こっちゃんと映画をみまちょ♪

レビューと呼ぶほど中身なし。しかし中身が無いのも中身のウチよのぅ。・・・なんちって。

嫌われ松子の一生 (2006)

2006年05月30日 | いかすMovie

こっちゃんポイント ★★★★

鑑賞環境  映画館 
上映時間 130分
製作国 日本
公開情報 劇場公開 (東宝)
初公開年月 2006/05/27
ジャンル コメディ/ドラマ/ロマンス
映倫 PG-12

昭和22年。福岡県でひとりの女の子が誕生した。お姫様のような人生を夢見る彼女の名は川尻松子(中谷美紀)。教師になり爽やかな同僚とイイ感じになるも、セクハラ教師のせいで辞職に追いやられる。ここから、松子の転落人生が坂を転がり落ちるがごとく、始まっていく。愛を求める松子の前にはさまざまな男が現れるが、彼女の選択はことごとく不幸へと繋がってしまうのだった。53歳、河川敷で死体となって発見された彼女の生涯を探る甥が見たものは?

(goo映画より抜粋)

めくるめく転落人生。
この映画の中で、荒川良々との出会いが一番ハッピーに見えたこと。
それが一番悲しい...。(つд⊂)

松子おばさん、あなたの人生っていったい....。

この映画は、”松子”という一人の女性が、死体で見つかったところからはじまります。

コメディ話にはまるで似つかわしくない切り出しですが、話が進むにつれ、とんでもなくバカバカしいキャストが、次から次へと飛び出してくるので、まるで質(たち)の悪い見世物小屋に迷い込んでしまったかのような気分に。

しかし、「下妻物語」中島哲也監督だからといって、ロリ深キョン&レディース・アンナのようなギャグ・ワールドを期待すると、これは少々面食らうことになるかもしれません。

この物語は、どこまでも不幸で、そして可哀想。そうです、これは可哀想なお話なんです。

ここに、川尻松子という女性の一生を記した”編年期”というか、”年代記”というか、まぁそんなものがあります。ご紹介させて頂きます。

【川尻松子のクロニクル】(劇場チラシ裏より抜粋)

昭和22年 0歳  川尻家の長女として福岡県に生まれる。
昭和30年 7歳  幸せを夢見る明るい子供時代を過ごす。
昭和46年 23歳 担任を務める中学校で窃盗事件。教師を辞職。

昭和46年 23歳 作家志望の八女川と同棲。暴力にあう。
昭和46年 23歳 八女川、踏み切り自殺。
昭和47年 24歳 八女川の友人、岡野と不倫。妻にばれて破局
昭和48年 25歳 中洲のソープ嬢になり、店のトップに。

昭和49年 26歳 同棲中のヒモ、小野寺に裏切られ殺害。自殺未遂。
昭和49年 26歳 上京。理容店の島津と同棲中に逮捕される。
昭和49年~    刑務所に服役。8年後に出所。

昭和58年 36歳 教え子、ヤクザの龍と再会。同棲。
昭和59年 36歳 龍、逮捕され刑務所へ。
昭和63年 40歳 出所した龍と再会。龍、再び逮捕され服役。

平成元年~    一人暮らしの引きこもり生活。
平成13年 53歳 荒川の河川敷にて、死体で発見される。

これが「嫌われ松子」こと、川尻松子の一生です。

何なのでしょうか?一生って。
何なのでしょうか?人の人生って。

一人の女性が生まれてから死ぬまでの53年間が、十五行で書き記されています。たった十五行です。
この中には、枯れるほど流した涙や、激しく揺れ動く感情があるはずなのに、そんなものが全て、たった十五行の言葉の中に押し込められているのです。悲しいですね。これを自分に置き換えると、ゾッとします。

所詮、人生なんて”こんなもの”なのか?とも思えてきます。

しかし、これは山田宗樹氏原作の小説の映画化。あくまでもフィクションです。

嫌われ松子の一生(上) 嫌われ松子の一生(下)

まるで、絵に描いたような転落人生。そして妙に現実味を感じてしまう彼女の”終焉(しゅうえん)”に辿り着いたとき、「これって、実話では?」と思った方は、意外と多かったのではないでしょうか?

映画よりも残酷な日常が当たり前、ドラマよりも衝撃的な真実を目の当たりにする現代においては、この「嫌われ松子の一生」のような不幸話には、むしろリアリティを感じてしまうのでしょうね。

しかし、そんな救いようのない不幸話すら、どこか可笑しく仕立てあげる。それが、この中島哲也監督らしいところなのかな、と感じました。

あり得なくも、目を引くキャストたちをズラリと並べ、縦横無尽に松子の前後を行き交わせる。彼女の前をただ通り過ぎる者もいれば、立ち止まる者もいる。そんな彼女のドラマを、時にドラマ風に、時にコメディ風に、そしてミュージカル調になったかと思えば、今度はファンタジー風のシーンに....

まるでCMカットを立て続けに観ているような、そして延々と”松子プロモーション・ビデオ”を観ているような。それを観ている間、頭の中をグニャグニャと糖蜜棒で掻き回されているカンジ。これって何だか、気持ち良い様な、悪い様な...。

あ( ̄∀ ̄*)。何を言いたいか分かりますか?あくまでイメージのお話です。

たぶん、この映画に「下妻物語」のような”お笑い度”を期待した人は、ガッカリするでしょうね。これは、アプローチが完全に違います。確かに、出てくるキャラはドギツクて、ワンダフル・ワールドなのですが、根底に流れ続けるストーリーが暗い

何度も言いますが、「これは不幸で可哀想なオハナシ」なのです。それを、明るい方向へ描いた異次元エンターテイメントみたいな映画とでも言いましょうか。
だから、この「嫌われ松子の一生」は、そのヘンの感覚で満足できる人のための”キワモノ寄り映画”のような気がします。

嫌われ松子の一生」というこのタイトルは、確かに興味をそそりますが、見る限り”松子”は、決してヒドくて嫌な女性ではありません。それはこの映画を観ながら、彼女の人生を一緒になぞってみれば分かるコトです。

ただ純粋に愛を求め、そしてその愛に満たされたいと願っただけの女性、それが松子という女性でした。
殴られても蹴られても、愛した男をかばい続け、金を貢ぐ。
ふと気がつけば、家族の死に目にも遭えず、刑務所送り。

「”不幸”って何? じゃあ、”幸せ”って何?」

面白いはずのこの映画を観終わって、最後に残ったのは「ただ楽しい」という感想よりも、松子のそんな問いかけだったような気がしました。ただ、後味はそれほど悪くはありません。ここが上手いところですね。

心のもう一方では、ちゃんと”暖かいもの”も残してくれましたよ。

この映画の主役:松子を演じるのは中谷美紀。これが結構な”体当たり演技”です!

美しい中谷。可愛い中谷。唄う中谷。踊る中谷。”ひょっとこ顔”の中谷。妖艶な中谷。
そしてボロボロに変わり果てた中谷.....
おおっ!これぞまさしく、中谷ナデシコ七変化ッ! ヾ(ーー ) ナンジャソレ?

・・・とにかく、ファンの方は必見です、ハイ。

そんなこの映画「嫌われ松子の一生」で、一番笑えたのは、
片平なぎさの『○○サスペンス劇場』。
なんと、本人がこのシーンのために、そのまま”本人役”で登場。
コレにはビックリ!(◎o◎)

「なぜいつも断崖絶壁?」「なぜ白衣姿のまま?」

そんな疑問を解決する間もなく、オトコは彼女に追い詰められる。

ああっ(つД`)・゜・゜。かなピー!

 

《2006.08.17記事一部改訂》