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二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

9月18日(日) チョーク、ダメ。ゼッタイ。 11:00~17:00

2016-09-24 09:55:46 | ○営業日の報告日記
二胡を愛する皆様こんばんは、鞄持ち ほぉです。
店主のデンペン研究は熱を帯び、
その後、早くもまた別の、新たな商品を生み出しそうな予感です。
そして、生みの苦しみと言いましょうか、すったもんだ有った、
件の『 デンペン保護テープ 』ですが、どうやらお蔵入りは免れ、
近々無事に二胡姫さんより発売出来る事になりそうです。
やれやれ。
研究が終わると、今回の商品は完全にワタクシの製作に移りますので、
発売するかお蔵入りするかで暗礁に乗り上げていた間は製作できなかった分、
これから忙しくなりそう!!
事前の意見調査では、ダントツでピンクが人気色らしいです。

それにしても、店主はいい気なもんです。
大体、恐るべき集中力で研究していても結果が出たとたんに飽きる性分。。。
常に何か新しい課題にチャレンジしていないと気が済まないみたいです。
まぁとにかく、『 デンペン保護テープ 』の発売開始まで、
もうしばしお待ちくださいませ☆



さて、先週の営業日も様々な方がご来店下さいましたが、
もう間もなく閉店時間か、という頃、電話が鳴りました。

「落として木軸が抜けなくなってしまいました!」

わぁ!
しかし、いらしていただくには閉店時間に間に合いません。
そこでワタクシは、そんな時にどうすれば良いかの抜き方の方法を
お伝えして電話を切りました。
すると接客調整中だった店主が振り向き「どうした?」 と。
「これこれこういうわけで、、、」と、話すと、
「待って! 電話かけ直して待ってるからって伝えて来てもらって!」 !!

ワタクシが電話でお伝えしていた方法は
常日頃店主から聞いている正しい直し方ではありましたが、
「落としてハマったのなら他が割れているかもしれず、
素人がうっかりやると危険だから診た方が良い!」
とのこと。
そこで閉店時間を延長して到着をお待ちしました。



幸い、アクシデントは比較的近い場所での出来事で、
ほどなくして電話の依頼者Kさんが、お友達といらっしゃいました。

来ていただいて、、、本当に良かった。。。!!!

落下して穴にしっかり食い込んだ木軸は、
怪力の店主の握力をもってしてもビクともしなかったのです!

「な、なんで?!」
と、店主は手のひらが真っ赤になるほど握って外そうとしましたが
ピクリともしない木軸。
ハンマーを使って軽い衝撃を与えながら緩めようとしても
ウンともスンとも動きません。
普通、このハンマーでの衝撃を与えれば大抵の木軸は外れるのですが、
ガッツリ喰い込んでしまった原因は、


チョーク でした。

「チョークかぁ!!」
原因が判ったとたん店主は素手で回すのを諦めました。
「だからチョークはダメなんだよ! こういう時にダメなのが出る!」



常々、木軸にチョークを塗るという二胡界だけの悪しき風習を
止めさせようと店主は声を大にして来ましたが、
一向に直らない、、、
それは、中国人の先生達が率先して行い、受け継がれ、
物によっては教則本にまで載っているからでしょう。
本に載ってたら信じてしまいますよね。。。


でもそれ、大間違いですから!!

あまりにもこの悪習をする人が後を絶たないので、最近は、
「応急処置にはまぁ効くっちゃ、効くんですがね。。。」
みたいな奥歯に物が挟まったような言い回しで、
その方の二胡にチョークを塗った先生、を尊敬する方々の気分を害さないよう
気遣いつつ諭していた我々ですが、
もう今後は妥協しません!!

 『木軸にチョークを塗る』のはNGです!! 



