二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡とバイオリン。

2013-04-06 09:50:41 | ■工房便り 総合 
最近、バイオリン作りにハマっています。

ドデカゴンが送りだす最後の調整に入って、多少手が空いたからかも知れません。

或いは、自分なりに二胡の構造と二胡の音色と言うのが納得できたものが出来るようになったせいでしょうか。

二胡を作る時とバイオリンを作るのではとんでもなく工程が違います。

二胡は木の持っている自然の力と音色を引き出すものです。

ですから如何に感覚を研ぎ澄ませて木を削るかというのがとても大切ですし、皮を張るにしても、蛇皮を叩いたり押したりしながらその跳ね返りを感じんがら張っていくのが、一つのポイントになります。

どちらかと言うと、自分自身の自然の力と言うのを身体と頭の中から汲み上げていくというのが必要な事です。

バイオリンは違いますね。

10分の一ミリ単位の誤差のある44ヶの部品を組み合わせていく作業です。

構造的にも、非常に理知的な作業と言え得るかもしれません。

バイオリンに関しては、削っていく時に音が聞こえてこないのです。

もちろん表板や、裏板を削る時には、指先で軽く叩きながら音の調整はしますが、それがバイオリンの音としては聴こえてこないのです。

一つには弦と言う部品が張っていないからかも知れません。

二胡の場合は、木そのものを削る時の手の感覚で木の音が聞こえます。

この木の音がそのまま、音になるのです。

ですから、これは二胡を作り始めた初心者でも聞こえてきます。

バイオリンは、木を曲げて、削って組み上げて、出来上がったものを叩いてもとてもバイオリンの音とは聞こえないのです。

弦を張って初めてバイオリンの音になります。

そう思って、バイオリンの演奏を聴いていると、弦の音が良く聴こえます。

弦の音を拡大させてよく響かせるための構造が今のバイオリンのような気がします。

もちろん二胡も弦を変えることで鳴りは変わります。

でも基本的な、音色と言うのは、木が持っています。

弦は木の音を響かせるための要素なのです。

今のバイオリンはむしろ木の音色を引き出すというより、弦の鳴りを響かせるための構造のような気が最近はしています。

多分バイオリンと二胡を両方弾く人はその事を感じると思うのですがいかがでしょうか?

今のバイオリンをストラデバリが聞いたら、とんでもなく驚く事と思うのです。
(アントニオストラデバリが彼の名前で、ストラデバリウスと言うのは楽器としての名前だそうです)

多分これは自分の作った音ではない、楽器ではないと思うでしょう。

今、現存するストラデバリウスと言うのは、そのほとんどが、彼の手を離れて作りかえられているというのを皆さんは御存知でしょうか。

1800年代に入って、宮廷やサロンでの演奏より大きな会場で大衆に聞かせる音楽が出来上がっていくと共に、バイオリンは作りかえられています。

それまでに作られた、あらゆるバイオリンが作り変えられたのだそうです。

どこを変えたかと言うと、ネック(棹)を角度を付けてそれまでは胴と水平に着いていた物を下げたのです。

そのことにより、バイオリンの弦の張力は上がり音も大きくなり響くようになりました。

弦が駒を通して、胴を強く押さえますから胴は良くなります。

そのことで鳴りは大きくなったのです。

その上強いスティール弦に変わっていますから音色も変わってきています。

その事により、バイオリンそのものの音色は、相当変わってしまったと思われます。

ホントにストラデバリは驚くでしょう。

Comment    この記事についてブログを書く
« 春は鳴る、その3 | TOP | 『 二胡とアコーディオンの... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ■工房便り 総合