二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

12月3日(日) 西野さん、なにか良い事あったんですか? 11:00~17:00

2017-12-07 07:00:00 | ○営業日の報告日記
二胡を愛する皆様こんばんは、鞄持ち ほぉです。
流行語を始めとする2017年諸々のナントカ大賞、などなど、
毎日のように年末の現代風物詩が怒涛の目白押しですね。。。
個人的に年末感が苦手で、年末の大掃除は殊更に嫌いなのですが、
片付け&掃除好きのワタクシとしては、毎年この頃に一斉に出て来る
スグレモノの洗剤やお掃除グッズ紹介のラインナップだけは見逃せません。
皆様はどんな12月をお過ごしでしょうか?
そろそろパーティシーズンですよね☆
今週、或る会員さんがいつも以上に素敵なファッションで現れたので、
「パーティーですか?♪ パーティですか?♪」 と伺うと、
「いえいえ、被って着れるこの服が楽チンだったのですよ(汗)」 と。
うーん何を着ても素敵だ。。。美人は得だ。。。
あれ、何の話でしたっけ???  (笑)



さて、今週は。

最も印象的だったのは、一緒にいらしたTさんとHさんの二胡。
「本当の二胡の音にしたいんです!」
そうおっしゃるお2人は、習い始めて2年目。
良心的な先生が、まずは安い二胡で気軽に始めましょう、と
海外で入手して来てくれた格安中古品をお使いでした。
で、まずはTさんから。
ご本人に弾いて音を出していただくと、

「 。。。。。。。 」

正直、二胡屋をやってきて、光舜堂史上いちばんの酷い音でした。
ボー、というか、ボェ~、というか、
とにかく、あらまぁまぁ。。。(汗)
これ、Tさんの弾き方のせいじゃありません!
しかし皮にも問題無いし、どこも目立って悪くはない。
ということは、
単に、古い二胡を正しく整えずにいた状態なだけ、でしたので、
ワタクシとしては鮮やかに蘇るのは容易に想像がつきました。

「この二胡の本当の音色ってどんなのですか?」
と熱心におっしゃるTさん。
「私たち本当に、この二胡の本来の音が知りたいんです!」
Hさんも真剣な眼差しで頷いています。
しかしTさん、あっぱれですよ!
今までこの音で、2年間よくぞ辞めずに二胡を続けて下さった!
これは、Tさんが(ご家族も?)ものすごーーく辛抱強かったのと、
先生の人格が素敵な方だった、というのが大きいのでしょうね。
ワタクシだったら、さっさと逃げ出す音色でした。

さて、店主はTさんの二胡をひと目見て、
「まずこれは交換ね」
と、コントロールマット、、、にもなっていないウレタンの塊をさっさと取り去り、
フェルトとスポンジに交換。 たったそれだけ済むと、
「はい、まずコレ弾いてみて?」
「わ、わ、わ!音が全然違う!!!」
そのまま「終了です」 とか言っても満足してくれそうなTさん(笑)

しかし、調整はこれからです!
次に駒を削って合わせます。
「はい、次はコレで弾いてみて?」 「もっと良くなりましたー!」
傍で聴いているHさんも目を丸くしています。
「まだまだ」 ニヤリとしながら店主の施術は続きます。
「ほぉさん、弓毛整えておいて」 「ほいきた!」
ワタクシが弓毛を整える間に店主が弦を替えたり、木軸を削ったり。
しかしTさんの弓毛、一般的に見て比較的良い方です。
でも一見良さそうでも、整って見えた毛の中に切れ毛が沢山潜んでいて、
かえって雑音原因が見つけにくいという、面倒なパターン。
整えた弓で弾くと、「うわー!全然違う音!!!」

極めつけは、「押し売りはしないけど、試してみてね?」
と、彪駒に替えて弾いてみると、
「そっちの駒がいいですー!」
もはやこの音、ビフォーアフターというより、
太鼓が笛になったくらいに調整前とは種類が違う!!
あの酷い音が整えられる事は予想出来ていたワタクシでさえ
笑っちゃうような鮮やかな音色の変化でした。

「これが、Tさんの楽器の本当の音ですよ」
「!!!!!」
あまりの音色変化の激しさ、前の音を録音しておけばよかったかも(笑)
サナギが美しい蝶になったかように澄んだ綺麗な音色になりまして、
TさんもHさんも大興奮でした。


さて次はHさんの番。そして、これまたワイルドな状態。
「これ、弦替えた? 内外で違うメーカーのを付けてるね?」
「ああ、たぶん、、、細い方ばっかり切れるので。。。」
そこで、内外の弦を揃えるべく交換。
ところがひとくくりに”中古”といっても、
HさんのはTさんとはまた違った、非常に珍しい形の品物でした。
「画像で存在は知ってたけど、実際にウチに来たのは初めてだね!!」


台に、バイオリンのように弦を取り付けるようになっていまして、、
微調整器が内蔵されているので便利っちゃ、便利なのですが、
この機能の為には台がやたら大きくなってしまうので廃れたのでしょう。
でも、なかなかクラシカルで愛嬌があります。

だがしかし!
機能していなければ意味は無く、ただ台がデカいだけの古い二胡。
Hさんの微調整のネジは固まってしまって、全然役立っていませんでした。
「この二胡、塗装してあるから材は判らないけど、いい音色するよ?」
そう言いながらネジをオイルで拭いたりして全体を調整すると、
「ホントだわ、良い音~!」
Hさんには黒彪駒を試すと、更に大人っぽい落ち着いた音色に。
「これが良いです~!」 「高いですよ、この駒?」 「いいです!!」
結局なんの木か不明のままでしたが、店主曰く、
良い材だから上手になった時に買い替えなくても
皮を張替えればずっと使える、そうで。
「その時に、一緒に台だけ普通のに替えたら良いよ」

毎度思いますが、古い二胡、”めっけもん”が本当に多いです!



この日は、他にも他にも、
「この為に私は二胡屋をやってるんだね」 と店主がしみじみするような、
かなり残念状態だったり悲しい状態だった二胡達を救い出し、
ご依頼の方々に喜んでいただき、感謝までしていただきました。
或る方は、
「嬉しくて、私にとっては今日がクリスマスみたいです!」 と!

そんなお客様の喜びの伝染もたくさんありましたので、
充実感と達成感は店主の顔にも出ていたらしいです。
毎週お隣に苔のワークショップを受けに来ている顔見知りの女性
(↑ ラジオガァデンには苔のミニ・ミュージアムがあります) には、
「なにかすごく良い事があったんですか?
今日は、とっても良い事が有ったー、って顔してますよ!」
と、帰りがけに会うなり言われていました☆
『お困りの皆さんの二胡を直して、喜んで弾いていただけるようにする』、
これこそが、光舜堂の役目なんですね、と再確認。
その喜びが伝染するとは、つくづく恵まれた仕事です。

ご来店の皆様、ありがとうございました!

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