goo blog サービス終了のお知らせ 

二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

日本製の二胡のできあ上がるまで、その14(新しい時代へ)

2010-06-20 20:25:51 | ■工房便り 総合 
今までの仕事に比べ、この二胡を作って販売をするというのは、

私にとってある意味、楽な部分が有る。

私の今までの本業は、(まだ完全に止めているわけではないが)、価格の見えにくい世界であった。

もちろん物を作るのだから、原価と言う物が有り、それを作り出す、日数という物も有るから、ある程度は、妥当な価格と言う物が有る。

しかし、来る仕事、来る仕事、毎回のように、同じものを作らない。

それこそ毎回、新しい技術なり、感覚なりを、工夫していかなければ、仕事にならない。

その毎回違う工夫をし、新しい感覚を盛り込めるからこそ、仕事が来る部分が有る。

片や、ジブリ美術館の、ポエティックな、造形物やサイン等が有ると思えば、

夜の世界を演出する、クラブ、だったり、バーであったりするときも有る。

スポーツなどの世界での、100分の数秒差というような、判然とした、価値観が有るわけではない。

もちろんこの仕事にも、コンペという形の、勝負の世界はあるが、

勝ってその仕事を取れたにせよ、取れなかったにせよ、

何故取れたか取れなかったかという、はっきりした理由は、解らない。

いくら安ければ、取れたのかという価格の安さだけの世界では無く、

むしろ、オーナーとの感性や、相性、また、印象の大きさなどが、大きく影響する世界でしかない。

そういう意味では、確かに楽器を作って販売するというのは、今までの仕事よりは、多少楽になる。


そうとも言えないか?楽器と言うのは、人にとって、友ともなり、

恋人ともなり、

パートナーともなる。

もっと言うと、体一部ともなる。

二胡弾きたちがたまに(大いにか)言うのは、わが胡。

そういう意味では、人に近いものを生み出す。

と言うところで、更に大変なことに嵌ってしまったのかもしれない。

がしかし、ただ感性の判断だけを待つという今までの仕事より、自分自身で、先ず、これはなるか、雑音はあるか、高音はなるか、という価値基準を一度は持てる。

鳴るか鳴らないか、というのは大きい要素である。

また雑音(二胡特有としか言いようがないが)などが有れば、それは論外となるだろう。

先ず、最低でもそのことをクリアーし、

次に、お客様との、相性ということになると思う。(この意味では、今までの仕事と変わらない)

また、いくら音色や、響きが気に入ったとしても、突然高音のところで、音が小さかったり、雑音が出たら、

皆さんどう判断されるだろう。?

最初の二胡、皆さんはどのように買われたのか?

教室に、入って、先生から買った場合、殆どの教室では、

はい、これは貴方の二胡です、と手渡されたのでは、なかろうか?

あるいは、通販で、送られてきたもの、受け取ったのだろうか?

また、あるいは、日本の楽器屋さんに行き、予算を伝えて、

これは、こんな感じの音、と弾いてもらい、こちらは、老紅木ですから、このくらいしてしまいますが、良い楽器ですよ、という形ではなかったろうか?

それが数年弾き込んで、様々な、二胡弾き達との出会いも有り、また様々に、ウェブ等での情報も入り、良し、次買う時には、もう少し良いものをと、

自分で、弾いて買えるようになったのではないだろうか。?

それで皆さんは、買われた値段、妥当だと納得されているのだろうか?

もちろん、予算と言う物が有る以上、その妥当性は十分納得されているとは思う。

がしかし、楽器を買うということには、長年月を、その楽器と楽しみたいということが有ると思う。

それには、メンテナンスと、保障という問題が有る。

皆さんが二胡を買われた時、いずれこの楽器には、メンテナンスが必要になるし、

何時かは、皮を張り替えなければならないと、思って買った方が何人ぐらい、いらっしゃっただろうか?

日本の中の楽器屋さんでは、ソロソロその多くが、楽器に保証をつけるようになってきた。

1年であったり、3年であったり、様々だが、

その保障の中身、ちゃんと御理解いただいているのだろうか?

流石に、転倒や、落下による破損は入ってはいない。

しかし、木の縮みや変形などによって、皮が、変形したなどと言う時の保障はどうだろう・

もちろん、皮と言うのは、以前にも書いたが、10数年たつと劣化する、

緩みもすれば、硬化もする、その時には交換しなければいけないものだが、

木も生き物、皮も生き物、どのように変化するか、読み切れているのだろうか?

木で作られた弦楽器には、メンテナンスは、付き物である。

まったく、10数年メンテナンスをしないで済むと言う楽器は、皆無であろう。

もしあなたが、中国で、二胡を買ったとする。

そこには、保障はついているのだろうか?

あるいは、メンテナンスは、どうするのだろう?

