二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

toyoさんの質問にお答えして。解ることだけですが。

2012-07-04 14:17:24 | ■工房便り 総合 
toyoさんから、色々質問のコメントがありました。興味のある方も多い問題だと考えて、
ブログの一つの話にしました。

【 低音の楽器について、質問あれこれ (toyo)
2012-07-03 10:34:32

私たちの手元にある、西野さんの、ブラジリアンローズの二胡と、ある工房の弟子作という条件で安く作ってもらった老紅木の八角二胡は、音の高さが、ぜんぜん違うようにきこえます。バイオリンと、ビオラぐらい違うかと思う。でも、チューナーでは同じ音。こんなに、感じが違うのに、ほんとに同じ音なんだろうかと、素人の私たちは、いつも不思議に思ってます。どっちも、それぞれ非常に良く鳴って、それぞれに個性を持ったいい音です。高音の良く出る二胡は、胴のサイズも、若干、小さめです。(師匠作は、大きい胴でプロ使用だそうです)

バイオリンの低音と、ビオラの高音と、ビオラの低音と、チェロの高音は、同じ音に聞こえるのでしょうか?
ビオラの上2弦と、二胡の弦は、同じ音域のはずなのですが、高音の二胡と比べても、まったく、聞いた感じは違います。
絶対音階など、持っているはずもない、音楽の素人の私たちには、楽器が違うと、これ何の音????になってしまいます。
同じビオラでも、ちびの私が持っている、39.5cmサイズのビオラと、プロが使う42cm以上のビオラでは、バイオリンと、チェロに分かれるぐらい、音が違います。たった、2.5cmで、どうやってもその音が出ないので、ものすごい、コンプレックスです。バイオリンぽいビオラと思えば、それはそれで、いい音なのですが。そんなに、違いが出るものなのでしょうか? 】


>凄く違いは出ると思います。

まず第一に、弦の太さが違いますから、弦の持っている基本的な音の太さが違います。

そして太い弦の方が短くなる(高い音になる)と、振動しにくくなりますから。

又楽器としては、

同じビオラでも、39センチと、42センチでは、木の量が違います、含まれる倍音数が変わります。

ですから同じ、音を弾いても、複雑さは大きい方が複雑に響くはずなのです。

また音圧も大きくなります。

但し楽器それぞれの個性も有りますから、余計に違って聞こえるはずです。

かと言って、大きいビオラなら良いというわけでもありません。

そこは楽器としての作りの問題になるのだと思います。

弦の種類にもよるでしょうし、やはり、楽器一台一台に適正な調整というのがあれば、小さくても、そこはバイオリンほど小さいわけではありませんから、十分にビオラの音になると思いますよ。

フルートとピッコロで同じ音を出したとしても、ピッコロの方が、なんだか透明で高い感じがするのは、ピッコロの方がボディーの小さい分、倍音も少なくなり、透明感のある音になりますね。あれと同じことではないでしょうか。

それから、12人のチェリスト達というベルリンフィルのチェリスト達の合奏団があります。

チェロで、バイオリンの曲などひいてしまいます。

この人達の高音部はバイオリンかというくらいになりますが、よく聞くとやはり、あの煌びやかなバイオリンの音とは違います。

バイオリンの方が線が細いですね。

試しに聞いてみて下さい。


【 また、音が、半拍遅れて出るということですが、ビオラの先生に、「ビオラは、バイオリンと違って、弓を弾きはじめてからすぐには音が立ち上がってこないから大変。チェロでは、もっと遅くて、弾くのが大変」と弓を確実に当てるように注意されます。失敗すると、ぶおーんと、まのぬけた立ち上がりの音になります。
低音の楽器は、弦の振動させるのに、時間がかかるだけでなく、楽器全体を振動させて、低音をだすので、躯体が大きい分時間がかかるということなんでしょうか? 】


>二胡の場合まず振動するのは皮の表ですね、それから、皮が張ってある部分がほぼ同時に振動するはずなのです。

ところがこの部分の厚みが厚いと、表の皮だけが鳴ってしまうことになります。

そしてバフリングより下の胴の部分が鳴り始めます。

そこで時間差が出るのではないでしょうか。

バイオリンや、ビオラは、駒が立ててある、右左のf字孔のところが、最初になり始めます。

二胡で言ってみればここのところは、皮に当たる部分なのではないでしょうか、

F字孔はバイオリンの、表板の振動を誘い出す為に、駒の部分を小さくするためと、木の
張力の歪を上手く解消する為でもあるようです。

ただ、最初になりやすくするためにというのは大きい役割だと思います。

ではF字孔を大きく長くすればより鳴りやすいかというとそうでもありません。

駒のあたりだけが鳴ってしまい、音の大きさというのが無くなります、響かないのですね。

上手く出来ています。

そして、このf字孔の間の部分が厚いと、高音が綺麗に出るのですが、シッカリと弾かないと半拍遅れる感じはあるでしょうね。

特にチェロなどは、そんな感じがする楽器も有りますが、二胡程ではありません。

バイオリンに比べればということだと思います。

この半拍遅れるような楽器はかなり良い楽器が多いと言われます。

音が太いですし、遠くにも鳴りやすいのです。

二胡も同じでしょう、だからこそのプロ用、沢山の人達に聴かせる為ということだと思いますが、最近はスピカ-を使う人も多く、生で聞いて、凄く鳴らすという演奏家も少ないように思うのは、私だけでしょうか?

また、二胡の先生方は同じ楽器でも大変大きく鳴らしますね。

それはしっかりと弓の毛が、弦をとらえているからだと思います。

そうしないと木の厚い楽器は鳴りませんから。

二胡は木自体が大変硬いですから。

お互い頑張ってがっきをならしましよう。

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1 Comments

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Unknown (toyo)
2012-07-06 10:06:08
詳しい解説ありがとうございました。

なるほど、太い弦は、短くなると、振動しにくいのですね。
木の量は、素人でも、想像しやすいことですが、たっったあれだけで、こんなに違うの、とじっさいくらべるといまだに驚いてます。

『F字孔はバイオリンの、表板の振動を誘い出す為に、駒の部分を小さくするためと、木の張力の歪を上手く解消する』とても、複雑にうまくできているんですね、10回読んだけど、難しくて、完全に(は)理解できてないのですが。音のなる仕組み、できればもっと聞きたい話です。

二胡とビオラ、両方やっていて、いつも思うのですが、それぞれの楽器のために、作られた曲って、それぞれの楽器の音の個性や、演奏の可能性の特性を、とても生かしてるのだなと。
バイオリンが、いかに、澄んだ大きい音が出せても、あれで、二胡の名曲、劉天華とか、二泉映月ひいても、味が出ない。逆に、二胡の名手が、いくら速弾きしたって、伸びのある、バイオリンの音と表現テクにはかなわないような。
バイオリン系は、弓で、表現を作り出す。二胡は、左手で、滑らしたり装飾音を入れたりすることで、表現を作り出す・・ように理解するこのごろですが、どちらも、初心者ですので、間違ってるかもしれませんが。

このまえ、二胡の先生から、ビブラートをうまくつかって、大きくなっていって長く伸ばす小節をこなすようにといわれました。
びぶらーと、かけ方も、いろいろ速さがありますよね。振動が、うまく合うと、大きな音になるのでしょうか。

演奏者側も、音の出る構造を知っておいたほうが、いいようなことが、たくさんありそうです。これからも、解説、よろしくお願いします。

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