二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

光舜堂は二胡の修理屋です。ある反省!

2023-09-29 10:12:27 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
あることでとても反省しています。
先日、ネオちゃんが黒檀を彫るべく、刃物を研いでいました。

その刃物を見せてもらって、「平らには遂げているんだけれど、これだと直ぐ欠けるよ、ほらこうやってこの刃先を二段に研いで、、、ね、私が研いだのは刃が長もちして欠けないでしょ!」
言ってみてしまった!と思いました。
なにしろネオちゃんは刃物を研ぎ始めてまだ3年。
6歳のころからもうかれこれ70年も刃物を研ぎ続けてきた私がこうやればできるでしょ、問題ないと言ったとしても、言う方が間違っているのですね。
反省です。
二胡のウルフ音も同じですね。
演奏家はそれらをもコントロールする技術が有るようで、そんなものは当たり前という方もいらっしゃいます。
良い楽器程音が裏返るのは当たり前という考えでもあります。
しかし雑音の出ない楽器の方が良いに決まっているのですが、なんだか良い楽器は弾きにくくて、それを何とかするのが技術であると思っている方も、、、

この15年間二胡屋と言っても、楽器を販売するより楽器を修理する仕事で明け暮れてきたようです。
多分4000台は越えて見させていただいております。
最近になって、かなり良い楽器の良いものも、悪い?ものもたくさん見せていただいております。
悪いと言ってもむしろ、木そのものはとても良く、皮も良い、それなのにウルフ音が酷かったり、内弦の雑音や外弦の掠れ音、などなど、、
結局は、皮の振動力と木の密度のバランスという事に行きついてきました。
頭が取れたり、棹が折れたり、胴が割れたりなどは日常茶飯事です。
たんに木部の修理としてやっていけるのですが、この音の雑音を直す、音の出の悪さを直すというところまでついに行きついたようです。
今までは皮を張り替える時にきりなおせなかった、内弦の高音部の裏返り音も、花窓を外しさえすればなんとかできるものも増えてきました。
100%ではないです。
100%直すにはやはりを剥がしてその時に、皮を張る部分の厚みの修正というのが必要です。
其れならいっそ、皮を剥がした方がやりやすいのです。
ただなかには今ついている皮がとてもお気に入りという方もいらっしゃって、その辺が迷うところですね。
今のところ、何とか始めたこのウルフ音直し、皮を剥がさずに70%くらいはかなり良いところまで直ります。
ウルフ音もいろいろあります。
最初からかなりかなり出ていたが、弾き込んでいくうちに直って来たもの。
反対に最初は何ともなく、弾き込んできて鳴り始めたらウルフ音が酷くなってきた。
最初からひどかったのがだんだん直ってきたというのには、弾く人がうまくなってきて、弾き方が上手になったという事もあるようですし、もう一つは福音弓に替えたら直ったという方も、、(宣伝になってしまいますね)これは弓ががいかに整っているかによっても、ウルフ音が出やすいという事ですね。
それと皮が薄い場合は、弾き込んでいくうちにウルフ音が出なくなることも多いです。
反対に弾き込んでいってウルフ音が出るようになる楽器は、皮が厚い場合。
皮が十分に振動するのに時間がかかったということでしょう。暑い皮が十分に振動した時にその振動を支えられるほどの木の密度が無かったりするとウルフ音はひどくなっていきます。

日本の二胡愛好家は、でも子供の時から毎日毎日数時間以上弾き込んできた方ではないですね。
でも、その二胡を楽しみたいという愛好家たちが日本の二胡業界を支えているのです。
沢山のお客様と話したり、二胡を見せていただいて、直してみたりするうちに様々技術も会得するようになってきたようです。
沢山の二胡の悩みもお聞きしています。
日本の二胡愛好家のために私の二胡修理技術が有るのですね。
ネオちゃんにも刃物とぎのコツ教えなければ、ですね。
たまには二胡作りたいですが。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ

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