写画へのいざない

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御宿かわせみ

2009-05-06 13:59:00 | 愛読書より

 カテゴリは「愛読書より」としているが、どちらかと言えば、今、はまっている本とした方がしっくりする。

 ウォーキング中の通り道に、はみ出して置かれている、古本屋の本棚の中で見つけたこの本。
 購入する際は、連作物とは知らずに並んでいた物を適当に三冊選んだが、その三冊が、12、13、15巻で、読み始めた15巻の途中で気がつき、そこでストップし、改めて初巻から揃え読み始めたもの。
 勿論、一話完結のため、どこから読んでもよい訳だが、登場人物が、結婚した・子ができたなど、経年により変化しており途中からでは面白みが半減するもの。

 御宿かわせみは、NHK他、民放テレビでも、何回かドラマ化され、現時点でも1ヵ月に2回ほどNHKで再放送(次回 5/11. 10時~)しており、ご存知やも知れぬが、江戸の大川端の小さな旅籠「かわせみ」を舞台に、宿の女主人・庄司るいとその恋人神林東吾とその仲間たちが、泊り客や市井の事件を見事解決していくという、人情味あふれる捕物帖である。

 作者・平岩去}は、代々木八幡神社の一人娘として昭和7年に生まれ、30年に日本女子大国文科卒業後、小説家を志し戸川幸夫氏に師事したという。
 本作品の一話目を発表したのは、昭和48年で、36年を経た今も人気は衰えず、日本人の心を描きつづける彼女のロングセラー本である。

 一話、ほぼ30分で読めるため、就寝前の絶好の読物といえ、今年に這入ってからはこれ一本やりで、今 14巻目のため、これから先、まだまだ楽しめそうである。


 

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恋いちもんめ

2008-07-30 11:53:57 | 愛読書より

 カテゴリーは「愛読書より」としたが、むしろ、最近読んだ本と言った方が適切か。・・・

 作家は、宇江佐真理(うえざ まり)と言い、小生としては初めてのトライ。
 簡単に彼女の履歴に触れると、昭和24年、北海道函館市の生まれで、女子短大を卒業し、OLの後、主婦を経て、46歳の時(平成7年)「幻の声」でオール読物新人賞を受賞しデビュー、現在 時代小説作家として活躍中。

 数多い本の中から、何を以ってこの本を選んだのか・・・ずばり、「恋いちもんめ」というタイトルと表紙の絵が持つノスタルジアに惚れたと言えよう。

 あらすじは、本の見出しに記載されているままをコピーすれば、・・・年頃を迎えた水茶屋の娘・お初の前に、前触れもなく現れた若い男。青物屋の跡取り息子で栄蔵と名乗る青年は、彼女の見合い相手だった。その清廉な人柄に、戸惑いながらもしだいに惹かれてゆくお初。だが、ある事件を契機に二人の関係は思わぬ方向へ進み始める…。運命のいたずらに迄Mされる純愛の行き着く先は?感涙止まぬ、傑作時代小説。・・・とある。

 新しい作家の作品については、今までも数回トライしたが、読みなれていないせいか馴染めず、続かなかったが、本品(本作家のもの)は読みやすく、更に2~3作品読んでみようと思っている。

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男振

2007-12-19 21:12:57 | 愛読書より

 もう10数年前の話になるが、例の如く会社が退け、仲間同士で終電間際まで卓を囲んでの帰り道、電車の中で先輩から薦められた一冊・・・今でもこの本を見ると、何故か数年前に亡くなられた先輩が、酒を飲み、煙草をくゆらせながら、麻雀で興じてた笑顔が思い浮かぶ。

 本は、主人公・源太郎が、若くして頭髪が抜け落ちる奇病に陥り、主君の嗣子・千代之助に侮蔑され、それを逆らい乱暴を働き監禁される。
 ところが、別人の小太郎を名のって生きることを許されるが、実は当人、主君の血筋をひいていたことから、お家騒動にまきこまれることになる。
 しかし、源太郎は、宿命的なコンプレックスを強力なエネルギーに変え、市井の人として生きる道を拓いていく。・・・というストーリ。

 池波正太郎の代表作といえば、「鬼平犯科帳」だが、初刊が昭和49年~平成6年と約20年間で23冊発行しているが、本、男振は昭和53年に発刊されており、油の乗り切った時期に書かれたものといえよう。
 読みやすい文体と、悪人といえども手を抜かない人間描写、藤沢周平と共に好きな作家の一人である。

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玄鳥

2007-11-07 20:05:36 | 愛読書より

 家系存続のため、不幸な結婚をしいられた女、路が、上意討ちに失敗して周囲から「役立たず」と嘲笑され、左遷された曽根兵六に、亡父から受継いだ無外流の秘伝を教える。

 粗忽者だが、夫よりはるかに人間らしい昔の父の弟子、曽根兵六によせる、武家の娘の淡い恋心を、かえらぬ燕に託して描く、情緒豊かな藤沢周平の作品。

 先に紹介した「麦屋町昼下がり」同様、1時間足らずで読める短編で、ご推奨。

 藤沢作品は殆ど愛読しているが、その魅力は、登場人物の性格や、自然描写の緻密さがあげられ、中でも女性の献身的で、躾のよさ、また、自制心に富み、欲望や感情をむげにだすことのはしたなさ、などを描かしたら絶品といえよう。
 その代表例が、作品「蝉しぐれ」の最後に、お福が20年ぶり文四郎に再会したときにいう科白・・・この哀切さに集約されているように思う。
 「文四郎さんの御子が私の子で、私の子供が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか」

 作品は、表紙の挿絵をトーンカーブ効果を用いたもの。

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宮本武蔵

2007-07-04 20:48:59 | 愛読書より

   ・・・初めて小説らしきものを読んだのが、この「宮本武蔵」である・・・

 中学3年の夏休みに、クラスに数冊あった図書の中から読みたいものを選び、その感想を書くよう宿題があったためである。

 そんなきっかけのためか、又は、読解力が不足していたのか、感想として書いた内容も覚えていず、また、事実 印象としても薄く、「宮本武蔵」という名前と長編小説を読みきったという実績だけが残った。

 その後、30も後半ごろか、通勤の行き帰りに読書するようになり、最初に選んだのが、吉川英治の、この「宮本武蔵」であった。

 昭和11年に朝日新聞に掲載され、新聞小説として読者の反響はすごかったらしいが、今日まで多くの愛読者がおり、既に古典の域にあると言えよう。

 もう、数回読み返しているが、年齢に応じ感じ方がことなり、人生のバイブルの一つとも言える。

 作品は、武蔵(たけぞう)と又八が、若い功名心に燃えて関ケ原の合戦にのぞんだが、散々に破れ、敗軍の兵として落ちのびる途中のもので、単行本の表紙 挿絵をチョークスケッチ効果を用い写画にしたもの。

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