるかもしれないと。思い知ったわけです。

ちなみに機会があれば今度あらためて感想をUPしようかと思いますけど、「(ハル)」に関して言えば、こっちゃんポイント★★★★★くらいつけちゃう作品かもしれません。ほんと良かったんです。

ま、そんなコトばかり言ってても仕方ないので、この作品「間宮兄弟」のことをチョット書きはじめましょう。
この映画「間宮兄弟」はタイトルの通りのお話です。間宮兄弟の話なんですよ。(笑)ヾ(ーー )ォィ マンマヤン

いや、正確には話というよりも、”単なる日常”を切り抜いただけのような映画でした。ストーリーなんてあって無いようなもの。正直、「こんなことが映画になるのか?」と驚かれる方もいるのではないかと思うほどのストーリーです。

”ストーリー展開”と呼べるホド、展開するわけでなければ、決定的なオチがつくわけでもない。

それでもこの映画の中の”間宮兄弟”は、時に「泣き」、時に「笑い」、そして「慰め合い」、そして「ほのかな恋心を抱いたり」など、とても人間らしい感情の一面を分かりやすく、しかしどこか不思議に見せてくれます。これは、”兄弟愛を極めたカタチというか、いやむしろ超越したカンジというか....。

田舎を離れ、マンション暮らしをする二人。当然のごとく同棲生活。兄はビール、弟はコーヒー牛乳(ビン入り)を飲みながら、仲良く自宅のテレビで野球や映画を観る。野球は記録を取りながら、映画は一晩に何本も観るほどの熱心さ。・・・というか物好きさ。

部屋には弟が大好きな新幹線の模型が一定の角度を保ちキチッ!と配置され、壁には★☆マークのタミヤ模型のTシャツが掛けられている。寝室の収納にはTVゲームではなく、今どきのボードゲームがいっぱい。野球盤なんか、まるでそこにディスプレイされているかのように置かれていたりします。

これじゃ”間宮兄弟”じゃなくて、”マニア兄弟”だよ」そう来客に言われるのも無理はない。(笑)

まぁこの映画、観てもらえれば分かりますけど、これはまるで森田監督がキャラクター作りに命を掛けたかのような映画でして。その出来上がったキャラは、観ているだけで面白い。で、あり得ないトコが羨(うらや)ましかったりして。何だかヘンな空気に納得させられちゃうんです。あぁ、映画ってコレで良いんだな。こんなんで成立するんだな、と(笑)

この映画に出てくるキャストはそういう意味でとっても魅力に溢れた人たちばかり。背の高い兄(佐々木蔵之介)、ズングリムックリ型の弟(塚地武雅)をはじめとして、ロールスロイスを乗り回す田舎の母(中島みゆき)もこれまた良い感じ。「この親ならこの子ありだね」、なんて説得力があったりしてね(笑)
他に、いくら先生でもその髪は地味すぎるだろ?の葛原依子先生(常盤貴子)や、TSUTAYAらしきレンタルビデオショップの店員:本間直美ちゃん(沢尻エリカ)なんかがこの映画に華を添えてくれます。

この映画は、先週の金曜日(2006年5月12日)に「試写会」として観たのですが、東京ではなんと、その翌日13日から公開が始まるそうで。札幌の公開は5月27日だそうです。(全国でも、遅いトコでは2006年7月以降に公開されますので、観に行かれる予定の方は事前にちゃんとチェックしておいた方が良いと思います。)

実はそんな中、この映画の監督:森田芳光氏が来札(札幌に来て頂いたという意味です)されまして、鑑賞前に色々と興味深いお話を聞かせてくれました。
「映画の中で線香花火をみんなでするシーンがあります。そこで誰の花火が最後まで残るのか?そしてその花火を持っていた人のその時の心境ってどんなだろう?ってね。これが映画なんです。」
へぇ~ッ。なるほどですね。

この映画がツボにくる人、そうでない人、色々いるかと思いますが、実は家に帰って2~3日経ってから、ふと、またこの映画のことを思い出すと、また「間宮兄弟」に会いたくなってくるから不思議です。

ひとつ思ったのは、森田監督という人は、前作までの自分の路線と全く違った映画を作る人なのかもしれませんね。それは「過去にコダわらないコトへのコダわり」でもあるように感じます。常に、新しいもの、興味の沸いたコトを作品に取り入れる。この辺が、森田流なのでしょうね。
だから「前作がダメでも、今度はハマる」なんてコトが、平気で起こるのでしょう。もちろん、その逆もあるわけですけど。そういった意味では、これからもドンドン、みんなの期待を裏切り続ける監督さんなのかもしれません。

全てが爆笑!とは言いませんが、普通の生活の中にありそうな「ユルい笑い」や「ユルい幸せ」を拾い集める....そんな映画のようでもありました。

ちょっと好きな映画です~♪

 

《2006.08.17記事一部改訂》

【作品】間宮兄弟   
 

間宮兄弟

小学館

江國香織さん著の原作