牧野洋「最強の投資家 バフェット」(日経ビジネス人文庫)
きょうも、前回に引き続き、ビル・ゲイツとバフェットの間柄に関するところを書き移してみます。
が引用部分で、 が引用部分の終わりです。
(328頁) 【バフェットから学ぶゲイツ】情報技術(IT)革命離陸期である20世紀最後の四半世紀を駆け抜け、スタンダード石油とAT&Tに続く20世紀三度目の企業分割命令を受けるほどの巨大企業を史上最短期間で起こした男――。マイクロソフトの共同創業者で会長、ビル・ゲイツのことである。
(328頁) 表面上、大富豪という点を除くと、ゲイツとバフェットに共通項は少ない。ゲイツは情報化社会の旗手であるのに対し、バフェットはコンピューターが苦手で、新聞、炭酸水、ひげそり、家具、チョコレートなどローテクばかりを投資先にする。前者がニューエコノミー代表だとすれば、後者は「オールドエコノミー」代表だ。ゲイツはバフェットよりも25歳若く、世代も違う。
しかし、二人は親友で、お互いに感化し合っている。
(329頁) 実際、経営者としてのゲイツを観察すれば、バフェット的な部分が浮かび上がる。まず、個人資産の大半をマイクロソフト株で保有し、バフェットが好む「マネジャー(経営者)はオーナー(株主)のように振る舞え」を実践している。バフェット同様に富の大半を株式保有で築き上げ、自社株の大量保有を続けることで株主とリスクを共有しているわけだ。
ほかのハイテク起業家のほとんどがストックオプション(株式購入権)で多額の報酬を手にしている中で、ゲイツはストックオプションを一切取得していない。2003年にはマイクロソフト全体でストックオプション制度の廃止に踏み切った。バフェットはストックオプションについて、「株主よりも経営者を利する道具」との哲学を持ち、自ら経営するバークシャー・ハザウェイ傘下にある子会社の経営者に対してもストックオプションを付与しない方針を徹底している。
バークシャーの株主で、バフェットに関する著作もあるファンドマネジャー、ロバート・ハグストロームはインタビューに答え、「バフェットとゲイツの二人は、世界について非常に好奇心旺盛な知的巨人で、お互いに惹かれ合っています。バフェットは技術革新やインターネットが何を意味するのかをゲイツから学び、ゲイツはどのように資本を配分し、株主と接し、経営陣を鼓舞するかなどについてバフェットから学ぶ、といった関係にあるのでしょう」と解説した。
(332頁) 1999年の夏、・・・(中略)・・・彼(ゲイツ)の個人資産のうち50億ドルが教育や医療のために慈善財団へ寄付されたことも明らかになった。一個人が生存中に行う寄付としては過去最高を更新した。彼は最終的には自己資産の90%以上を社会へ還元するつもりだ。バフェットは引退後に自己資産の99%以上を慈善財団へ寄付するとかねて公言している。
バフェットはゲイツのように、現役のうちから寄付を始めようと思っていない。「人々がそれぞれ最も得意とする分野で、できるだけ長く一生懸命に働けば、それだけ社会全体が富むことになる」と考えているからだ。
できるだけ長くバークシャーの経営を続け、個人資産を膨らませることが出来れば、寄付を通じて社会全体に還元する金額も増える、という理屈である。
きょうも、前回に引き続き、ビル・ゲイツとバフェットの間柄に関するところを書き移してみます。
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(328頁) 【バフェットから学ぶゲイツ】情報技術(IT)革命離陸期である20世紀最後の四半世紀を駆け抜け、スタンダード石油とAT&Tに続く20世紀三度目の企業分割命令を受けるほどの巨大企業を史上最短期間で起こした男――。マイクロソフトの共同創業者で会長、ビル・ゲイツのことである。
(328頁) 表面上、大富豪という点を除くと、ゲイツとバフェットに共通項は少ない。ゲイツは情報化社会の旗手であるのに対し、バフェットはコンピューターが苦手で、新聞、炭酸水、ひげそり、家具、チョコレートなどローテクばかりを投資先にする。前者がニューエコノミー代表だとすれば、後者は「オールドエコノミー」代表だ。ゲイツはバフェットよりも25歳若く、世代も違う。
しかし、二人は親友で、お互いに感化し合っている。
(329頁) 実際、経営者としてのゲイツを観察すれば、バフェット的な部分が浮かび上がる。まず、個人資産の大半をマイクロソフト株で保有し、バフェットが好む「マネジャー(経営者)はオーナー(株主)のように振る舞え」を実践している。バフェット同様に富の大半を株式保有で築き上げ、自社株の大量保有を続けることで株主とリスクを共有しているわけだ。
ほかのハイテク起業家のほとんどがストックオプション(株式購入権)で多額の報酬を手にしている中で、ゲイツはストックオプションを一切取得していない。2003年にはマイクロソフト全体でストックオプション制度の廃止に踏み切った。バフェットはストックオプションについて、「株主よりも経営者を利する道具」との哲学を持ち、自ら経営するバークシャー・ハザウェイ傘下にある子会社の経営者に対してもストックオプションを付与しない方針を徹底している。
バークシャーの株主で、バフェットに関する著作もあるファンドマネジャー、ロバート・ハグストロームはインタビューに答え、「バフェットとゲイツの二人は、世界について非常に好奇心旺盛な知的巨人で、お互いに惹かれ合っています。バフェットは技術革新やインターネットが何を意味するのかをゲイツから学び、ゲイツはどのように資本を配分し、株主と接し、経営陣を鼓舞するかなどについてバフェットから学ぶ、といった関係にあるのでしょう」と解説した。
(332頁) 1999年の夏、・・・(中略)・・・彼(ゲイツ)の個人資産のうち50億ドルが教育や医療のために慈善財団へ寄付されたことも明らかになった。一個人が生存中に行う寄付としては過去最高を更新した。彼は最終的には自己資産の90%以上を社会へ還元するつもりだ。バフェットは引退後に自己資産の99%以上を慈善財団へ寄付するとかねて公言している。
バフェットはゲイツのように、現役のうちから寄付を始めようと思っていない。「人々がそれぞれ最も得意とする分野で、できるだけ長く一生懸命に働けば、それだけ社会全体が富むことになる」と考えているからだ。
できるだけ長くバークシャーの経営を続け、個人資産を膨らませることが出来れば、寄付を通じて社会全体に還元する金額も増える、という理屈である。