日本の中でも、メンテナンス、皮の張り替えまでやる、と言うところは多くは無いし、

自社の販売したもの以外は、修理受け付けないと言うところも多い。

それでも、今までに、日本の中で販売された二胡の数は、20万台を超えると言われる。

今でも一時のブームは去ったとは言え、年間数千台が売れていると言われる。

幾ら、練習しても、あのCDから聞こえる音には、程遠く、

雑音だらけの、音に悩まされ、上手にはならないと、あきらめて行った人はどれほどの数がいるのだろうか?

とにかく、20万人を超える方が、一度は二胡を手に取り弾いた時代にはなった。

また、ワシントン条約の輸出入許可証(sites)等も、比較的容易に、中国でも出してくれるようになり、御自分で、中国から買われてくる方も増え、

中国での、二胡の生産や、販売などの様子も、かなり皆さんの中に行きわたってきた、この時代、

そろそろ、日本の中での、二胡の販売というものに、変化が表れてきても良いのではないか?

その意味でも、(二胡で楽しくみんなで遊ぶという意味は、別の項で)

私は、此処に、光舜堂を開いた。

健全に鳴る二胡の販売、全ての二胡のメンテナンス、修理いたします。

無償での保証は5年間。(内容は別の項、とHPに書きます)

お前先行き何年持つのと思われるかもしれない、ただ私の家系は、全ての人が90歳以上それも現役でと、言う実績に、安心はしている。

しかしそれでもまだ危ないと、思われる方もいるかもしれない。

そこで次代の養成は、もう始めているし、もし、ご希望が有るなら、教えることもやぶさかではない。

確かに、作り始めて1,2年、お前そこまで言えるのかと言われる方もいらっしゃるだろう。

私でも部外者だったら思うと思う。

しかし、最近になって、数名の、日本人のプロの演奏家の方が、私の作った光舜二胡メインの楽器として弾いてくれていること。

あるいはまた、ジョージガオ氏から、制作依頼が有ったこと。

また、まだお名前は上げることはできないが、他に、3人中国人の演奏家からの依頼や、

メインの楽器として使っていただく話が有ること。

ということで、皆さんに、このような強気な発言、どうぞ、お許し願いたいのと、

私自身で何もかも作り上げたわけではなく、

たまたま木場の中に生まれ、若いころから、木工を志、たまたま縁あって、

今の光舜堂を作り上げてくれたスタッフ(私は、仲間だと思っているがどうしても年の差があるので、親分と言ってくれている)達の二胡に対する想いと、

それぞれに秀でた力の集まりが、この光舜堂を作り上げている。

その程度にはなったのか、という寛容な、お気持ちが得られることを、お願いいたします。

確かに本来中国製の物、物価の高い日本でわざわざ作る必要はないでしょ、という御意見も有った。

でもあえて、日本人の技術だから、感性だから、という気持ちも有る。

また、バイオリンや、ギターなどの制作は、本来日本の物では無いにも関わらず。

世界のトップレベルを日本人制作者が占めているのは、皆さんも御存じだと思う。

それこそ、日本人に伝わってきた木工の技術と言うのは、世界でも有数の物が有る。

その技術を、二胡作りという形で、伝え繋げて行くのも、私の役割の一つではないかと

最近考えている。

また、伝え聞くところによると、中国の上海で、日本人の方が、中国の伝統的な二胡作りを学ばれ、既に日本人の感性を活かした、二胡作りなさっていると聞く。

様々に工夫もなされているとの事、

たまたま、時期を同じくして、日本人による二胡の工房が始まったということは、

日本における二胡の販売の新たな形の時期が来たのだと、確信できるような気がする。

所は遠く離れているとは言え、本場の技術と日本人の感性活かした二胡作りで在ってほしいし、

私も良きライバルを得て、より一層の研究に邁進でき、二胡作りの励みにもなる。

大変日本の二胡業界にとって嬉しいことでは無いだろうか。


この項、終わります。


西野和宏




Comments (2)    この記事についてブログを書く
« 6月20日(日)晴れ11:0... | TOP | カスタマイズ二胡の販売(自... »
最新の画像もっと見る

2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れさまです (Jimmy)
2010-06-21 14:29:53
本稿で終わりですか。少し寂しいです。
毎回拝読させていただいて、大変勉強になりました。
わたしも少ないですが、何人かのプロの演奏家に紹介したいと思っているのですが、おこがましいのと、反応が怖いので躊躇してます(ww

また伺いますので、いろいろ教えてくださいませ。
返信する
こちらこそ (nishino)
2010-06-21 17:13:42
読んでいただいていたのですか。
ありがとうございます。

とりあえずこの項は、閉じますが、まだ続きはありますので。

演奏家の方は、どなたも独自の美学お持ちですから、お気になさらずに、どんどん光舜堂へいらしてください、御一緒に。

様々な人に弾いてもらいたいのです、まだまだ駆け出しですから。
返信する

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ■工房便り 総合