イスラエル旅行記

旅行記が完成したので、あとは普通に。、

82.モーセの井戸と燃える柴

2006年10月11日 | Weblog
【写真:修道院の中の燃える柴】

 城壁の小さな入り口から入って狭い通路を進み、まず礼拝堂に行きました。ちょうど巡礼者のミサが行われて、厳かながらも熱気が溢れています。修道士のお経のような重苦しい声の中で、私はキョロリ、キョロリと周囲の壁に描かれているイコンや、天井からぶら下がっている幾つものシャンデリアに見入っていました。
 荘厳で華麗な装飾に圧倒され、私のような軽い人間には、ちょっと息が詰まりそうな雰囲気です。しかしこれが、330年に建てられて以来、一度も占領されたり、破壊されたりしたことがないというのですから、当然といえば当然のことでしょう。
 この1,600年以上も、ずっと存続し続けてきた建物に比べると、人間の命のはかなさ、まことに身に染みるではありませんか。

 そこを出て、中庭の井戸を見学しました。もちろん屋根がかかっています。車輪のような汲み上げ機があって、回すと水が出る仕組みです。先のグループの皆さんが、ワイワイ言いながらその水を汲み上げて飲んでいました。そこで倉田さんが面白い説明をします。
「これはですね、モーセの井戸です。モーセがここで奥さんのチッポラに出会ったと言われています。それで、この水を飲めば結婚できるといういわれがありますので、結婚したい方はどうぞお飲みになってください」
 これじゃ、既婚者だってワイワイやりますよね。私はその様子をビデオに収めなけれないけませんので、その場では飲まず、ペットボトルに詰めてみなの後を追います。そして、石垣の上にこんもりと見える植物の前で止まりました。

「ええと、これは何かと言いますと、燃える柴です。実はこれをもっとたくさん増やそうとしたんですが、枯れてしまって他の場所では育たなかったそうです。まるで、ここを離れたくないみたいに、ここでなければ育たなかったんですね。それで、この根はですね、ずーっと地下を這って、先程見たお墓のところまで伸びているんです。・・・モーセの見た燃える柴については、いろいろな説がありますけれども、一説にはですね、真っ赤に色づいた野いちごの実が、光を受けて燃えるように見えたのではないかとも言われていますね」

 ここに来るまでは、なぜそんな説が出るのかと疑問でしたが、朝日を受けて黄金に輝くジナイ山を実際見た人にとっては、さもありなん、と納得のいく話ではあります。

             
コメント
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