二胡工房 光舜堂

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ヴァイオリン奏者の方による光舜松脂の感想!

2023-08-08 09:03:04 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
これはベルリンの高橋徹さんのブルグからの転載です。

ヴァイオリンを弾く方のご感想
「開発経緯と蘊蓄はえげつない量なんで割愛して」...
と書きながら、長い感想を書いてくださったYさん。
もちろん、使ってみるのが近道です。
●光舜松脂を使い始めまして●
地味に断捨離中、全く使っていない松脂を売却するために相場を見ていたフリマアプリ。そこで桐箱に入った松脂があって、初めて見たものなので興味を持って調べてみました。

公式ホームページによると、二胡の職人さんが作り出した松脂でmade in東京🇯🇵

光舜松脂(こうしゅん)と言います。
なぜ二胡の職人さんが…ですが、私の友人も二胡にヴァイオリンの松脂(ギヨーム)を使っています。どうも二胡にヴァイオリンの松脂を使うのは一般的な話らしい。
そしてこれは、自然に熟成された松脂を再現したもので、普通の松脂に入っている・意図的に混ぜているオイル分も混ぜず、元々の油分も焼き尽くしてあるらしい。
それによって気温による松脂の変形も起こらず、数百℃まで熱を与えないと溶解しない。
そしてこの3種は二胡用ではなくて、ヴァイオリンからコントラバスまで使える松脂として製作されたもの。
開発経緯や蘊蓄はえげつない量なので省いて、まぁとにかく良いらしい(苦笑)
“こだわりの塊” を感じたので、3種類のうちヴァイオリンに良いとされる「1番」を取り寄せ。 (発表会練習で行き詰まっていた…というのも理由)
油分を含む普通の松脂へ上塗りをすると混ざらずにスリップするらしく、付いてきたメガネ拭き(ごく少量のIPAを含ませた不織布)で弓毛の松脂を拭き取ってから、ゴシゴシ⚡️せずにゆっっくりとした速さで光舜松脂を塗布。
新しい弓毛でも10往復くらいで良いらしい。 実際には10往復させ、あとは音を聞きながら数度塗り足して安定しました。
そのままボーイングの練習、曲の練習…どんどん馴染んだのか、細かい事は抜きにして「松脂による悩みは消えたな」と。
まず、松脂を塗るのも10時間弾いたくらいに一往復で良いらしく、一個を使い切るのにかなりの年月を要するのだとか。
確かに毎日練習前に塗らなくても(これまでの松脂は弾く前に軽く2往復くらい塗っていました)全く滑る様子がなく、足りないとも思わなくなりました。
今は3日(3時間プラスα)に一回くらい、往復ではなくて片道、力を入れずに塗る程度。
先日、本番の日も前日に往復で塗ったまま、リハーサルと控え室で弾きまくって塗り足しもせず本番を弾きましたが不安になる事もなく問題なし。
それから松脂の粉落ちや弦にこびり着く松脂は激減。 粉落ちによる楽器の汚れやベタつきも起こらず、弦に松脂が硬くこびり付かないのでそれによる雑音も起こりません。
油分を含まないからか、湿度や気温によるグリップ力の変化もほとんど起こらず、その日の状況に合わせた塗り量の加減が不用。
そして、そもそも油分がないので“松脂は数年で劣化するから買い替えが必要”と言われる劣化も起こらないらしい。
弾いた感触は粒子の細かい松脂のそれで、けっこう抵抗感はあります。 ラーセンやBespokeのSUPPLEに似た感じ。
音については稚拙な私ですらPPPくらいで弾いても音が掠れない。 弱音に神経を使わず安定して弾けるので、ヘンデルの第三楽章はごく小さな音の発音が余裕。 9小節目の頭はわざとアップで始めて小さい音にと先生から教えていただきましたが、積極的にp側へ幅を持たせられました。かと言って強い音はカツンと行けるくらい引っかかるわけで、第二楽章の“止め”も楽になった。
初日の試し弾きで「これなら戦える!」と。
…いや、何と戦うんだか💧
音色は近代的ではありません、塗ったスグの音は正直に書くとボケボケ。
一往復の付け足しにもこの現象が少しだけ起こるので、私的にはこの松脂は少し弾いて馴染ませる必要がある事がわかりました。
しばらく弾いていると近代的な“立つ音” “スッ飛ぶ音”ではなくて、倍音が多くどちらかというと骨太で古風な音になります。
E線の倍音はずーっと聴いていたいくらい豊かに鳴って魅力的な音に変化。
なんだこれは… と、「1番」が来てから3日目に残りの2種類を発注。
追加した「0番」は光舜松脂の基本形で「1番」のベース、松脂の成分が非常に細かく倍音がかなり増える。 おすすめは古典を弾くとき向け。
「K20」はちょっとピーキーな鳴らし系に特化したもの。 0番と塗り混ぜて調整すると良いらしい。
個人的にはどれか一つなら、弾き比べた結果は1番で良いかと思います。
1番に加える0番は少し柔らかさが欲しい時ときにドーピング的に使えます。
K20は他のものと特徴は同じですが、確かにピシッとしたスッ飛ぶ音で鳴るのでガチのソリスト向け。 テンションが高く鳴らし難い弦もこれがいいのかな…
とにかくK20はギャン鳴りの音が好きじゃない人は0番と塗り合わせた方が良いかも。
いずれも生産には温度・湿度管理がシビアらしく、雨の日や真夏には生産ができないのだそう。私も注文した時はちょうど0番を切らしておられて、生産を待って送って下さいました。
特にK20は作りにくいらしいのでミニサイズのみ。
桐箱の理由は、この松脂は油分が無いため落とすと粉砕してしまうため。 安全性を考えて桐箱にされたようです。もし落として粉砕しても、集めて送ると有償ですが再成形をしていただけるそうです。
そんなこんな、フリマアプリからたどり着いた誰も知らないような希少種、光舜松脂。みなさんの楽器に合うかどうかは …知らんけど(笑)とりあえず、持っていた松脂はアルシェの201soloとアンドレアは既に売却済み。ギヨームとBespokeの2個、ラーセンはタッパに入れてひとまず台所の冷蔵庫へ(笑)
#松脂
#光舜松脂
#光舜
#ヴァイオリン
と、長く記してくれました。
弦も松脂も、全く新しいなら知り合うのに時間を要することはありますね。Made in 東京松脂は❓を感じても最初に◎を実感出来るから時間かけて工夫出来ます。
一昨年の秋にプロトタイプを知ってから、今でも新しい感覚に出会えています。
⬆️にある御感想には頷くことばかりですが
‼️ 塗布は往復を薦めます。40年以上一方向でしたが試したら大違いでした👍
一昨年から大量に書いてます松脂ブログは弦堂さんのHPにありますが、このブログ内検索窓から松脂で探せます。

