二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

弦は同じではない・絹弦について

2018-10-12 10:11:22 | ■工房便り 総合 
二胡の弦は以前は、たぶん1950年以前は絹弦が使われていました。

細い絹の糸を数十本より合わせ、日本ではそれをさらに、もち米で固めています。

絹の糸だけでは硬さが出ないからでしょうね。

これはたぶん、韓国のへグムの絹弦もおなじだと思います。

三味線なども絹弦ですが、

演奏中始終糸巻きを巻いているのを見たことがあると思います。

絹弦は伸びやすいのです。

馬頭琴はその弦も馬のしっぽの毛をより合わせて作っています。

これも伸びますね。ですから最近ではナイロンを使うようになっているようです。

ヴァイオリンなども今でもガット(羊の腸)を乾燥させて太さを切りそろえて使っています、

テニスのラケットなども以前は本当のガットを使っていましたが、今では合成繊維に変わっています。

天然の弦はみな伸びやすいものが多いですし又耐久力もそれほど優れてはいません。

絹弦も切れますね。

へグムなどはそのあたりを工夫して、手元の木軸に長いものを巻き込んであるのです。

切れたら、引き出して、台金具に結びつけます。

ヴァイオリンにしろ二胡にしろ、馬頭琴もやはり本物の本来の弦のほうが良い音がするという方はおおいです。

音色がふくよかな感じがします。

二胡の絹弦も確かに音色の複雑さはスティールの弦よりあるような気もします。

しかし絹弦使ったことのある人はお判りでしょうが、音が出てくるまでに相当弾き込まなければいけない感じです。

そして良い音になったなと思う頃には切れてしまいます。

三味線など弦を張りかえると3,4時間弾き込むといいます。

二胡の絹弦もたぶんもち米の硬さのゴワゴワ感が取れてくるのに、1,2時間は弾き込まないといけません。

それともうひとつ。

絹弦が本当に良い音になるためには千金の位置がかなり高く,駒から、45センチくらいにしないと鳴りにくいです。

家には、80年以上前の二胡(胡琴)があります。

木軸の位置が今のものより5センチほど高いです。

中國で阿炳の弾いていた楽器を再現しようと、作った物を見たら、やはり木軸の位置はかなり高かったように覚えています。

また、中胡を弾いている方はお判りだと思いますが、

今発売されている、中胡の弦は、相当長く、

今の中胡の木軸に巻くときずいぶんたくさん巻き付けなければいけないな、と、感じた方は多いと思います。

たぶん中胡が作られた最初は、今の木軸より5センチは高かったのだと思います。

胡琴から二胡が作られたときに、どうやら木軸の位置を低くして、

それこそヴァイオリンに対抗すべく速い曲を弾けるように、弦長も短くしたのではないかという気がするのです。

なにも二胡で弾かなくても良いのではという曲を弾く、ほんと少数のプロの人の為よりは、、、

私が古い二胡を弾いて思うのは、音色が良い、今の二胡よりさらに音も大きく音色も良いのです。

二胡は音色、これはさらに追及するなら、本来の木軸の長さにして、千斤の位置も、せめて42センチ。

良い音するんですがね。


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2 Comments

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絹弦は良いけど使い難い (石原)
2018-10-12 13:13:10
誠にブログ内容の通りです。
本当に伸びて曲の途中で音程狂うし、
開放弦が狂うから、お手上げ。
緩めて保管しないと切れてるし
切れたら、また不安定な時期からやり直し…
まぁ緩めて保管したら良いだけだし
構わないのですが
不安定期間が有るのは何とも歯がゆいです。
.
でもバイオリンのガット弦も同じですしね。
ガットも絹も音と軽いタッチで
弾けるのが捨て難い。

ただ弦の質では無く、
一番問題だと思うのは
バイオリンでも二胡でも
少数派=異端。と言う姿勢と思想。

音楽に携わって居るのに
変化に不寛容って不可解の極みです。

私のバイオリン講師は
プロオケ奏者でガットを使うのですが
何でオケでガット?プロでしょ?
不安定な物を仕事場に持ってくるな!
と言われるそうです。
ソレでも無視して使うんだから素晴らしい。
でも協調性に欠ける人が
オケって…とは少し思います。(笑)

そして私も人前にはスチール弦の
二胡しか持って行きません。

ハッキリ言って反対勢力を論破しても
コチラは得る物ゼロだし相手の考え方は
変らんママだし面倒なだけ…

隠れキリシタンの様に一人の時のみ
絹弦を楽しんでます。

西野二胡やシャム柿バイオリンが
頭ごなしに批判を受ける恐れが有るのも
ソレでしょうね。

全体主義と言うか調和が大好きな
日本人文化でしょうかね?

しかし何時も要らん事を
言ってしまいますね。
アップは、お任せします。

でも、日本文化は挑戦精神が有ったから
日本車なり電化製品で世界に名を馳せた
訳です。
西野さんの飽くなき挑戦には
頭が下がるばかりです。

これからも楽しみにしています。
ブログを参考に千金も上げて使ってみます。
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石原さん (nisino)
2018-10-13 10:40:41
ガット弦でプロオケですか。それすごいですね!!!シャム柿のヴァイオリン、注文来ましたよ!!!
というよりもともと音色の良いヴァイオリンその方の依頼なのです。ただし気にいったら購入していただく。何しろたぶん世界で初の試みでしょうね、何しろ硬いですから、それを3ミリ以下に削り込むのです。もとは15mmありますからね。私は割とヴァイオリンつくり早くて、塗装以外でしたら、2週間ぐらいで普通のヴァイオリンは作ります。シカシこのシャム柿裏板削るだけで、1週間くらいかかります。刃物が始終ボロボロになります。彫刻刀など刃が立ちませんから。その上サイドの曲木、もう泣きそうです。私の場合肩を使っていません。丁寧に曲げこむことで形を造ります。すると木自体に負担がかかりませんから、通常ヴァイオリンの初期の雑音というのがなくいきなり良い音で鳴りだします。さすがにシャム柿良い音色です。これも二胡を造ってきたおかげかと思います
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