二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

糸巻きにチョークを塗る理由が分かった。

2013-02-07 11:20:02 | ■工房便り 総合 
先日或る方の楽器を調整して欲しいということで、楽器をお預かりしました。

開放弦で相当な雑音です。

弱めに弾くと問題はないのですが、強く弾くと、キーーーンと金属音がします。

ああ、これだなと、いつものように、木軸を抜きました。

すると中から、ごっそりと、チョークが出て来ます。

穴の中を覗くとまだ中にこびりついています。

内部にやすりを軽くかけて中のチョークを取り除きます。

もう一度、木軸を穴に差し込むと、ガタガタ。

測ってみると、前の方が、1ミリ近くも穴より細いのです。

こういう時には、木軸の削り直しというのは出来ません。

削って合わせると全体がとても細くなり過ぎてしまうのです。

そうすると削り合わせた木軸だけが前に出てしまいます。

これでも良いのですが、なんとも無様な形になります。

そこで、このような場合は穴を埋めます。

やっている最中に、気がついたのは、もしかすると、チョークは、単なる緩みとめではないのかもしれないという事です。

通常弦楽器の、木軸、(ペグ)は、松脂をつけてその硬さをコントロールします。

これは洋の東西に関わらずです。

二胡の場合、松脂が手元にあるのになぜ、松脂を使わずチョークを入れるのか、それもごっそり。

理由は、チョークは押しこめば固まるからです。

多少の湿気があればよりかたまりやすくなります。

木軸の少しのがガタツキというのがこれで無くなります。

ようするに、パテなどの充填剤と同じように使われていたのです。

木軸と穴の間の隙間を埋めていたのです。

しかしいくら硬く締まるとはいえ、木軸は、動かします。まわします。

まわしているうちには、チョークは少しずつ取れて来てしまうことも有ります。

こういう時には内部には塊が残り、木軸の前と後ろの方は取れて無くなってしまいますから、最初のうちは問題が無かったのに、しだいに空弦の時の雑音がひどくなります。

木軸は手で削っています。

量産の物は相当荒い作りです、その上穴の大きさというのも上下違う物が相当あります。

ですからそれを解決する為に、チョークをたっぷりと、塗り込むのでしょう。

新しいうちはそれでもそれほどの問題は出て来ません。

さすがに高級品は、ここまで狂いのあるものは少なく、内部にそれほどのチョークは塗ってありませんが、、

それでも彼国の製品ですから、高級品といえども、安心はできないのです。

理由は、木自体が良く乾燥されていないことも多く、木軸だけが痩せて来て、楕円形になってしまい、ガタツキの出ることも有ります。

この時にもチョークが入っています。

これも、木軸を削りなおして、穴を埋めるしか方法は有りません。

理由は、充填剤だったのか、と、、、、

もう少しここは手をかけて欲しいと、とんでもなく表面だけ磨かれた棹を見ています。







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