今までも何度も言ってきましたが、もう一度説明しますと、
理由は二つあります。
一つ目は、
今回の出来事のように、全く木軸が動かなくなることがあるからです。
チョークは石灰です。成分は石のように硬いルシウムです。
それも大変細かい石の粉です。
その粉がしばらく木軸を動かしていないと、
木から染み出してくる油分と混ざって固まります。
本来なら油分で滑りやすくなるはずが、ボンドの役割を果たすものが
内部に出来上がってしまうのです。
(科学的な細かい事は店主がいずれ書くそうです)
特に、微調整器を使っているとほとんど木軸を動かすことが無くなります。
特に黒檀紫檀は油分が多いですから、大変動きにくくなります。
そのまま置いておくと、木軸は全く動かなくなります。

それからもう一つの悪い事は、
木軸は木です。
木軸の方が柔らかいですから、
木軸を動かす度に、
チョークを塗ると木軸がどんどん擦れてすり減ります。
すると調弦はどんどん狂いやすくなります。
すぐ緩み、些細な事ですぐ外れやすくなります。
すり減って緩みやすくなるからと、またチョークを塗ると更に減り、
しまいには木軸の穴が広くなり過ぎて
木軸が全然止まらなくなってしまうのです。
止めようと奥までギュッと差し込むと木軸の上下の長さが変わり、
弦の張り方が均一で無くなり楽器としてのバランスが崩れます。
それでも止まれば良い方で、酷いと止まりません。



光舜堂へ初めて調整にいらっしゃる方々のほぼ100%は、
木軸が緩んでカタつくため雑音が出ています。
それは、木が痩せて動いているからではありますが、
単純に乾燥度が進んでの木の痩せ、では無く、
チョークを塗ってしまうことによって
人為的に木軸の不具合を悪化させている人も少なくありません。

木軸を抜き取って、穴にフッと息を吹きかけると
ぶわっと、辺りが白くなるほどの方もいます。
見るからに肺に悪そうなので
最近はキッチン用品の細いブラシを常備して木軸穴の掃除をしています。



さて、話戻って、
Kさんの にっちもさっちも行かなくなった二胡は、
木軸を切り落とすことになりました。
でないと、このまま外したいと無理やりあれこれすると棹が危険だからです。
(実際、木軸外しを失敗して棹を折ってしまったという方もいらっしゃいます)

今回の手術は、
木軸を棹の間際で両方向とも切り落とし、
穴の中に詰まって残った木軸を小さいドリルで
少しづつ切りほぐし木軸分を完全に取り去り、
新しい木軸に差し替える、という工程でした。

既に直って送りでお届けは完了しました。
今週またお使いの用事が有りお急ぎ、との事だったので
送料や手数料がかかり、修理費、調整料、総額で2万円近くしています。

でも、勿体無くないですか?

間違った方法をしていてこんな目に遭い、
こんな出費をしなくちゃならないなんて!
同じ落下による喰い込みでも、
チョークさえ無ければ店主の怪力なら直ぐに抜け、
木軸切断、などという大手術は不要だったはずです。
木材の塊に過ぎない物とは言え、3分割に切り落とされた木軸は
思わず包帯でも巻きたいくらい痛々しく感じました。



今回Kさんは、、、
演奏会の出番前のバタバタでアクシデントが起こってしまったそうです。
現在、発表会シーズンたけなわですね。
まだチョークを塗ったままの貴方にも十分起こりうる事故です。
ですから、
今すぐ木軸を抜き取りチョークを拭い去りましょう!

そしてそれで木軸が緩んでしまったら、
間に合うなら、明日の25日に光舜堂へ調整しにいらして下さい。
ただし、25日は閉店後に用事が有るのできっちり17時で終わりますから
今週は閉店時間は延せません。
そして次週10月2日はお休みです。
その翌週9日も午前中はやってません。

間に合わない方はどうすればいいのか、、、
とりあえずチョークで、楽器を落とさないようにお気を付け下さい。
ただし正解は、チョークではなく 『 松脂を塗る 』です。
どうぞお大事に。。。


今週もご来店下さいました皆様、ありがとうございました!



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