この6枚の板が、
こうなります。
そして、
このように削られ形になります。
元はただの板なのです。
それが筒になって、各部分を様々な厚みに、形に削り込み、様々な部品を組み合わせることで楽器になっていきます。
たぶん最初は
このような太鼓上の物だったのでしょう。
ある時誰かがその太鼓の上に、武器の弓をのせて、歌に合わせて弦をはじいたのだと思います。
そしたらよい響きがする、もっと良く鳴らないものだろうかと、次々に様々な太鼓状の物、
ヤシの実だったり、ひょうたんだったり、さらに進んで板を組み合わせて胴を作り上げたのでしょう。
さらに良いもの作ろうと、木の各部分のデータを取り、質を調べ、さらにこのほうがよかろうといろいろな形にしてみたのでしょう。
確かにある程度は、この木で個の厚みでこの部分はこのように削ってというのは分かります。
それでもまったく同じように作ったはずが、いきなり良い響きがする楽器もあります。
これは今お引き受けしている、和胡の胴です。
これ殆ど形は変わらないです。微妙に削っている時の刃物の感じで少しは違います。
しかしこれに和紙のCDMを張って鳴らしてみると、それぞれ個性が違います。
同じ木からとった板でもです。
個性という違いなら問題はありません、しかしこのDの音が少し掠れる、などという時には、胴の後ろを少し削りこみます。
高音がもう一つなどという時には、胴の後ろから40ミリのところを、さらに削ります。
その削り具合は刃物にあたる木の感触で決めていきます。
削っているとき、木の硬さや粘りが手に感じらっるからです。
それを感じながら良い音になれと念じながら削るのです。その思いが良い楽器を作るのではないかとも、時々思います。
木は、一枚一枚違います。
土壌の違い、傾斜の違い日当たりの違い、風邪の当たり具合、周りの樹種の違い、そして伐採時期の違い、
乾燥のさせ方では、大きくその質が変わります。
そして木のどの部分か中心窩か周辺部か、木の南か北か、根っこに近い部分か、そばに枝があったのか
そのようなことで、同じ木でも一枚一枚質が変わります。
それらが、楽器の個性を作りはしますが、
さらに言うと、どのように弾き込むかによっても楽器は音が変わります。
最終的には皆さんの弾き込みが、それぞれの個性を作り出すともいえるのです。
良い音になれと、念じながら、沢山弾いてやってください。