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4 Comments

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yamamoto様 (nisino)
2023-08-10 09:03:55
山本様
コメントありがとうございます。光舜松脂気に入っていただいたようですね。
二胡系の私が作ったものですから、今一ヴァイオリン系に広がっていかないようです。
でも、昔は私もチェロを弾いていましたし、今もヴァイオリンは作っています。(いつか弾いてみてください)またヴァイオリン系という事では、もしかしたら山本さんも興味あるかもしれない弓の材・フェルナンブーコを数千本今製材にかかっています。以外にヴァイオリン系の仕事もしているのですが、、、、
話が飛んでしまいました!
光舜松脂は本当に世界の擦弦楽器の人に使ってほしいです。
切れのありなおかつ音色の豊かなヴァイオリンの音皆さんで響かせてほしいのです。
FBでのご紹介是非お願いします。
すみません、FBでお友達に申請させていただこうとしましたが、見つけられませんでしたので、お手数ですが友達申請していただけると嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
返信する
Unknown (Yamamoto)
2023-08-09 19:29:55
西野様、突然のコメント、大変失礼を致します。
高橋様からご紹介をいただきましたレポートを書きましたYこと、山本と申します。
先月に門下演奏会があって、弓の右手がどうしてもクリアにならない所があり悩んでいたところ、6月末に光舜松脂に出会うことができました。
ピシッとしたグリップ・音の伸ばしや容易く弾けるpppまで、松脂による悩みは光舜松脂を使うことで一気に解放され、これまでに集めた多数の松脂はもう使うことがないだろうと冷蔵庫へ放り込みました。
こちらへ書いてくださった膨大な開発経緯のエピソードも私の方で一覧にしてまとめたほど熟読をさせていただきましたが、本当に素晴らしい松脂をありがとうございました。
感謝致しますと共に、ますますのご発展を願っております。
またこちらのブログも私のFacebookでご紹介させていただいてよろしいでしょうか?
返信する
高橋さん (nisino)
2023-08-08 18:09:55
何とか、私としては00をものにしたいです。
二胡で弾いてもヴァイオリン(自作の)で弾いても何とも魅力のある音色なのです。
多分、1920年代のアルゼンチンタンゴがの音色が聞こえて来ます。
返信する
Unknown (toruberlinblog2)
2023-08-08 16:30:24
西野さん、この御感想、私と(たぶん西野さん、弦堂さんとも)同じで、たくさん戴いてる感想を紹介し出したらキリないんですがブログに載せました。
ご本人がメッセージにあの後気づいてくださりOKを戴いています。
しかし、素晴らしい‼️
ppで歌える、奏でられるは最高で
しかも力強くも弾ける。
Kは30にも40にも興味はあります、しかしK20がベスト配合だったんですよね 。
K20にZEROを加えても素晴らしい‼️
毎日、愉しませていただいてます。
ありがとうございます。
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